イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米ビルボード、チャートに反映されるストリーミングの中身を精査へ

アメリカのビルボードチャートは、その時代における音楽の聴かれ方を考慮し、常にチャートが流行の鑑になるべくブラッシュアップしています。ビルボードジャパンの相次ぐ変更も、それに準じた形です。

その米ビルボード、総合ソングスチャート(Hot 100)およびアルバムチャート(Billboard 200)において、近年成長著しいストリーミング指標を来年(”来年度”なのか来年なのかは不明ですが)、一部変更することを発表しました。

端的に言えば、ストリーミングのうち”有料”サービスが、”無料”よりも重きを置かれるようになるということ。私見ですが、もしかしたら歌手やレコード会社を考慮したポリシー変更といえるかもしれません。

 

そして、このような方法論への対処としても有効に作用することになりそうです。

ポスト・マローン feat. 21サヴェージ「Rockstar」は今週1位を獲得しましたが、その動画は実は『Post Maloneによるコーラスの箇所をループし続け』るだけのもので、YouTubeの説明欄にある”FULL SONG HERE”からストリーミングサービスにたどり着けば『かなりの確率で2再生分が稼げてしまう』(『』内は上記リンク先より)というものなのです。

(恥ずかしながら、動画がループだということをきちんと確認していませんでした。)

 

実は米ビルボード、来年のストリーミング精査に至るまでに、今年いくつかの検証を行ってきたそうで、そのひとつが”how to address the rise of promotions that incentivize consumer streaming (消費者へのストリーミングを促進するプロモーションの増加に対処する方法)”というもの。「Rockstar」の手法はおそらくこのストリーミング促進のプロモーションに該当するでしょう。ゆえに来年以降、無料(広告付オンデマンドサービス)のYouTube経由で有料の定額制音楽配信サービスで聴いた場合、これまで2曲分カウントされていたものが、およそ1.5曲分になるはずです。

 

ストリーミングは昨年、米音楽史上の売上高の半分強を占めるまでに至りました(米国の音楽市場、ストリーミングの売上高が初めて5割を超える:ITpro(3月31日付)より)。となるとチャートにおけるストリーミングのウェイトはより高まるわけですが、その中身を精査することでより”お金が投資された”曲への人気を確認出来るのみならず、レコード会社等による法の抜け穴をくぐったかのようなマーケティング手法が通用出来にくくなるようになり、チャートがより流行の鑑になれるわけです。そしてもしかしたら、ストリーミングチャートで躍進するヒップホップの勢いも少し収まるかもしれません。その動向に注目しましょう。