イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米ソングスチャート、ドレイクがあのビートルズ超えを達成

ビルボードチャートを定点観測。

現地時間の10月22日月曜に発表された、10月27日付最新チャート。マルーン5 feat. カーディ・B「Girls Like You」が5週連続で首位をキープ、2曲が新たにトップ10入りを果たしました。そしてドレイクはあのビートルズ超えを達成です。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

「Girls Like You」はラジオエアプレイが前週比4%ダウンながら1億2000万を獲得し、13週目の首位を獲得しました。13週という記録は、1990年12月にラジオエアプレイ指標が出来て以来、歴代6位。この10年ではエド・シーラン「Shape Of You」(2017)を抜き単独最長記録を樹立しました。デジタルダウンロードは前週比5%ダウンの21000(同指標9位)、一方ストリーミングは同11%アップの2540万を獲得(同指標11位)。このストリーミングの上昇理由はミュージックビデオの第2弾が公開されたゆえ。

チャートアクションを伸ばしたり、もしくはキープさせる施策として、iTunes Storeでの69セント安価販売がこれまでの常套手段ではあったのですが、デジタルダウンロード全体の落ち込みを踏まえれば成立しにくくなったわけで、なるほどこういう手段(ミュージックビデオ”第2弾”公開)があったのか!と実感した次第。実は今回の手法、大きな意味を持っていたのですがそれは後述。

 

今週は2曲が初登場でトップ10入り。2位はコダック・ブラック feat. トラヴィス・スコット & オフセット「Zeze」。

スティールパンの音色が印象的で、若干の南国風味もあるこの曲。ストリーミングは4760万を叩き出し同指標で首位発進、デジタルダウンロード23000(同指標6位)、ラジオエアプレイは480万(50位以内にランクインせず)という結果に。コダック・ブラックにとっては昨年3月に「Tunnel Vision」が6位を獲得して以来2曲目のトップ10入りとなりました。また客演のトラヴィス・スコット(今週7位の「Sicko Mode」はようやくミュージックビデオが公開されました→YouTube)共々、自己最高位を更新。ミーゴスのメンバーであるオフセットにとっては、ソロとしては今年8月にタイガにフィーチャーされた「Taste」が8位を記録して以来2曲目、ミーゴスを含めると6曲目のトップ10入りとなります。

それにしても今週、1位と2位は熾烈な争いだったそう。実は先の「Girls Like You」ミュージックビデオ第2弾が公開されていなければ「Zeze」が初登場首位だった模様だと米ビルボードが報じているのです。仮に首位陥落の可能性を見越してマルーン5側がミュージックビデオ第2弾を仕掛けたのだとしたら、マルーン5側のマーケティング熟知能力に感心させられます。他方、「Zeze」はミュージックビデオが公開されていれば…と思わずにいられません。

 

5位に初登場を果たしたのはバッド・バニー feat. ドレイク「Mia」。

ストリーミングは3630万を稼ぎ3位発進、デジタルダウンロードは26000で4位、またラジオエアプレイは1190万(50位以内にランクインせず)を記録。プエルトリコ出身のバッド・バニーにとっては今年1位を獲得した、カーディ・B、J・バルヴィンとの「I Like It」に次ぐ2曲目のトップ10入り。そしてドレイクにとっては実に32曲目のトップ10となり、トップ10入り曲数で歴代単独3位となりました(首位はマドンナの38曲、ビートルズが34曲。「Work」でドレイクを客演に迎えたリアーナが31曲で、ドレイクはそのリアーナを抜いた形となります)。

しかもドレイクは今年だけで12曲をトップ10に送り込みました。年間最多トップ10入り曲数においては1964年にビートルズが成し遂げた11曲を超え、単独首位に。ストリーミングの影響でアルバムがチャートインした同じ週にソングスチャートでもトップ10入りする曲が増えた傾向にあるとはいえ、ビートルズ超えは凄まじい記録だといえます。

「Mia」はラテンソングスチャートも制覇。全てスペイン語で歌われている曲が同チャートでトップに立ち、総合でも5位という結果に。近年では英語以外の曲、もしくは英語が入っていたとしても主に使われる言語ではないという曲がランクインする傾向があり、スペイン語においてはルイス・フォンシ & ダディー・ヤンキー feat. ジャスティン・ビーバー「Despacito」(2017 16週1位)、J・バルヴィン & ウィリー・ウィリアム feat. ビヨンセ「Mi Gente」(2017 3位)が、韓国語においてはBTS「Fake Love」(2018 10位)があります。

 

前週アルバムチャートに初登場し、ソングスチャートでも初登場でトップ10入りを果たしたリル・ベイビー & ガナ「Drip Too Hard」は4→8位、映画『アリー/スター誕生』使用曲のレディー・ガガブラッドリー・クーパー「Shallow」は5→10位で共にトップ10に留まりました。その結果、今週ファーストフルアルバム『Ella Mai』が5位に初登場を果たしたエラ・メイの「Trip」が、アルバムの勢いで後押しされながらも16→11位でトップ10入りを逃したのは極々個人的ながら悔しい限りだったりします。

その他、もうすぐトップ10としてはイマジン・ドラゴンズ「Natural」が前週と変わらず13位をキープ。

DJスネイクがセレーナ・ゴメス、オスーナそしてカーディ・Bを迎えた「Taki Taki」が31→16位となっています。

 

先週初登場トップ10組では、マシュメロ feat. バスティル「Happier」も8→6位と力をつけています。今週の初登場組が「Happier」や「Drip Too Hard」、「Shallow」並にその勢いを保てれば、来週はより(いい意味で)混沌としたチャートとなりそうです。