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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

米津玄師「Lemon」 シングルCDセールスに至るまでの絶妙なタイミング

今夜最終回を迎える『アンナチュラル』(TBS 金曜22時)。脚本や演者の素晴らしさもさることながら、主題歌が挿入されるタイミングや歌詞に込められた意味(そして脚本とのリンク)等もまた絶賛されています。その主題歌が米津玄師「Lemon」。

3月16日7時の段階で再生回数は2570万を突破。日本では異例の数値と言えるでしょう。

 

この「Lemon」はビルボードジャパンのソングスチャートで4週連続トップ3をキープしていますが、シングルCDのリリースは今週...つまり次週のチャート以降にカウントされるわけで、恐ろしいほどの勢いを感じます(ちなみにこの4週において「Lemon」を上回ったのは、初週のシングルCDセールスポイントが加算された曲のみ)。そしてこのトップ3キープには巧みな戦略が垣間見られる気がします。

2月26日付(集計期間:2月12日~18日) 初登場2位

 ←2月12日に「Lemon」配信開始しデジタルダウンロード首位 (チャート解説)

3月5日付(集計期間:2月19日~25日) 2位 (チャート解説)

3月12日(集計期間:2月26日~3月4日) 2位

 ←2月26日に「Lemon」ミュージックビデオ解禁し動画再生首位 (チャート解説)

3月19日(集計期間:3月5日~11日) 3位 (チャート解説)

「Lemon」についてはドラマの評判に加え、3月8日にはアルバム『BOOTLEG』がCDショップ大賞を受賞しており(音楽ナタリーの記事はこちら)、いずれも曲を後押ししてくれています。ドラマの評判について、『アンナチュラル』は視聴率の中でもタイムシフト視聴率が突出して高く、脚本家の野木亜紀子さんがその点について触れている他、ビデオリサーチ調べのタイムシフト視聴率ランキング(こちらからバックナンバーを確認出来ます)でも高水準であることが解ります。現段階までに公開されている8話までの、(リアルタイム)視聴率とタイムシフト視聴率を合わせた総合視聴率において『アンナチュラル』は21~23%という高い水準をキープしており、そのことからも評判の高さをうかがい知ることが出来ます。

しかし「Lemon」の勢いをより高めているのは、実は"タイミング"でもあります。ドラマ主題歌ならば放送翌日に配信開始というパターンが多かったのですが(今クールの例でいえば、ドラマ『隣の家族は青く見える』(フジテレビ 木曜22時)の主題歌であるMr.Children「here comes my love」は初回放送の翌日、1月19日金曜に配信開始)、デジタルダウンロードもミュージックビデオもその解禁日を月曜に設定しているのです。「Lemon」もドラマ放送翌日の土曜に配信し始めればドラマからの流れで...という考えもあったかもしれませんが、チャートにおける各指標のカウント開始が月曜であることを踏まえ、1週間丸々カウントさせチャートで最大限の力を発揮させるようにしたと考えるほうが自然。これにより初週のデジタルダウンロードが"破格の勢い"となったわけです。

上記オリコンの内容であり、ビルボードジャパンのデジタルダウンロード指標とは若干の差異があるかもしれません。またミュージックビデオは配信6日間で1000万回再生を突破しています。

米津玄師さんは元々ネットとの親和性が高い方ですが、その彼の作品の中でも至上最速なのですから凄まじいこと。そしてこの6日分は丸々3月12日付ビルボードジャパンソングスチャートの動画再生指標の数値に全て反映。これらの結果が、総合トップ3入りを4週キープするという堂々たる成績となって表れているのです。

 

デジタルダウンロードとミュージックビデオの解禁を月曜に設定しチャートに最大限に反映されるようにしたこと、デジタルダウンロード解禁→ミュージックビデオ解禁→シングルCD発売を2週おいて段階的に行うことは米津玄師さん側の見事なまでの戦略といえるでしょう。これにより高い勢いと話題性を保ったままシングルCD発売を迎えることが出来たわけです。ただ、次週のチャートは先が読めない部分も。シングルCDセールスで最も初週セールスに力のあるAKB48が同日発売となっており、彼女たちの「ジャーバージャ」は初日ミリオンを達成しています。

この対決は見ものです。