昨日速報版を紹介した、最新5月5日付米ビルボードソングスチャート。
トップ10内に3曲を送り込んだJ・コールですが、その3曲だけではありませんでした。同週のアルバムチャートで首位を獲得した『KOD』収録の全12曲を、ソングスチャートトップ100内に送り込んできたのです。
J.コール、ニューAL『KOD』全12曲が全米チャート入り 3曲同時TOP10初登場は史上初 https://t.co/Zoe7PMVQP1 #JCole pic.twitter.com/7tuuOJbc7Z
— Billboard JAPAN 洋楽 (@BillboardJP_INT) 2018年5月1日
アルバムの実売とは別に、曲単位での購入やストリーミングでの聴取のアルバムへの換算分も加えられ、アルバムチャートの単位が(実売)枚数ではなく"ユニット"となることから、特に若いリスナーの多いヒップホップが今のアルバムチャートで優位になる傾向があるのですが、同じくストリーミングが構成指標のひとつとなるソングスチャートにも反映された形です。とはいえ12曲中3曲はイントロ、アウトロおよびインタールードであり、これも含めていいものか...と思うのが私見だったり。また次週はポスト・マローンのアルバムが初登場首位を獲得する見込みですが、アルバムは18曲入りで、既に2曲が最新の米ソングスチャートにランクインすることから、さらに16曲が登場することが予想されます。その後ドレイク等も控えていることを考えれば、地道に上位進出を狙う曲がヒップホップ、いや言い換えるならばストリーミングの荒波とどう戦うかがより重要となります。これまで以上に体力を付けなければ即座にさらわれてしまいますし、チャートの特性を知らない方からすれば、たとえ赤丸がついていても(前週より勢いがあったとしても)ランクが下がっていれば、ピークが過ぎたと思われてもおかしくないわけで、その風評被害(と書くと大袈裟かもですが)とも戦っていかなければなりません。少しでも多くの方の見方を適正にすべく、このブログを書き続けていこうと思います。
さて、長い前置きになりましたが、今週86位にランクインしているのがカントリー歌手、ダリアス・ラッカーによる「For The First Time」。前週から4ランクダウンしていますが赤丸。先述したように上位にはJ・コールの12曲が初登場したことを踏まえれば、未だ勢いのある楽曲です。
アルバム『When Was The Last Time』(2017)からのナンバー。で、この声と風貌で気付いた方もいらっしゃるでしょうが、ダリアスは今からおよそ四半世紀に一大センセーションを巻き起こした、フーティー・アンド・ザ・ブロウフィッシュの一員なのです。
上記3曲はいずれも米ビルボードソングスチャートでトップ10入りを果たした、アルバム『Cracked Rear View』(1994)収録曲。アルバムは最終的に1500万枚近く売り上げ(一説にはそれ以上とも)、彼らは1996年のグラミー賞で最優秀新人賞を獲得し、大成功を収めます。その後フーティーは『Looking For Lucky』(2005)まで5枚のアルバムを残しますがその後リリースは途絶え、一方でダリアスは2008年にカントリー歌手としてのデビュー作『Learn To Live』がカントリーアルバムチャートを制し(総合でも5位)、現在までコンスタントに活動しています。日本ではカントリーというジャンル自体が流行らず、ポップとのクロスオーバーによって初めて注目されるという傾向が強いのですが(それこそシャナイア・トゥエインやフェイス・ヒル、2010年代前半までのテイラー・スウィフトのように)、ダリアス・ラッカーは今も人気の歌手なのです。
で、そのダリアスですが、フーティー・アンド・ザ・ブロウフィッシュとのしての活動も継続しているとのこと。3年前にはテレビ番組で「Hold My Hand」を演奏しています。
2015年3月の放送。同年5月に、番組ホストのデヴィッド・レターマンが退くとのことで出演した模様。しかしながら彼らは年数回会っている上、ライブもこなしているとのこと(フーティー&ザ・ブロウフィッシュ、再び? | BARKS(2012年7月31日付)より)。で、調べてみるとバンドのTwitterアカウントが。
No better way to end #MAM2018 pic.twitter.com/GzAZbAc08e
— HootieAndTheBlowfish (@HootieTweets) 2018年4月10日
8月10、11日にも公演を行うそうですが、上記はどうやら今年のマスターズゴルフの最終日の翌日に開催された、"マンデー・アフター・ザ・マスターズ"というイベントでのセットリスト。「Hold My Hand」がないのには驚きましたが先述した以外に米ソングスチャートトップ20ヒット2曲も含まれ、会場の熱気が高かったのだろうと推察されます。もし今回の「Only Wanna Be With You」がこんな感じだったら、盛り上がらずにはいられないでしょう?
合間にクール・アンド・ザ・ギャング「Get Down On It」を挟むという離れ業! そういえばダリアス・ラッカー、ソロ第一弾となるアルバム『Back To Then』はR&B作。ヒットはしませんでしたが、レーベルがヒドゥン・ビーチだったことが好事家の注目を集めたことを思い出した次第です。
フーティー・アンド・ザ・ブロウフィッシュとしてのアルバムが出るのか、はたまたダリアス・ラッカーがR&Bに回帰してアルバムを出すのか...後者の可能性は著しく低いでしょうが、気になるところです。