イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー」が証明した日本の新たな”ヒットの方程式”

最初は驚いたのですが、これが今後の日本の音楽業界のスタンダードになるのでは?と本気で思うのです。

先週ビルボードジャパンの総合ソングスチャートHot 100で46位に初登場を果たした荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー (Eat You Up)」が最新10月2日付でなんと2位に急伸。

2017年10月2日付 Billboard Japan Hot 100

各指標毎の順位を確認出来るCHART insightでも判る通り、国内動画再生回数のみでほぼ全てのポイントを叩き出している(と書くと大げさかもしれませんが、そう言われてもおかしくない)この曲。前週の初登場時に、登美丘高校ダンス部による”バブリーダンス”のプロモーションビデオがチャートのカウント対象となった(条件を満たした)ことがランクインの原因ではと記載しました。

そして今週の急伸の理由。

大阪府登美丘高校ダンス部による"バブリーダンス"。荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー」の楽曲を使用したPVが、アーティスト本人や平野ノラらによる絶賛のコメントも後押しして一気に火が点き再生数が急伸、この楽曲を使用した動画の合計再生回数が8,705,160回を記録し、動画2位の「打上花火」にダブル・スコア以上の差をつける結果に。このポイントが牽引して総合2位にジャンプ・アップした。

【ビルボード】「打上花火」総合首位返咲き YouTubeで急伸「ダンシング・ヒーロー」総合2位 安室奈美恵なんと12曲チャート・イン | Daily News | Billboard JAPAN(9月27日付)より

先週書いたことは当たっていました。しかしながら完全な的中ではありません。先週のブログで触れた動画(→YouTube)は今朝の段階で再生回数675万回であり、この動画のみならず他にも、”1人プロダンサーを混ぜてみた”というこの作品もまたカウント対象となったのではないかと。これでもニュース掲載の合計再生回数には足りないのですが。

こちらも、動画説明の音楽欄に歌手名および曲名がきちんと記載されています。

 

自分が昨夜、『ビデオが日本の音楽界に新しいヒットの方程式を作り出した』と書いたのはこういうところにあります。ひとつは【作品に過去の音楽が使用され、権利関係をきちんとクリアすれば、その作品が社会現象になった際に音楽も俄然注目を浴びチャートを急伸する】ということ、もうひとつは”1人プロダンサーを混ぜてみた”動画の公開日が9月20日、つまり10月2日付チャートの集計対象期間(9月18日~24日)であったため【新たなバージョンの動画を投入し複数の動画を用意することでチャート上でさらなる高みに押し上げる】...この2つのヒットの方程式がバブリーダンス×「ダンシング・ヒーロー」の動画から証明されたように思います。特に後者については、今週の米ビルボードソングスチャートを制したカーディ・B「Bodak Yellow (Money Moves)」が集計対象週に新たにリミックスを投入したことで、特にデジタル部門においてさらなる高みに押し上げたことが首位獲得の要因であることを踏まえれば、この新たな投入策という方程式は日米共に有効であると言えます。後は、日本の音楽業界、特にレコード会社がこのヒットからきちんと利益を掴むことが出来れば、日本の音楽業界におけるビルボードジャパンチャートの意義はより高まるものと考えます。

 

次週以降の「ダンシング・ヒーロー」の動きに注目したいところです。もしかしたら近いうちに荻野目洋子さんとバブリーダンスの共演が組まれるかもしれませんし、実は今年の”紅白”を狙えるのではないかとも思っています。今年シングルセールスチャートを制した三浦大知さんと荻野目さんが同じ事務所であり、2組が同時に出演することも、夢ではない気がするのです。