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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンソングスチャート、2週連続首位の星野源と同じ事務所所属歌手に生じた明暗

最新9月10日付のビルボードジャパンソングスチャート。前週トップに立った星野源「アイデア」が首位をキープ。シングルCD未リリースの作品が連覇という快挙達成です。

「アイデア」はデジタルダウンロードとTwitterの2指標で首位をキープ。ラジオも2位ながら、動画再生が3ランクダウンして5位に。他方今週2位のDA PUMP「U.S.A.」は動画再生で首位をキープ。

その結果。

その差は40ポイント。大接戦です。その「U.S.A.」の動向を振り返ってみると。

日付 総合順位 総合ポイント

 各指標順位(ダウンロード/ストリーミング/シングルCDセールス/ルックアップ)

6/18 3位  7554ポイント 2位/10位/10位/30位

6/25 5位  6551ポイント 5位/1位/19位/18位

7/  2 3位  6236ポイント 3位/2位/29位/14位

7/  9 4位  7243ポイント 2位/1位/23位/7位

7/16 2位  8033ポイント 2位/1位/15位/5位

7/23 2位  8090ポイント 1位/1位/27位/4位

7/30 2位  8371ポイント 1位/1位/20位/5位

8/  6 3位  9923ポイント 3位/1位/22位/4位

8/13 4位 11390ポイント 1位/1位/20位/4位

8/20 2位 10039ポイント 1位/1位/20位/4位

8/27 4位  9038ポイント 3位/1位/18位/5位

9/  3 3位  9621ポイント 4位/1位/28位/5位

9/10 2位  8597ポイント 6位/1位/18位/3位 ←New

前週から1割以上落とすという動向は1ヶ月前から続いているものですが、9月3日付は別。というのも、この週は『24時間テレビ』(日本テレビ)への出演が大きく寄与したものとみられるため。今週は2曲とも『うたコン』(NHK総合 火曜19時30分)で披露されていますが、勢いや流れを踏まえるに、「U.S.A.」が「アイデア」を逆転する可能性は高いとみています。「アイデア」が今後も数字をキープするにはストリーミングの解禁が急務だと思うのですが、星野源さんが定額制音楽配信サービスへの解禁を未だ行っていない現状にあっては難しいものとみられます(ストリーミング指標においては16位にランクインしていますが、これは「アイデア」の歌詞表示回数のみによるもの。ストリーミングのカウント方法についてはビルボードジャパンの自問自答 | Special | Billboard JAPANをご確認ください)。

 

さて、今回気になる動きが。それは福山雅治「甲子園」の初登場順位。17位というのは低すぎるのではないでしょうか。

8月27日月曜に解禁されたデジタルダウンロードは9位、ストリーミング83位、ラジオエアプレイ96位そしてTwitter56位。8月24日にミュージックビデオが解禁されましたが、動画再生ではトップ100に入っていません。全国放送のラジオ番組を持っているにもかかわらずラジオエアプレイが異様に低いのも気になるのですが、ストリーミングの低さもまた気になるゆえ、星野源さん同様に未解禁なのかと思い調べてみると、解禁されているんですよね。

(上記では価格が掲載されていますが、Apple Musicのリンクを掲載したものです。)

先週金曜には『ミュージックステーション』(テレビ朝日 金曜20時)に出演しておりその影響もあったとは思いますし、またこの曲がNHK版のテーマソングとなった全国高校野球選手権大会の盛り上がり(しかしながら優勝校よりも準優勝校ばかりがフィーチャーされるメディアのやり方には強い違和感を覚えましたが)を踏まえると、もっと順位が上がってもよかったのだと思うのですが。

私見ですが、今回の楽曲解禁が全国高校野球選手権大会決勝の6日後だったのが大きな原因だと考えます。大会開催前もしくは開催中にリリースしていれば大きく異なっていたかもしれません。いや実は、(NHK版の)ミュージックビデオは7月21日に地方局で、24日に全国で放送されており、ラジオエアプレイも同月21日に解禁されていたわけで、ならばデジタルダウンロードも同時期に解禁してよかったはずかと。

デジタルダウンロードならびにYouTubeでの公開も(おそらく後者において、NHKサイドとの取り決めはあっただろうと想像出来ますが)前倒し出来ていたならば、ビルボードジャパンソングスチャートでトップ10入りを逃すことはなかったと思うのです。公式サイトによるとデジタルダウンロードのアナウンスがあったのが8月11日。しかしそこから発売開始まで16日も空いたことが、より疑問を深めてしまっています。

 

星野源さんの「アイデア」のリリースがアナウンスされたタイミングで、星野源さんや福山雅治さんが所属する芸能事務所、アミューズの”シングルCD未リリースへのシフト”について書きました。

アミューズ側としては、シングルCD未リリースを今後も続けていくものと思われます。が、今回の「アイデア」と「甲子園」の動向を踏まえるに、シングルCD未リリース曲をどうやってより多くの方に届けるかは各歌手毎に戦略が異なるというか、その歌手毎のスタッフ(や所属するレコード会社側)にマーケティングをほぼ委ねているのではとみています。福山雅治さんにおいては、興行収入87億を突破し大ヒットとなった『名探偵コナン ゼロの執行人』の主題歌である「零 -ZERO-」についても、ビルボードジャパンソングスチャートでは最高9位、しかもトップ10には1週しか在籍していません(CHART INSIGHTより)。楽曲がより多くの方に届くはずの機会を逃しているのではと思えてならず、勿体無い気がしてなりません。