こちらを読んでみて、どんなことを考えましたか?
(※追記(12/11):タイヤチェーン義務化を報じた記事のリンクを貼りましたが、消えてしまっています。)
タイヤチェーン装着”義務化”…警報レベルの大雪時に立ち往生等が懸念される区間限定とはいえ未装着車は罰則等が行われるという事態は、はっきりいって酷いというのが私見です。無論、冬は事故が起きやすいとして、ならば周知徹底を図った上で実行するのが筋であり、報道が出た2週間後に施行というやり方は拙策です。事故対策の必要性があるのは解るとして、まずやらないといけないことは他に沢山あるのです。
さて、この国土交通省の方針に関し、”パブリックコメント”の募集がはじまっています。締切は3日後。ここでは紹介が遅れてしまったのですが、どうしても紹介しないとと考え、取り上げます。
【リリース】タイヤチェーン非装着車通行禁止に関する標識の導入等についてパブリックコメント実施。
— 国土交通省 (@MLIT_JAPAN) November 16, 2018
「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」改正案
画像は、タイヤチェーンを取り付けていない車両の通行を禁止する意味を表示する規制標識の案。
詳しくはこちら↓https://t.co/OSiu2SJ6ww pic.twitter.com/SCIPVpdLhB
自分はこれを踏まえた報道が流れた後、いろんな方の意見を聞きましたが、全ての方が反対していました。それも猛烈に。
問題点は多岐に渡ります。
・チェーン義務化の発表から施行までの期間が短すぎる
・施行までの周知徹底が足りない
・チェーンが足りなくなる可能性がある
・規制時のチェーン未着用は罰せられるとのことだが取り締まりの方法が見えてこない。規制区間に警察官等を配置して車を停めさせればむしろ渋滞を引き起こすばかりではないか
・チェーン脱着場や、チェーンなしの車が一時的に置いて帰る場所が必要になるが、それだけのスペースが確保出来るのか
・スパイクタイヤ装着時に粉塵が問題となったが、チェーン義務化で問題が再燃しかねない
・そもそも道路の物理的形状等の問題がある。
もうひとつは、国道7号線の大鰐町唐牛地区。秋田県に進む際にはやや急な上り坂が続きます。が、向かって左側に集落がある関係か坂道の真ん中あたりに1箇所、そして最も標高の高い場所で1箇所信号があり、これに引っかかったために道路が塞がれることが年に1回以上発生するんですよね
— Kei / BreastKonaka (@Kei_radio) November 18, 2018
上記例以外にも沢山あり、その物理的な問題解決が優先ではないか
・チェーンの購入費用は安くはない。また現在の車は外身を頑丈にしないため、チェーン装着時に削れる等破損の恐れがある。それらの費用負担を仮に”自己責任”とするならばあまりに非現実的且つ非情である
・事故時の自動車保険の約款変更等には時間を有するが、それを考慮していないのではないか
・事故を起こし渋滞を引き起こした車について、スタッドレスタイヤが摩耗し効果が低かったり、そもそもスタッドレスタイヤ未装着の場合であれば、加害者の罰則を強化する必要もあるのではないか
かなり出てきますが、元来今回の規制は雪国においては(規制したい気持ちは解れど、しかし)”非現実的過ぎる”のです。
そして最終的にはこんな疑問も。
・『国土交通省で開催された冬期道路交通確保対策検討委員会で、大雪時の道路交通の確保のためにいわゆるチェーン規制を実施すべき旨が示されました』と国土交通省のホームページに記載されているが、そもそも非現実的なチェーン規制を実施すべきと謳った委員はどなたか。
・上記においては実施すべきという文言が用いられていながら、義務化にすり替わってはいないか。当初から決定事項として動いてやいないか
・出席した委員の方々は、雪の路面の実情を本当に理解しているのか
・チェーン義務化が非現実的という問題を募集せず、規制や道路標識だけのパブリックコメント募集というのは、やはりチェーン規制義務化前提というのが透けて見え、そのやり方には賛同できない
揶揄は好きではないものの、結局こういう流れには”お役所仕事”が透けて見えるのです。
ゆえに、今回パブリックコメントに、各種標識ではなくそれ以前に既定路線となっているタイヤチェーン義務化への見直しを願う旨を記載して提示しようと考えます。
上記の記者発表資料(PDF)から、送付方法および送付先を確認出来ます。今回の問題で国土交通省の提案に賛同される場合でも勿論、意見を提出出来ますので是非。
さて、今日なぜパブリックコメントについて取り上げたかというと、昨日のエントリーと関連します。
過去のブログ、facethemusicでその重要性を書き記したのがパブリックコメントでした。今から13年前、iPod等にインポートする音楽についても私的録音録画補償金が課せられる可能性があったのですが、それがパブリックコメントによって回避されているという”パブリックコメントの実績”があるのです。
仮にこの課金が通ってしまったなら、当然ながら現在普及するiPhone等スマートフォンも課金対象となったはずで、もしかしたら今ほどスマートフォンが普及しなかった、もしくは今以上に割高になった可能性は否定出来ません。13年前の問題は結局、私的録音録画補償金やデジタルオーディオプレイヤーへの知識等に長けていない方が、税金をどうやって採るか…ならば普及しているものから採るのがいいのではというあまりに短絡的な考えが元になっているのです(ちょっと言葉が過ぎる気はしますが)。しかしパブリックコメントで寄せられた声の多くが現実的な視点で反対したことで回避されたわけで、自分はパブリックコメントの重要性を強く感じた次第。政治の世界はきちんと声を上げることで変わるということを実感したのが13年前のことでした。
ゆえに、今回のパブリックコメントにはきちんと提言しないと、非現実的なものが叶ってしまうものと懸念しているのです。どうせお役所仕事だからと匙を投げることなく、懸念を提示しよりよい方法を探ってもらうよう進言することを勧めます。
報道機関に対しての願いを。たとえば上記東奥日報の記事ではパブリックコメントを募集している旨が記載されておらず、またおそらく東奥日報の記事に誘導していたと思しきYahoo!ニュースのツイートは、今朝の段階で3600件以上のリツイートがありながら、リンク先から記事にも、パブリックコメントにも進むことが出来ません。他に義務化報道をみても、パブリックコメントを募集している旨を謳っているところとそうでないところがあり、その不徹底さは受け手が声を上げられる機会を知らないままでいるという意味で極度の機会損失だと考えます。記事の最後に『国土交通省では現在パブリックコメントを募集しています。』の一言だけでも添える必要があるでしょう。
最後に、先述した大鰐町の例を踏まえた上での自分の言葉を引用。
どんな問題でもそうですが、問題解決に至るにはいきなりではなく、なぜ解決策を提示するのか周知徹底をはかり、実際に協力していただく方の生の声を聞き、その上ではじめて策を実行しないと、不信感が芽生えるだけです。それを行わないことが実に多すぎます
— Kei / BreastKonaka (@Kei_radio) November 18, 2018
これは同時に、受け手である私たちも生の声を出さず不条理な発し手にコンタクトを採らないままでは、不信感が募るばかりだということでもあります。そして、厳しい言葉ですがこちらも。
前にも反対の旨はTwitterで書きましたが、今日トラックを用いる業者の方と話し、脱着場は? 気象警報時に警察を張り込ませると更に混乱招くのでは? 車の損害著しいのに”自己責任”で済ませるの?等問題山積。この国交省のツイートが現段階で100未満なのも異常。関心ある人はパブリックコメント参加を https://t.co/YlZ9zr6YCh
— Kei / BreastKonaka (@Kei_radio) November 19, 2018
国土交通省のツイートへのリツイートは現段階で110。やはり異常なまでに少ないです。
生の声、出していきましょう。