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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

米津玄師の現所属先、ソニーの企業体質転換

昨日最終回だったドラマ『アンナチュラル』(TBS)は絶賛評が多く、続編を求める声は自分も同じです。8年前らしからぬスマホの大きさや、最後の字幕における"journy"というスペルミスが気になったのですが、後者についてはDVD化の際に直るものと考えます。

 

さて、ドラマ主題歌である米津玄師「Lemon」の販売手法、シングルCDリリースに至るまでの盛り上がりについては昨日書きました。

この動き、複合指標で構成されるビルボードジャパンソングスチャートへの反映の仕方を見るに、アメリカの販売手法を彷彿とさせます。米では今やシングルCDという概念はないので条件は異なれど、もしかしたら米津玄師さんのレコード会社側は、曲を最もバズらせる方法を意識しているのではないかと。尤もタイアップ先がヒットするかや質が高いかという要素も大きく作用するのですが。

 

そして、米津玄師さんがこの1、2年で大きく飛躍し広く世間にその名が轟いたように感じていたのですが、どうやら彼のマーケティングの変化は移籍が大きく関係しているのでは?という結論に達した次第。

2016年秋、シングル「LOSER / ナンバーナイン」が移籍第一弾であり、移籍先はソニー。インディでアルバムを一枚、ユニバーサルで同二枚リリースした後に移籍するというのは、移籍前分でベストアルバムを作るのが曲数的に難しいという点を踏まえれば珍しい気がしますが、それでも移籍したいと思わせる好条件がソニーにあったのかもしれません。そしてそれゆえか、『BOOTLEG』が商業的にも、また昨日書いたようにCDショップ大賞を受賞する等の高い評価を受け、内容的にも"大化け"したと言えるでしょう。

 

そのソニーといえば、10年前の所属歌手に関するブログを思い出すのです。

ここって、外に出て行くことはあっても、他社からの移籍というものがほとんどありません。

Waste of Pops 80s-90s 2009年1月18日~21日

 (過去ログはこちら。勝手ながら紹介させていただきました。問題があれば削除いたします。)

今週シングルをリリースしたAKB48は今やキングレコードの屋台骨となっていますが、元はソニー系列のデフスターレコーズ所属。『快進撃は、キングレコードに移籍直後にリリースした08年のシングル『大声ダイヤモンド』のヒットから始まった』とAKB48の前所属メーカー担当者が語る やっぱり“逃した魚”は大きかった? - 日経トレンディネット(2010年7月27日付)で書かれており、デフスターレコーズの自省(と、売上を逃した恨み?)があたかも彼女たちのDVDのタイトル、『逃した魚たち~シングル・ビデオコレクション~』(2010)に込められたかのよう。体力低下等、AKB48をつなぎとめられなかった原因を中の人が指摘しているのですが、ソニーには他社からの移籍が少ないことに加え、ダイアモンドの原石を容易に放出しがちという印象を抱いていました。

それが今やソニーでは、AKB48のライバルである乃木坂46欅坂46を抱えドル箱に育て上げています。しかもAKB48と比べてビルボードジャパンのソングスチャートでロングヒット且つ年間上位にランクインしており、曲の力のみならず米津玄師さんの作品群でも発揮されたマーケティング力が大きく貢献しているのかと思うのです。

そしてここ最近はソニーへの移籍組も登場しています。

 

宇多田ヒカル

2017年2月9日付。椎名林檎さんとの"EMIガールズ"の印象が強く、ソニーへの移籍に強く驚いたものです。

 

MAN WITH A MISSION

2013年8月19日付。セカンドアルバム『MASH UP THE WORLD』(2012)がトップ5ヒットになった矢先。アルバム『Tales of Purefly』(2014)には日本クラウン時代の楽曲も収録。海外進出にはソニーでという彼らの思い、前会社はどう思うのか...と今更ながら。

 

・DEEP

2016年3月16日付。LDH所属であり、彼らを通じて事務所のノウハウを学びたい(つながりを持ちたい)というソニーの思いがあったのかも。不思議なのはこの移籍第一弾シングルに続く作品(シングル「SING」)が出るまでにほぼ2年かかったということ。

 

Suchmos

2017年4月28日付。自主レーベルをソニー内に設立、という形。厳密にはスペースシャワーネットワークという準メジャー(インディ?)からの移籍にはなりますが、CMにも用いられた「STAY TUNE」の大ヒットで当時の彼らを準メジャーだと思ってる人は少なかったかと。

 

移籍組は決して多くないものの、個性を強く持ち合わせる方ばかり。ここに米津玄師さんも含まれるというわけです。先の記事で、ソニーの中の人がAKB48を手放したことを"体力低下"と表現していたわけですが、乃木坂・欅坂等で潤沢な利益を得て、次の段階へ進まんとする姿勢が伺えますし、米津玄師さんの「Lemon」のマーケティング宇多田ヒカルさんのシングルCDリリースしない姿勢を踏まえれば、CD(フィジカル)に頼りすぎない姿勢をソニーが採っているようにも。iTunes Store不参加やレーベルゲートCD等、"ソニー(独自技術)への囲い込み"という長年の企業体質が一気に転換し、今最も面白い戦略を行っているレーベルといえるかもしれません。