イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

2018年、R&B最重要アルバム『Ella Mai』を手に入れるべき理由

2018年のR&B最重要アルバム、遂に登場。

イギリスのR&B歌手、エラ・メイ。初のフルアルバム『Ella Mai』が10月12日にリリースされます。EPにも収録された「Boo'd Up」が米ビルボードソングスチャートで最高5位を記録し、フルアルバムを心待ちにしていました。

R&B最重要作と位置付けたのはいくつか理由が。ひとつは、自分のツイートで引用した音楽評論家の林剛氏が、R&B最大の音楽フェスであるエッセンス・フェスティバルに今年参戦した際、彼女の「Boo'd Up」を”現象”と称していたゆえ。

そしてその現象は賞レースにも反映されて、”候補”となっているのがふたつめの理由。10月9日に開催されるアメリカン・ミュージック・アワードではソウル/R&B部門において、エラ・メイがフェイバリット女性アーティストに、「Boo'd Up」がフェイバリットソング部門にノミネート。フルアルバム未発表の歌手がノミネートされるのは異例かもしれません。

さらに、チャート上の”偉業”も理由なのですがそれは後述。

 

エラ・メイはロンドン生まれの23歳。バイオグラフィーbmrに詳しく掲載されていますのでそちらを是非。

「Boo'd Up」は3枚目のEP『Ready』からのシングルで、米ビルボードソングスチャートで最高5位を記録。合わせて『Ready』もアルバムチャートで最高29位を獲得しています。先述した林剛氏のエッセンス・フェスの模様もお送りした『松尾潔 メロウな夜』(NHK-FM 月曜23時)ではこの「Boo'd Up」のビルボードチャートにおける”偉業”が語られており、先の”現象”をデータが証明した形です。

アメリカのビルボードという大変権威のあるチャート誌がございますが、そこのランキングの中でR&B部門の三大チャートと言いましょうか。

まずメインストリームのR&B、ヒップホップ総合チャート。そしてR&B、ヒップホップのエアプレー。オンエアチャートですね。そしてこの『メロ夜』にもっとも近い色合いを持ったアダルトR&Bソングス。まああのヒップホップ寄りのR&Bからヒップホップ抜きの純正R&Bまでという、つまりアフリカン・アメリカンの中でもかなり幅広い年齢のこの三つのチャートすべてで1位をとった女性アーティストとして、エラ・メイの『Boo’d Up』はビヨンセの『Love On Top』以来6年ぶりだそうですよ。

松尾潔 Ella Mai『Boo'd Up』が達成した偉業を語る - miyearnZZ Labo(8月12日付)より

松尾氏が指摘したビヨンセ「Love On Top」以来の記録については、米ビルボードが記事にしています。

さらに「Boo'd Up」はR&Bストリーミングソングスチャートも制しているのですからその勢いを感じずに入られません。

「Boo'd Up」はこれらチャートの首位に在籍し続け、たとえばR&B/ヒップホップエアプレイソングスチャートにおいては最新9月29日付までに15週の首位を記録。1992年秋に同チャートがスタートして以来、首位獲得週数ではドレイク「Hotline Bling」(2015-2016)およびメアリー・J・ブライジ「Be Without You」(2006)という、総合ソングスチャートでも大ヒットした2曲と並び、歴代2位となりました(ちなみに最高はミゲル「Adorn」(2012-2013)の23週)。

そしてそのR&B/ヒップホップエアプレイソングスチャート、最新9月29日付においては新曲「Trip」が5位まで上昇。同日付総合ソングスチャートでも21位となり、「Boo'd Up」のひとつ下につけています。「Boo'd Up」の勢いを引き継げば「Trip」もヒットする可能性が高く、また下記ミュージックビデオが先週火曜に公開されたことから、次週のチャートでは丸1週間分のストリーミング(動画視聴)ポイントも加算される(ストリーミングとデジタルダウンロードは金曜が集計期間初日となる)ため、次週のさらなる伸びが期待できます。

「Trip」について松尾潔氏は、『前作の『Boo’d Up』の流れを含みつつも、似てはいないと言いますか。まあ大ヒットしたシングルに続く新曲という意味ではある種理想的な形』と述べています(『』内は松尾潔 Ella Mai『Trip』を語る - miyearnZZ Labo(8月31日付)より)。「Boo'd Up」と「Trip」という好対照な、でもどちらも極めてメロウなシングルを用意し、エラ・メイは初のフルアルバムを、それも自身の名を冠した形でリリースします。”現象” ”候補” ”偉業”が来たるアルバム『Ella Mai』を最重要作と位置付けた理由でしたが、そこに極々主観を乗せるならば”無抵抗(抗えない)” ”美メロ”(松尾氏が提唱する言葉)もまた手に入れるべき理由。今から楽しみすぎて仕方ありません。