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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米ソングスチャートはヒップホップ強し! トップ10をヒップホップ関連作が独占

ビルボードソングスチャートを定点観測。

現地時間の7月30日月曜に発表された、8月4日付最新チャート。ダンス・チャレンジブームの影響でドレイク「In My Feelings」が3連覇を達成しました。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

ダンス・チャレンジブームで大ヒット中の「In My Feelings」は前週ストリーミング指標で史上最高の数値を叩き出しましたが、今週も1億の大台を突破しています(前週比8%ダウンの1億620万)。この影響は他指標にも及び、デジタルダウンロードは前週比9%ダウンながら104000を記録し、エド・シーラン「Perfect」(1月3日、6日、13日付)の以来となる2週連続での10万超えを達成。またラジオエアプレイでは登場わずか3週目にして前週の14位から5位に到達(前週比37%アップの8190万)。ジャスティン・ティンバーレイク「Can't Stop The Feeling!」(2016年6月4日付)以来となる最速でのトップ5入りを果たしたことで、ドレイクにとって21曲目のラジオエアプレイトップ10入りを達成。同指標が1990年12月に登場して以降、史上3位となるトップ10ヒットを輩出したことになります(リアーナ(29曲)、マライア・キャリー(23曲)に次ぐ)。

ドレイク自身においては2010年代に入り、今回で42週目となる首位を記録(客演参加も含む)。これで2010年代においてはリアーナの41週を破り首位獲得週数が単独で最多となりました。また、チャートが今の形になった1958年8月4日付以降、ディケイド(10年一括り)でみるとマライア・キャリー(1990年代 60週)、ビートルズ(1960年代 55週)、ボーイズIIメン(1990年代 50週)に次ぐ史上4位の記録となります。

 

ドレイクの強さが目立つ中、マルーン5 feat. カーディ・B「Girls Like You」(今週3位)がラジオエアプレイで、前週比13%もの大幅アップで1億1640万を叩き出し同指標首位を獲得。ラジオエアプレイにおいてグループにおける首位獲得曲数が、ボーイズIIメンと並んで最多の6曲となりました。ラジオエアプレイでは前週、カーディ・B、バッド・バニー & J・バルヴィン「I Like It」がトップに立っており、カーディ・Bにおいては自身の楽曲を(客演参加ながら)自身の楽曲が凌駕するという形に。この凌駕パターンは2016年2月13日付における、ジャスティン・ビーバー「Sorry」→「Love Yourself」以来となります。

 

4位に初登場を果たしたのがシックスナイン feat. ニッキー・ミナージュ「FeFe」。

昨年終わりに「Gummo」が最高12位を記録したシックスナイン(スペルは6ix9ine。とはいえすごい名前ですね…)による初のトップ10ヒット。7月22日に発売されたこの曲はストリーミングで4570万を記録し2位発進、デジタルダウンロードは24000で6位でのスタートとなりました。フィーチャーされたニッキー・ミナージュにとっては17曲目となるトップ10入りを果たし、女性ラッパーでは最多記録を更新(2位はミッシー・エリオットの9曲)。更にはこれまでトップ100内に登場した93曲中、過去最高の初登場順位となりました(これまではジェシー・Jとアリアナ・グランデを迎えた「Bang Bang」(2014)の6位が最高)。

 

トップ10内にはタイガ feat. オフセット「Taste」も10位にランクイン。

こちらは登場9週目にしてのトップ10到達。ストリーミングでは前週比4%アップの3020万(同指標6位)、デジタルダウンロードは同3%アップの14000(同18位)、そしてラジオエアプレイは同18%アップし3210万を記録しています(同31位)。タイガにとってはクリス・ブラウンに客演参加した「Loyal」(2014年 9位)、自身の「Rack City」(2012年 7位)に次ぐ3曲目のトップ10入り。オフセットはソロとして初ながらミーゴスでは4曲トップ10ヒットを出しています。

 

もうすぐトップ10はこちら。

テイラー・スウィフト「Delicate」(12→12位)

前週と変わらず。この曲が収録されたアルバム『Reputation』は半年ぶりにアルバムチャートでトップ10内に返り咲いており(14→9位)、間違いなくこの曲の影響といえます(アルバムチャートは【米ビルボード・アルバム・チャート】ドレイク『スコーピオン』が4週目の首位、アルバム首位記録はジェイ・Zと並んで歴代2位に | Daily News | Billboard JAPAN(7月30日付)より)。

 

・カリード & ノーマーニ「Love Lies」(21→18位)

ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー「Youngblood」(32→25位)

「Love Lies」「Youngblood」共に先日紹介した『Now 100』に収録。伸びてきました。

 

それにしてもヒップホップ勢が強すぎます。首位だけを見てもドレイク「God's Plan」(11週)→同「Nice For What」(返り咲きを含め通算8週)→チャイルディッシュ・ガンビーノ「This Is America」(2週)→ポスト・マローン feat. タイ・ダラー・サイン「Psycho」(1週)→エクスエクスエクステンタシオン「Sad!」(1週)→カーディ・B、バッド・バニー & J・バルヴィン「I Like It」(1週)→ドレイク「In My Feelings」(3週)と、これで27週連続で首位がヒップホップ勢による独占。またトップ10内をみても。

唯一ラッパーがクレジットされていないのがエラ・メイ「Boo'd Up」(7位)ですが、リミックスにはニッキー・ミナージュとミーゴスのクエヴォが登場します。

ポスト・マローンやドレイクが"歌っている"と揶揄されることもありますがそれはヒップホップがより柔軟になっているゆえともいえます。前週トップ10内にランクインしていたアリアナ・グランデ「No Tears Left To Cry」がトップ10落ちしたことで、トップ10内はすべてラッパー絡み、ヒップホップ(およびヒップホップ寄りな)作品になっているんですよね。これが今のアメリカであり、日本ではなかなか考えられない事態だと言えます。