イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

洋楽国内盤の前倒しレンタル解禁、およびディズニー音楽作品のレンタルスケジュールにみるユニバーサルの良心

このブログでは以前から、【洋楽国内盤の発売後1年未満でのレンタル解禁】について発信してきました。現状ではユニバーサル、ソニー、ワーナーの3社が前倒し解禁に踏み切っていますが、これまでの状況、そして今回の記載内容を踏まえればユニバーサルが一歩抜きん出ているような気がします。

 

まずは先週、そのユニバーサルから12月1日にレンタル解禁となった作品群を。

ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー『Youngblood』(国内盤発売日:6月20日)

カニエ・ウェスト『Ye』(国内盤発売日:8月8日)

U2『Songs Of Experience』(国内盤発売日:2017年12月1日)

ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン『Gravity』(国内盤発売日:6月29日)

・ケイシー・マスグレイヴス『Golden Hour』(国内盤発売日:7月4日)

・J・バルヴィン『Vibras』(国内盤発売日:7月11日)

ロジャー・ダルトリー『As Long As I Have You』(国内盤発売日:6月1日)

・イヤーズ&イヤーズ『Palo Santo』(国内盤発売日:7月13日)

・ザ・ヴァンプス『Night & Day (Day Edition)』(国内盤発売日:7月13日)

・ニーヨ『Good Man』(国内盤発売日:6月8日)

・ポスト・マローン『Beerbones & Bentleys』(国内盤発売日:6月27日)

ジャック・ジョンソン『The Essentials』(国内盤発売日:7月4日)

アリアナ・グランデ『Sweetener』(国内盤発売日:8月17日)

ザ・ローリング・ストーンズ『On Air』(国内盤発売日:2017年12月1日)

TSUTAYAのレンタルCDリリース情報から抽出。U2およびザ・ローリング・ストーンズは丸1年かかりましたが他は今夏の作品群。全て来年発表のグラミー賞対象期間の発売であり(なおノミネートは今週発表)、イヤーズ&イヤーズやケイシー・マスグレイヴス等は特に高い評価を得ている印象があります。またアリアナ・グランデやポスト・マローンといった、今年の顔といえる歌手の作品群も解禁されました。

 

またユニバーサルにおいては、新たにディズニーの音楽部門と提携しサウンドトラック等をリリースしていますが、そのサウンドトラックについても邦楽と同じ3週間(実質17日)後のレンタル解禁を行いはじめています。

こちらは今年のグラミー賞で「Issues」が最優秀楽曲賞に、自身が最優秀新人賞にノミネートされたジュリア・マイケルズによる「In This Place」。アメリカでは先月、日本では今月21日に公開されるディズニー映画『シュガー・ラッシュ:オンライン (原題:Ralph Breaks the Internet)』に用いられています。この曲も収録された同作のサウンドトラック、国内盤が12月19日にリリースされるのですが、レンタル解禁は来年1月5日(リンク先はいずれもTSUTAYA)であり、解禁日は発売日の17日後となっているのです。

先に『ユニバーサルにおいては、新たにディズニーの音楽部門と提携』と書きましたが、今夏ユニバーサルとディズニーはこのような契約を結んでいます。

この20年近くはエイベックスが独占契約を結んでいたディズニーとの音楽面での契約を、今後はユニバーサルが担当することに。かつての取引先だったエイベックスは洋楽も邦楽同様のレンタル解禁日設定を行っていたのですが、ユニバーサルに契約が移ってからもそのような解禁スケジュールは保たれるのかもしれません。上記リンク先で触れられているサウンドトラックにおいて、『インクレディブル・ファミリー』は8月1日発売→9月8日レンタル解禁というスケジュールとなっていましたが、『プーと大人になった僕』そして『シュガー・ラッシュ:オンライン』は17日後解禁となることから、今後洋楽扱いのディズニー作品は邦楽同様の解禁日が当然となっていくものと考えます。

 

無論、レンタル解禁前倒しによりCDが売れなくなるという見方はあるでしょうが、個人的には歓迎します。CDが売れなくなる可能性が高まるのは悲しいものの、デジタルダウンロードやサブスクリプションサービスが浸透してきた現状にあってレンタル解禁設定を旧態依然のままにしていては、解禁段階での鮮度が落ちる気もします。またそれらデジタルサービスに明るくない方にとって、CD販売店が減り且つ各店舗での新譜在庫が減っているだろう現状では、レンタルにはまだ一定の需要があるものと考えます。ならば前倒し解禁して需要に応え、さらに喚起するほうが中長期的には正しい戦略なのかもしれません。その際、レンタルの多い作品にきちんと利益が分配される仕組みを徹底することも必要です。

積極的に前倒し解禁に至る理由については推測の域を出ませんが、前向きな姿勢を貫くユニバーサルの"良心"に感謝します。