新年度、青森県の放送局はどこもアナウンサー事情が大きく変わります。特に異動で2名、退社で1名失ったRAB青森放送には未だショックを隠しきれません。
アナウンサーがアナウンサーのまま放送局に在籍し続けるのが難しい時代って正直がっかりします。長い時間をかけてアナウンス技術を磨き上げスペシャリストになるという考えが今の放送局に足りていないのでは? 最初の数年を契約社員として...というのも、正直首を傾げざるを得ません
— Kei / BreastKonaka (@Kei_radio) 2018年3月30日
部署異動の多さにおける私見を以前書いたのですが、しかしこれは同時に、全国的に放送局のアナウンサーに対する考えの変化も影響しているのでは...というのを感じています。つまりは、優先されるのは技術より美、なのではないかと。
今日、元アイドルの方がアナウンサーとして採用され入社するニュースが流れており、この記事を思い出した次第。
固定ファンの少なくなさ、制作費の窮迫は解るのですがしかし、記事のこの部分にははっきりいってモヤモヤします。
ただし、アイドルであれば誰でもよいということでは決してない。元アイドルがアナウンサーをやることに対しては、「ニュースを読めない」「顔だけ」などといった批判も当然ある。しかし、近年はアイドルたちも高学歴化しており、慶應義塾大学出身の紺野、早稲田大学文学部出身の市來など、アナウンサー足りうる知識と教養を備えたアイドルが増えた結果、入社への大義名分をクリアし、局側から見て“入れやすくなった”という面もあるだろう。
・上記オリコン記事より
元アイドルが批判される点が"ニュースを読めない" "顔だけ"であるのに対し、"高学歴化"で対処可能という論理は無理があります。ニュースを読めない/読めるの差は学歴に関係なく"アナウンス技術"であり、それは以前からここで幾度となく指摘しています。
上記は極度な例(学生時代のその美しさゆえに活躍の場があった方が採用後比較的早く平日帯のニュースキャスターを担当したパターン)ながら、この局のような考え方が全国的に広がっている予感がしてなりません。しかし、ビジュアルが秀でていても、視聴者は速やかに慣れていくことでしょう。ニュース番組を任せた際に噛む回数やアクセント狂い(誤ったアクセント使い)が多いと視聴者は、"なぜこの人にニュースを読ませる?"という疑いの目を持ち合わせてしまいます。入社以前に活躍されていた方が学生時代にアナウンス学校に通い基礎となる技術は習得したであろうと思いたいですが、先述したオリコンの記事ではその旨が一切書かれていない上にアナウンサーは元アイドルにとっての"セカンドキャリア"と言い切ってしまうところに、アナウンサーを軽くみてやいないか?と腹立たしさすら覚えてしまいます。そしてこの感覚がテレビ局の今の思惑ならば、本気でアナウンサーを志し、アナウンス技術にも長けた(学生時代から既に一定の水準に達していた)方がアナウンサーになる機会を更に逸しやすくなるわけで、とてつもない機会損失と言えるでしょう。その方本人のみならず、放送局として。
無論、元アイドルの方全てがアナウンス技術に長けていないというわけではありませんし、そういう厳しい目線は他のアナウンサーよりも承知のはず。元アイドルではありませんが、二世タレントとして活躍している元フジテレビアナウンサーの高橋真麻さんの、アナウンサーとしての評判の高さを聞くに、入社前後の努力が厳しい視線を跳ね除け確実な地位を掴み取る唯一の方法ではないかと思います。
最後に、放送局の意識改革も必要ですが、視聴者たる我々もそろそろ、"女性アナウンサー"と"女子アナ"を区別し、前者に重きを置くスタイルを採ってみてはいかがでしょう。尤も"女子アナ"的ステイタスを最初に作り上げたのは放送局側だとは思うのですが。