イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米ソングスチャート、ドレイク15週天下にピリオドを打ったのはあの話題(問題)作

ビルボードソングスチャートを定点観測。

現地時間の5月13日月曜に発表された、5月19日付最新チャート。遂にドレイクの通算15週天下が落城、チャイルディッシュ・ガンビーノ「This Is America」が初登場で首位を獲得しました。

記事は下記に。

 そしてトップ10はこちら。

つい先日、どうやら首位が替わるのではと米ビルボードが予想していました(次回の米ソングスチャート、遂にドレイクの15週天下にピリオドか? 米ビルボードが推測(5月13日付)参照)。実際その通りになりましたね。その理由は、チャイルディッシュ・ガンビーノの強烈な作品にあります。下記は危険な表現を伴うため【閲覧注意】です。

・【閲覧注意】チャイルディッシュ・ガンビーノ「This Is America」

この曲の反響については先述したブログエントリー内のリンク先をご参照ください。最終的なチャート構成指標の数値はストリーミングが6530万、デジタルダウンロードが78000で両指標で首位を獲得(双方共に木曜締め)、ラジオエアプレイ(日曜締め)が940万。一方ドレイク「Nice For What」(総合2位)はラジオエアプレイが前週比18%もの大幅アップで同指標8位につけたものの他指標の減少を補うまでには至りませんでした。「This Is America」は『サタデー・ナイト・ライブ』(NBC)で5日土曜に披露され翌6日日曜にデジタルダウンロードおよびミュージックビデオが解禁されており、デジタル2指標のカウント開始日である金曜の解禁でなかったにもかかわらずロケットスタートを切ったのです。ストリーミングのうち68%がミュージックビデオ再生回数で占められたとのことで、いかにビデオがインパクト大だったかが解ります。

この「This Is America」の首位獲得で、これまで「Redbone」の12位が最高だったチャイルディッシュ・ガンビーノにとって初の全米制覇(それどころかトップ10入りも初)となります。各指標においてもこれまでストリーミング10位、デジタルダウンロード14位が最高でしたので大幅更新。初登場での首位獲得は米ビルボード史上31曲目であり、これまで15週首位を獲得したドレイク「God's Plan」(11週連続)、「Nice For What」(4週連続)に続き3曲連続での初登場首位という記録は、1995年のマライア・キャリー「Fantasy」(9月30日付)~ホイットニー・ヒューストン「Exhale (Shoop Shoop)」(11月25日付)~マライア・キャリーボーイズIIメン「One Sweet Day」(12月2日付)以来。1995年は4曲が初登場首位を記録していますが(他にはマイケル・ジャクソン「You Are Not Alone」(9月2日付))、2018年はわずか半年で早くも3曲が初登場首位を獲得しています。ただ、1995年と2018年でチャート上最も強く牽引する指標は大きく異なり、23年前はCD、そして現在はストリーミングとなっているのは興味深いところです。

 

ドレイクは16週連続での首位獲得となりませんでしたが、15週連続首位は歴代4位の好記録。上にはジャスティン・ビーバー(2017 17週)、アッシャー(2004 19週)、そしてブラック・アイド・ピーズが(2009年に「Boom Boom Pow」(12週)~「I Gotta Feeling」(14週)のリレーで26週、半年もの首位を獲得)。しかし先述したようにドレイク「Nice For What」は未だエアプレイで伸びており、ラジオエアプレイ指標が1990年に開始して以来、ドレイクは男性ソロ歌手としてリル・ウェインと並び歴代最多となるトップ10入り(20曲)を果たしました。

そのラジオエアプレイでは首位が交替。カントリーソングスチャートで24週目の首位となりデュオもしくはグループとしては同チャートにて歴代最多タイの記録となったビービー・レクサ&フロリダ・ジョージア・ライン「Meant To Be」が陥落、替わりにゼッド、マレン・モリス&グレイ「The Middle」がトップに立ちました。とはいえ数値は1億1910万、前週比1%未満のダウンにはなっていますが。

 

もうすぐトップ10は下記に。

・イマジン・ドラゴンズ「Whatever It Takes」(21→12位)

 

・トラヴィス・スコット feat. リル・ウージー・ヴァート&カニエ・ウェストWatch」(16位初登場)

ストリーミング指標で7位に入ったことがチャートを牽引。

 

・エラ・メイ「Boo'd Up」(37→17位)

 

・ニッキー・ミナージュ「Chun-Li」(50→19位)

初登場で10位を記録、ミュージックビデオ公開によりストリーミングが13位に再浮上。

 

ケーン・ブラウン「Heaven」(28→20位)

今週8位のカミラ・カベロ「Never Be The Same」のリミックスにてデュエット相手を務めたケーン、初のトップ20ヒット。

 

最後に。ドレイクの2曲とチャイルディッシュ・ガンビーノ「This Is America」、3曲連続で初登場首位という記録が生まれましたが、初登場時においてはラジオエアプレイがほぼ力を発揮しないということがはっきり解ります。とはいえラジオエアプレイが非力かと言われれば、決してそんなことはないんですよね。前週アルバムが初登場で首位を記録したことで同週のトップ10に3曲を送り込んだポスト・マローンですが、今週トップ10に残ったのは1曲ながらタイ・ダラー・サインを招いた「Psycho」(総合2→4位)はラジオエアプレイが前週比13%上昇したことで大幅ダウンを免れています。しかも同指標では9位に入り、ポスト・マローン、タイ・ダラー・サイン共にラジオエアプレイ2曲目のトップ10入りとなりました。また3ランクアップしトップ10に返り咲いたエド・シーラン「Perfect」(総合9位)はヒップホップ大量初登場という荒波の中でラジオエアプレイの強さをキープし今週再浮上。トップ10在籍週数が半年(26週)となり、歴代10曲目となる半年間トップ10入りという記録を達成しています。つまりはデジタル2指標が瞬発力とすれば、ラジオエアプレイは持久力。ラジオエアプレイの瞬発力(早期の同指標トップ10入り)も無論大事ですが、ラジオエアプレイが伸び悩む曲のロングヒットはあり得ないというのが自分の考えです。