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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

近年のティンバランドとゴスペルと

ティンバランドといえば世界の音楽業界でその名を知らぬ人はいないと言っても過言ではないプロデューサー。1990年代に変則的な(いや、誤解を恐れずに書くならば"変態的"な)"チキチキビート"で一世を風靡し、今は亡きアリーヤネクストレベルに押し上げるのみならず、マイケル・ジャクソン亡き後にリリースされた彼の未発表曲等に基づくブラッシュアップ作、『Xscape』では半数以上に関与しており、ジャンルを問わずスーパープロデューサーとして活躍しています。最近では旧知の仲であるジャスティン・ティンバーレイクの新譜にも関与していますが、カントリー界の新星クリス・ステイプルトンとの「Say Something」が米ビルボードソングスチャートでトップ10ヒットに。

ミュージックビデオで顕著に示されていますが、クワイアの如き大人数でのコーラスはここ最近のティンバランドの中の流行かもしれません。この他にも。

今年のグラミー賞でも披露された、アルバム『The Thrill Of It All』(2017)収録曲もティンバランドが関与。ちなみにサム・スミス自身がゴスペルアプローチを行っているという見方も出来、先行シングルで全米トップ10入りした「Too Good At Goodbyes」(→YouTube)ではクワイアの厚みはさほど感じられないもののゴスペル的だったり。英音楽賞のブリット・アワードではこの曲を、4名のコーラスを従えて披露していました。

 

で、話をティンバランドに戻すのですが、彼がゴスペルに熱心になっているのはなぜかを考えていたタイミングで、彼が手掛けたこの曲がチャートを上昇してきました。なるほど、もしかしたら彼女との接点がきっかけかもしれません。

アルバム『One Way』(2016)に収録された、タメラ・マン「Through It All」は最新2月24日付の米ビルボードゴスペルソングスチャートで23位に初登場。アルバムリリースから1年半以上経ったにもかかわらずチャートインするのはタメラの人気にほかなりませんが、そのタメラが所属していたクワイアを率いていたカーク・フランクリンをはじめ、マイロン・バトラーやトラヴィス・グリーンといったゴスペル界のビッグネームが関与した作品集から、まさかティンバランドとの作品がチャートに登場するというのは意外でした。しかもティンバランドは客演名義となっていて時折(いや結構?)声を聴かせてくれるのですが、それが彼の初期作品群における"チキチキ"な感じがして、懐かしさすら感じます。伝統的なゴスペルとは水と油にみえて、でも合っている感じがするのはなぜでしょう...不思議な浮遊感を持った曲です。このタメラ・マンとの仕事が、ティンバランドにゴスペルの扉を開かせてくれたきっかけなのかもしれません。

ティンバランドはプロデュースワークの傍ら自身のリーダー作も出していますが、『Shock Value II』(2009)以降途絶えているため早々のリリースを願うばかりですし、出たならばゴスペルアプローチも施していただきたく思っています。