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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

安室奈美恵ベストアルバム『Finally』に宿る”不完全燃焼”感

安室奈美恵さんの引退は正直残念です。このブログでも彼女の楽曲を幾度となく取り上げ、私的年間邦楽ベストにも選出したことがあるので尚の事です。

しかしながら今回のベストアルバム、厳しい物言いを承知で書くならば、不完全燃焼感が否めないのです。というか、このアルバムからキャリア総括するのは難しいと考えています。

11月8日にリリースするベストアルバム「Finally」の収録内容も明らかに。1992年発売のデビュー曲「ミスターU.S.A.」から最新シングル曲「Just You and I」までの45曲に加え、パッケージ初収録となる「Christmas Wish」、新曲全6曲を含む全52曲入りとなる予定だ。なお「ミスターU.S.A.」から「TSUKI」までの39曲は新録音源となる。

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自分が考えるベストアルバムの定義は以前記載しました。

シングル集に近いようで、実は多数の収録見送りがあるベストアルバム。そして「TSUKI」までの楽曲は新録されるとのこと。以前バラードセレクションアルバム『Ballada』(2014)でも同様の措置がなされた曲がありましたが、小室哲哉氏プロデュース時代の大ヒット曲において小室氏のコーラスを省いた新録バージョンは、すっきりしたと言えますが同時にあの時代らしさが消えたことに複雑な心境を抱いたものです。

ちなみに今回ベストアルバム収録を見送られたシングル曲は下記の通り。

「恋のキュート・ビート」(1992)

「DANCING JUNK」(1993)

「Stop the music」(1995)

Dreaming I was dreaming」(1997)

「toi et moi」(1999)

「SOMETHING 'BOUT THE KISS」(1999)

LOVE 2000」(2000)

「PLEASE SMILE AGAIN」(2000)

「think of me」「no more tears」(2001 ダブルAサイド)

「Wishing On The Same Star」(2002)

「shine more」(2003)

「Put 'Em Up」(2003)

「Come」(2003 「SO CRAZY」とのダブルAサイド)

「ALARM」(2004)

「ALL FOR YOU」(2004)

「the SPEED STAR」(2004 「GIRL TALK」とのダブルAサイド)

「White Light」「Violet Sauce」(2005 ダブルAサイド)

「人魚」(2006 「CAN'T SLEEP, CAN'T EAT, I'M SICK」とのダブルAサイド)

「WILD」(2009 「Dr.」とのダブルAサイド)

「NAKED」(2011 「Fight Together」「Tempest」とのトリプルAサイド)

「Go Round」「YEAH-OH」(2012 ダブルAサイド)

「Beautiful」(2013 「Big Boys Cry」とのダブルAサイド)

「BRIGHTER DAY」(2014)

他方、配信限定収録曲においては「Damage」(2012)、「Comtrail」(2013)およびセブン-イレブン限定プレゼントだった「Christmas Wish」(2016)が今回収録されたものの、「Neonlight Lipstick」「Ballerina」(2013 いずれも「TSUKI」カップリングとして収録)は収録を見送られています。配信限定分で収録が見送られる2曲を含めると、実に28曲(CDにして2枚分)もの漏れが生じるのです。

さすがにシングル曲全てを網羅するのは難しかったかもしれませんし、シングルコレクションとはっきり銘打っているわけではないものの、本日公式サイトで発表されたベストアルバム詳細において、『1992年発売のデビュー曲「ミスターU.S.A.」から、2017年発売の最新シングル曲「Just You and I」までの全45曲』とあり、”全45曲”という表現があたかもシングル全集と思わせかねないのでは?という疑念を抱いています。そう解釈するほうが間違っていると言われればそれまでですが。それゆえ、音楽ナタリーの記事において”全”の一文字を抜いているところに良心のようなものを感じた次第。

というか、収録漏れの2枚組分にアルバムからのリードトラック等を含めてCD3~4枚分のベストアルバム第二弾が出たら間違いなく買います!と断言したいところ。というのもTKプロデュース期からR&B期へ、そして現代に至る先鋭性へのターニングポイントとなった(と個人的に考えている)下記の曲が『Finally』には収録されていないゆえ。これら楽曲が見送られたことで、彼女のキャリア総括がこのベストアルバムだけでは十分に行えないいう意味において勿体無い!と強く思う自分がいます。

後者においては音楽ジャーナリストの高橋芳朗氏も『現在の安室奈美恵さんのスタイルの布石』のひとつだとして、先月の『ジェーン・スー 生活は踊る』(TBSラジオ 月-金曜11時)の中で紹介しています。

 

ベストアルバムリリースのタイミングで、担当ラジオ番組で彼女の特集をやりたいと考えています。ひねくれているかもしれませんが、ベストアルバム未収録曲のみで特集を組めたなら、と。今回のベストアルバム収録見送りシングル群、そして高いレベルで放たれ続けたオリジナルアルバムにも光を当てることが出来たなら...と画策中です。