イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

2017年私的邦楽ベストソングを選んでみました

毎年行っている、私的な選曲集。まとめてみました。

<2017年私的邦楽ベスト (2017年12月29日作成)>

◯ 作成時のルール

 ・今年に発売されたシングル、またはアルバムからの先行配信曲で、基本的にミュージックビデオが制作された曲から選出(ただし一部例外有り)

 ・1組の歌手につき主演曲は1曲のみ。客演曲はその限りでない

 ・1枚のCD-R(80分弱)に収まるように編集。歌手名の前の数字はトラックNo.であり順位ではない

YouTubeにミュージックビデオが掲載されている曲はYouTubeのリンクを、弊ブログで言及している曲にはブログのリンクを掲載

上半期、下半期についてはこちら。

では一曲毎に紹介。

 

01. ゴスペラーズ「Fly me to the disco ball」

ゴスペラーズ「Fly me to the disco ball」を聴いて宙に舞えるかの勢い(2月26日付)でも書きましたが、前年リリースのシングル「Recycle Love」以降のゴスペラーズの”黒さ”がディスコティークなここでも。その”黒さ”を結集したアルバム『Soul Renaissance』はR&B好事家から高い評価を得ています。「All night & every night」におけるジョデシばりの熱いボーカルにはグッとくるものが。

 

02. 藤井隆「守ってみたい」

藤井隆のニューアルバムが待ちきれない!と思わせる先行2曲(とあのカバー)(1月14日付)、藤井隆『light showers』から90年代の名曲を想起する(9月15日付)と今年も藤井隆さんの音楽動向にはハッとさせられっぱなしでした。2年前の復帰アルバムに比べ自身がペンを執る機会が少ないものの、様々な方に楽曲提供を受けた『light showers』のトータルコーディネート力は抜群。今作でやりたかったことを見事に表現した動画のCFまとめも含め、センスの好さを幾度となく実感しました。

 

03. w-inds.「We Don't Need To Talk Anymore」

w-inds.の次のシングルが痛快過ぎる(2016年12月12日付)でメンバーの橘慶太さん自身が制作したこの曲を絶賛したのですが、今秋に彼が放った「Time Has Gome」「This Love」も高質。流行の洋楽を吸収・咀嚼するのみならず、邦楽市場により受け入れられるよう仕上げられる貴重な人材であり、彼の才能を気付いた方が増えてきているのは嬉しい限り。個人的には一刻も早く『ミュージックステーション』に出てほしいし、出ないとおかしい!とすら感じています。

 

04. 土岐麻子「PINK」

アルバム『PINK』からのリード曲にしてタイトルトラック。土岐麻子、『PINK』から2曲がJ-WAVEチャートトップ40入りを果たす(2月19日付)で触れた通りラジオを中心に好調なリアクションだったのは何よりアルバムの質の高さに因るものではないかと。この曲の大サビにおけるオリエンタルなアレンジにはこうきたか!と唸らされたもの。プロデュースを手掛けたトオミヨウさんにも今後注目していきたいと思っています。

 

05. 女王蜂 feat. DAOKO「金星」

前年に発表済だった作品に、今年米津玄師さんとの「打上花火」で大ブレイクしたDAOKOさんのラップが追加。これが見事にマッチ。DAOKOさんのラップ、そして歌声のバリエーションの広さに驚かされると共に、アヴちゃんのファルセットと地声のスムース過ぎる行き来が見事。

 

06. 小沢健二「流動体について」

復活第一弾。『ミュージックステーション』でフジロックへの出演をフライングで発表したことも含め、いい意味で驚かせてくれた方。しかも今年の楽曲は傑作の誉れ高き『LIFE』を彷彿とさせるものゆえ、近いうちに出るであろう(と勝手ながら予想している)オリジナルアルバムを激しく期待。

 

07. NakamuraEmi「大人の言うことを聞け」

ここからは”オトナの世界”を表現した楽曲群。皮肉とキャッチーさが最良のバランスで相俟っている姿に、NakamuraEmiさんのスキルの高さを感じると共に、現事務所に所属したことがポップネスへの開眼に至れているのではと感じています。大人の言うことを聞いて、そして…NakamuraEmi渾身の、でもユーモラスな新曲(3月12日付)にて記載。

 

08. Doughnuts Hole「おとなの掟」

ドラマ『カルテット』主題歌。ドラマの視聴率は高いとはいえませんでしたが口コミやネットでの評判は本当に凄まじく、フィジカル化されないにもかかわらずビルボードジャパンの年間チャート65位にランクイン(チャート初登場時について、(追記有) ビルボードジャパン最新チャート、『カルテット』主題歌がトップ10内に初登場(2月16日付)にて記載)。この曲を書いた椎名林檎さん...毎年のようにとんでもない作品を出してきますね。

 

09. 平井堅「ノンフィクション」

この曲の評については、ノンフィクションとImagine(6月24日付)で紹介させていただいたブログの内容が見事に、的確に示しています。このようなヒリヒリした作品に説得力を与えられるのは彼しかいないのではないでしょうか。それにしても、3年前の年間ベストに選んだ「ソレデモシタイ」とのギャップたるや。

 

10. 欅坂46「エキセントリック」

欅坂46「エキセントリック」にハマる(12月11日付)でも書いた通り恥ずかしながらノーチェックだったのですが、担当ラジオ番組『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時)で大学生DJのじんいちくんに教わり、特にこの曲におけるアレンジの格好良さにハマりました。この素晴らしいピアノの用い方...ソーニャ・マリーが映画『Waiting To Exhale (ため息つかせて)』で提供した「And I Gave My Love To You」におけるパトリース・ラッシェンのピアノ以来だというのが私見。決して大袈裟ではありません。

 

11. MONDO GROSSO「ラビリンス」

MONDO GROSSO復活と15年前の名曲と(5月4日付)で昨年以降の満島ひかりさんの活躍に触れたのですが、ビデオで印象的なダンスも含め、歌声やダンスや佇まい等ひっくるめて彼女の存在そのものが表現力となって曲に深みを与えたと言っていいかもしれません。出来れば、先述したDoughnuts Holeでのパフォーマンスも観たかったものです。

 

12. Alfred Beach Sandal + STUTS「Horizon」

80~90年代な音が流行っている昨今にあって、90年代ヒップホップを彷彿とさせるダイレクトな音触りを持つトラックにやられました。有無を言わさず、とにかく格好いいの一言。松尾潔さんをはじめ、音楽に精通した方々が推したのも頷けます。

 

13. DAOKO×岡村靖幸ステップアップLOVE

この曲を機に岡村靖幸トップ10入りの今だからこそ出してほしい、”渡辺美里×岡村靖幸”作品集(10月29日付)を書いたのですが、レコード会社には今一度お願いしたいところ。近年セールスチャートでトップ20ヒットを出し続けた岡村靖幸さんでしたが、この曲で完全なる再ブレイクを果たし、同時に若い人に対してその稀有な才能をいかんなく見せつけたのではないかと。年の差30歳以上ながらこんなに合うカップリングはそうそうないですよね。

 

14. Perfume「If you wanna」

【Diggin'】Ladies "Wanna" Songs(9月1日付)はこの曲をきっかけに書いたもの。尺の長さ(短さ)、トラックの攻め具合に感激し、個人的には「TOKYO GIRL」も好きですが断然こちらを推したいなと。

 

15. RHYMESTER feat. KIRINJI「Diamonds」

KIRINJIからコトリンゴ脱退...最後にやってほしい曲があるのです(11月26日付)で書いたのですが、脱退前の公演でやってくれたのか気になります。昨年は逆の組み合わせでの「The Great Journey」を年間ベストに入れましたが、2組の相性は抜群ゆえ、この組み合わせで一枚まるごとアルバム作って欲しいと強く願っています。自分はこの曲が初めてラジオで流れてきたとき、実は涙腺が緩んだのはこの曲の持つ”自己肯定”に惹かれたゆえ。心を押してくれる、そんな曲です。

 

16. 星野源「Family Song」

【Diggin'】90年代以降R&B/ヒップホップにおける"Family Song"(8月18日付)はこの曲を元に記載。昨年の「恋」に次ぐ年間ベスト選出ですが、星野源さんの考える”多様性(のあり方)”が本当に素晴らしく、それを曲やミュージックビデオ(にも登場する”おげんさん”)へと取り入れる、その極々自然な方法は、様々な生き辛さを抱える者を励ます力になっているんじゃないかなと思うのです。多忙を極めるゆえ体調が心配ですが、「恋」そして「Family Song」を含むであろう次のオリジナルアルバムが非常に楽しみです。彼が掲げるイエローミュージックは曲を出す毎にステップアップしているので。

 

17. 米津玄師+菅田将暉「灰色と青」

アルバムからのリードトラック。メロディラインの展開(特に大サビ、そして最後のサビ後に用意された大サビという構成と、そのふたつの大サビの着地の仕方が異なる点)の巧さや、菅田将暉さんの声が持つ説得力等、ただただまいりました。米津玄師さんの音楽、もっともっと聴き込まないといけないなと痛感した次第。

 

18. 安室奈美恵「Finally」

現役最前線である彼女の引退発表には日本中が驚かされました。後にリリースされたオールタイムベスト『Finally』の収録内容デジタル未配信が続く状況には首を傾げるところがあります(そしてそれを記載したエントリーへのアクセス数がとんでもないことになりました)が、それら疑問を軽く払拭するほど素晴らしかったのが新曲群で、とりわけこの曲に込められた優しさと真っ直ぐな決意にはただただひれ伏すばかり。彼女の残り9ヶ月弱の芸能生活を応援していきます。

 

というわけで18曲を選出したのですが、上半期と下半期の双方で選んでいながら年間ベストに三浦大知さんが入っていないことに疑問の声があがるかもしれません。客演を含め選出した3曲、およびアルバム『HIT』収録曲も高質揃いなのですが、昨年の「Cry & Fight」のようなインパクトが欲しかった!というのが正直なところです(かなり贅沢な望みだと承知しています)。過去のオリジナルアルバムからのリード曲である「Black Hole」「Can You See Our Flag Wavin' In The Sky?」のような、それこそw-inds.の項で触れた”流行の洋楽を邦楽へ落とし込む”ことを行ってきたわけですし、「Cry & Fight」のようなトレンドセッターになり得る楽曲をどんどん輩出してほしい...いや三浦大知さんなら出来る!と思っています。なお昨日の『第59回輝く!日本レコード大賞』で披露したフルコーラス×オーケストレーションな「EXCITE」のパフォーマンスは圧巻でした。

 

あらためて、今年のリストを。

2017 JP Songs Best (20171229)

 

01.ゴスペラーズ「Fly me to the disco ball」

02.藤井隆「守ってみたい」

03.w-inds.「We Don't Need To Talk Anymore」

04.土岐麻子「PINK」

05.女王蜂 feat. DAOKO「金星」

06.小沢健二「流動体について」

07.NakamuraEmi「大人の言うことを聞け」

08.Doughnuts Hole「おとなの掟」

09.平井堅「ノンフィクション」

10.欅坂46「エキセントリック」

11.MONDO GROSSO「ラビリンス」

12.Alfred Beach Sandal+STUTS「Horizon」

13.DAOKO×岡村靖幸ステップアップLOVE

14.Perfume「If you wanna」

15.RHYMESTER feat. KIRINJI「Diamonds」

16.星野源「Family Song」

17.米津玄師+菅田将暉「灰色と青」

18.安室奈美恵「Finally」

 

Total Time:1:18:12

 

 

今年一年、本当にありがとうございました。来年も素晴らしい音楽に出逢えること、心から願っています。