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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米津玄師「Lemon」...首位を獲れずじまいでいいのか

先週のブログエントリー、米津玄師「Lemon」 シングルCDセールスに至るまでの絶妙なタイミング (3月16日付)の最後で触れていた、ビルボードジャパンのソングスチャートにおける【米津玄師「Lemon」VS AKB48「ジャーバージャ」】、その結果が出ました。

最終的には他指標で「Lemon」に及ばずも、シングスCDセールスで6倍近くの差を付けたAKB48「ジャーバージャ」がソングスチャートを制しました。他方「Lemon」は登場5週目にして最高の総合ポイント数を叩き出しています。

面白いのは、チャート構成指標のひとつであるルックアップにおいて、「Lemon」と「ジャーバージャ」が逆転しているということ(「Lemon」1位、「ジャーバージャ」4位)。ルックアップとは『CDをPCでリッピングする際に大半のアプリケーションがアクセスする、楽曲やアーティスト名などを表示するためのデータベース』へのアクセス数であり、『ユーザーのパッケージに対するアクションをフォローするデータとして、または日本特有のレンタル動向をフォローするデータとして有効』(『』内はビルボードジャパンの自問自答 | Special | Billboard JAPANより)とのこと。つまりは、売上で6倍近くもあり、またレンタル解禁にもなっている「ジャーバージャ」が、レンタル解禁に至っていない「Lemon」に敗れているということであり、ここからシングルCDセールスにおける実際の購入者数(ユニークユーザー数)もみえてくるものと思われます。

 

さて、ここまでの「Lemon」のチャート推移を見てみると。

2月26日付(集計期間:2月12日~18日) 初登場2位

 ←2月12日に「Lemon」配信開始しデジタルダウンロード首位 (チャート解説)

3月5日付(集計期間:2月19日~25日) 2位 (チャート解説)

3月12日(集計期間:2月26日~3月4日) 2位

 ←2月26日に「Lemon」ミュージックビデオ解禁し動画再生首位 (チャート解説)

3月19日(集計期間:3月5日~11日) 3位 (チャート解説)

3月26日(集計期間:3月12~18日) 2位

 ←3月14日に「Lemon」シングルCD発売開始しシングルCDセールス2位 (チャート解説)

「Lemon」はシングルCD発売週に最もセールスの強い歌手とぶつけてしまい首位を獲得することが出来ませんでした。過去5週全てトップ3入りを果たしながら、ここまで来て未だ首位を獲得出来ていないのことに、特にレコード会社側が悔しい思いをしているかもしれません。今回のチャートにおける集計期間が「Lemon」のタイアップ先であるドラマ『アンナチュラル』(TBS)の最終週であったことからシングルCDがより売れた(逆に言えば今週のセールスは予想以上に失速する)可能性があり、今後の展開が読みにくいということもあるでしょうが、本気で首位獲得を目指すならばここは思い切って、米津玄師さんの曲のストリーミング配信解禁が必要かもしれません。

ダウンロードでは首位の「Lemon」はストリーミング部門ではランクインせず。というのも現段階で、米津玄師さんの楽曲は「Lemon」はおろかシングル/アルバムが全て未配信、インディ時代のコンピレーションアルバム収録曲、DAOKOさんとの「打上花火」や中田ヤスタカさんとの「NANIMONO」等ごく一部に限られているのです。しかしながらその「打上花火」がストリーミングチャート3位で総合14位、また違う歌手ではありますがシングルCDセールス2週目の欅坂46「ガラスを割れ!」がストリーミング首位で総合3位(無論シングルCDセールス3位というのも好調の要因ですが)と、ストリーミングも少なからず総合チャートに寄与していることを踏まえれば、たとえば実験と称して「Lemon」だけでも配信してみるというのもいいのかもしれません。

 

無論、ビルボードジャパンのチャートについて歌手側やレコード会社側が意地でも首位を獲りたいと思っているかどうかはわかりかねます。しかし現状、唯一の事実は、あれだけ大ヒットしている「Lemon」が1週でも首位を獲ることが出来ていないという点。1位という事実、そのインパクトは"箔"として人々がおぼろげでも記憶に残っていくものであるゆえ、ここまできたら首位獲得を本気で目指してほしいと希望する自分がいます。シングルCD発売まで絶妙なタイミングで解禁し続けた、その綿密さを踏まえればシングルCDリリース後の戦略も用意出来るものと期待します。