イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

野村沙知代さんが発表した”粋な”ラップ歌謡

野村沙知代さんが昨日亡くなりました。あくまで私見と前置きして厳しいことを書くのですが、ライバルと呼ばれる方のコメントに、ひどく落胆しました。

『こうなったら、仏になりましたから、安らかに、と手を合わせるしかない』『皆さまの気分を悪くしないように、(来世では)静かにしてほしいと思います』...いくら天敵とはいえ亡くなった方への言葉がこれかと思うと、手を合わせる義務感や静かにしてほしいという冷酷さに強い悲しみを覚えます。最後に赦すことのほうが(それが素振りだとしても)、果てしなく粋でしょうに。

 

両者のバトルと呼ばれる騒動には興味はなかったですし、そのバトルの際には両者(また双方に加担する側)が酷い罵り合いをしたのでしょうから共に不粋と言えるかもしれませんが、騒動の最中に発表したというこの”ラップ歌謡”、個人的には好きなのです。

野村沙知代「SUCH A BEAUTIFUL LADY」(1999)

野村さんのラップはお世辞にも格好良いとは言えないのですが、ライム通りの”ゴーイングマイウェイ”なラップをここまで貫き通すと格好良く聴こえるというか、粋だとすら思える不思議。しかも曲中では特定の誰かを非難しているわけではなく(曲終わりに男性ラッパーの格好を指摘していますが、共演の間柄だからこそ言って許されるのだと思います)、そういう姿勢もまた良いと思うのです。この曲、オムニバス『ラップ歌謡 あの娘にカセットあげよう』(2010)に収録されていますので音源手に入れやすいかと。

 

野村沙知代さんのご冥福をお祈りします。