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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンソングスチャートと最も乖離? でも独自のアクションがみえるラジオエアプレイチャート

昨日発表された、最新11月5日付ビルボードジャパンソングスチャート。

これを踏まえ、昨日の段階でこうコメントしました。

ビルボードジャパンには、ソングスチャートを構成する7つの指標について、それぞれの順位が解るCHART insightがあり、そこで各曲がどの指標に強いか(または弱いか)が判断出来ます。同時に、どの指標に強いと総合ソングスチャートで上位に来るかというのもある程度みえてくるかもしれません。最新チャート( CHART insightでは10月22日~28日週)における各指標上位20曲の、総合ソングスチャートに占める割合をチェックすると。

・シングルCDセールス

 :100位以内 18曲 / 20位以内 11曲 / 10位以内 7曲(35%)

・デジタルダウンロード

 :100位以内 20曲 / 20位以内 9曲 / 10位以内 6曲(30%)

・ストリーミング

 :100位以内 20曲 / 20位以内 4曲 / 10位以内 3曲(15%)

・ラジオエアプレイ

 :100位以内 12曲 / 20位以内 5曲 / 10位以内 2曲(10%)

・ルックアップ

 :100位以内 18曲 / 20位以内 10曲 / 10位以内 7曲(35%)

Twitter

 :100位以内 18曲 / 20位以内 7曲 / 10位以内 4曲(20%)

・動画再生

 :100位以内 18曲 / 20位以内 3曲 / 10位以内 2曲(10%)

トップ10入り率で3割以上となっているのがシングルCDセールス、デジタルダウンロードおよびルックアップ。ルックアップはCDレンタルが今も多く、またデジタルNGの芸能事務所所属歌手分の受け皿としてCDレンタルがその役目を担っていることもあり、ルックアップ上位曲と総合ソングスチャートは比例しやすいと言えるでしょう。

逆に最も比例していないといえるのが動画再生とラジオエアプレイ。そのうちラジオエアプレイでは音源リリースに先んじて解禁した曲がランクインし、セールスが加算されないゆえに総合ソングスチャートにランクインしない傾向もありますが、この流れはもしかしたら自分が以前願っていたことが少しずつ徹底されてきた、その表れかもしれません。

そしてラジオエアプレイならではの動きといえる2曲。いずれも洋楽です。

・アンダーソン・パーク feat. ケンドリック・ラマー「Tints」

ラジオエアプレイ9位(総合ソングスチャート100位以内ならず)。今月16日リリース予定のアルバム『Oxnard』からの先行曲は、アンダーソン・パーク同様今年のフジロックフェスティバルを盛り上げたケンドリック・ラマーをフィーチャー。曲の情報はbmrに詳しく掲載されていますドクター・ドレーとも深く関わっており、好事家の注目を集めているだけに納得のチャートインといえます。

 

マイケル・ジャクソン「Thriller」

ラジオエアプレイ20位(総合ソングスチャート100位以内ならず)。昨日までのハロウィンの盛り上がりは賛否両論あるでしょう。特に物損”事件”はあきらかに酷いと思いますが、それに至る”集団心理の恐ろしさ”について述べていた昨日放送の『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ 月-金曜18時)、冒頭の宇多丸さんの言葉になるほど…と思った次第。音源はラジオクラウドに上がっていますので是非聴いていただきたいものです。そしてその事態に直面した際の自分なりの対処法を探ることをお勧めします。

実はこの「Thriller」、「Thriller」のCHART insightを確認するとハロウィン時期のラジオエアプレイに強く、2014年は最高38位(11月10日付)、2015年24位(11月9日付)、2016年14位(11月7日付)、2017年17位(11月6日付)、そして今年20位となっており、総合ソングスチャートでも2014年は最高85位(11月10日付)、2015年88位(11月9日付)、2016年85位(11月7日付)を記録。ここ2年は総合ソングスチャートで100位以内になっていませんが、ラジオはその時期の風物詩や流行の鑑になっていると言っても過言ではないかもしれません。

 

ラジオエアプレイは、ある時を境にビルボードジャパンのホームページからチャートが見られなくなってしまい、もしかしたら7つの指標の中でウェイトが低いのでは?と考えていますが、【音源リリースに先んじた解禁がなされ、風物詩等の空気感を如実に示し、そして良い曲はきちんと支持する】という独特の動きが見て取れる指標ではないかと。現にOfficial髭男dism「Stand By You」が同指標で4週連続で首位を獲得しているのは良い曲支持の確固たる証拠だと感じています。

 

先にリンクを添付した自身の以前のブログでも触れましたが、ラジオエアプレイは他指標とは異なり、(リクエストでOAされることもあれど)局側からの提供によりユーザーが唯一”受動的に”曲を聴く媒体です。インターネットの発達で自ら進んで”能動的に”曲を聴くだけでは探し出せないものを提示してくれる可能性があります。だからこそラジオ局はその使命をきちんと心に据え、放送に接してほしいと思います。