最近の平井堅さんはシングル曲でも如実に攻めているのが解ります。そしてその方向性が着実に支持を集めています。
8位は、平井堅「知らないんでしょ?」
— tokio_hot100 (@tokio_hot100) June 3, 2018
平井さんが主宰するコンセプトアコースティックライブ”Ken’s Bar”ですが、1998年から続けているそうで、今年で20周年を迎えました!#jwave #tokiohot100 #th100
昨日付の『J-WAVE TOKIO HOT 100』(J-WAVE 日曜13時)では8位を記録。同時発売のシングル「トドカナイカラ」(30位)と大きな差が生じています(なお、シングルCDのポイントが加算されるのは次週以降)。尖った言葉達が溢れる歌詞がここまで支持されるのは、単に平井堅さんがJ-WAVEチャート常連だからということだけではないはずです。
ミュージックビデオもとんでもないことになっていますが、この「知らないんでしょ?」については音楽ライターの森朋之氏による解説が非常に的確ゆえ、紹介させていただきます。
最後のサビの”何度も殺すの”からの”知ってるんでしょ”展開にはゾクッとさせられましたし、サビだけ曲調が明るくなる(そういえば最近の邦楽のトレンドと伺っています)のも巧いなと。そして森氏が取り上げていた楽曲群がいずれも個人的には大好きゆえ、「知らないんでしょ?」もまた自分の中でどんどん好きになるはず…そうなればなるほど自分の心の闇の深さが手に取るように解るとも言えるのですが。
さて、「知らないんでしょ?」でも用いられた”殺す”という不穏な言葉、最近の邦楽で使用頻度が低くないように思うのです。それも結構重要な立ち位置にあると思しき楽曲群で。
・ENDLICHERI「HYBRID FUNK」
堂本剛さんのソロプロジェクトにおける近年のファンクネスについては、業界内でファンが多いように思います。
今日午後、J-WAVEでも思ったのだが。
— 丸屋九兵衛 (@QB_MARUYA) May 6, 2018
堂本剛(ENDRECHERI)のPファンク志向/嗜好/思考は、音楽業界でもまだまだ知られていない気がする。
わたしが「歌詞が3行しかない」と形容したのは“Sankafunk”という曲。歌詞カード上は6行だが、実質的にはほぼ3行。https://t.co/KIh9gTzfSE pic.twitter.com/99Op9QWI1C
『J-WAVE TOKIO HOT 100』5月6日放送分で音楽評論家の丸屋九兵衛氏がENDRECHERIを紹介していましたが、そのアルバム表題曲に件の言葉が用いられています。
・欅坂46「ガラスを割れ!」
今やシングルCDセールスのみならず他指標でも強く、ビルボードジャパンソングスチャートではアイドルにあるまじき(と書くと失礼かもしれませんが)ロングランを記録することが当たり前となった欅坂46の最新シングル。衝動を抑えつけてないか?という自問自答に件の言葉が用いられています。
・BAD HOP「Kawasaki Drift」
T-Pablowの「川崎区で有名になりたきゃ人殺すかラッパーになるか」のライン、人間交差点でオーディエンスに衝撃を与えておりました(宇多丸) #utamaru
— みやーんZZ (@miyearnzz) May 31, 2018
あまりにも凄まじいラインに驚きつつ。この曲については5月31日放送の『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ 月-金曜18時)で紹介されています。みやーんさんの書き起こしを勝手ながら紹介。
川崎についてはリンク先でも紹介されている『ルポ 川崎』を読むと、よりその実像とラインの凄さが解るかもしれません。そして曲調における今のアメリカのトレンドの柔軟な取り入れもまた素晴らしく、海外に比べても遜色ないなと実感しています。
”殺す”という言葉はとてもきれいな言葉ではないですし、日本においてはペアレンタル・アドバイザリーの概念がないために表現が野放しになりがちな可能性もあり、今後”殺す”という言葉を用いた楽曲が増えていくかもしれませんが、だからこそ本当に大事なところだけにその言葉を用いて効果を最大化させられるか、創り手の手腕が問われてくるでしょう。今回取り上げた楽曲群はその成功例といえるものと考えます。