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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米ソングスチャート、トラヴィス・スコットがアリアナ・グランデを破り初の首位獲得

ビルボードチャートを定点観測。

現地時間の12月4日月曜に発表された、12月8日付最新チャート。アリアナ・グランデ「Thank U, Next」の4週目の1位を阻んだのはトラヴィス・スコット「Sicko Mode」でした。自身初となる首位獲得です。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

 (※米ビルボードのトップ10動画については、アップロードされ次第紹介します。)

1位 (2位) トラヴィス・スコット「Sicko Mode」

2位 (1位) アリアナ・グランデ「Thank U, Next」

3位 (3位) マシュメロ & バスティル「Happier」

4位 (4位) ホールジー「Without Me」

5位 (6位) パニック・アット・ザ・ディスコ「High Hopes」

6位 (7位) シェック・ウェス「Mo Bamba」

7位 (10位) コダック・ブラック feat. トラヴィス・スコット & オフセット「Zeze」

8位 (9位) リル・ベイビー & ガナ「Drip Too Hard」 

9位 (8位) マルーン5 feat. カーディ・B「Girls Like You」

10位 (5位) ジュース・ワールド「Lucid Dreams」

首位交代、先週米ビルボードが予想した通りとなりましたね。

ラヴィス・スコットはアルバム『Astroworld』同日付米ビルボードアルバムチャートも制し2冠を達成しました。アルバムチャートでは前週7位からジャンプアップした形ですが、再浮上の理由は販売したグッズにアルバムのデジタルダウンロードが付いていたため、そして「Sicko Mode」のスクリレックスによる新リミックスが11月28日水曜に公開されたことでストリーミングが伸びたため(以上は【米ビルボード・アルバム・チャート】トラヴィス・スコット首位返り咲き、6ix9ine(シックスナイン)新作2位に | Daily News | Billboard JAPAN(12月2日付)より)。

新リミックスの登場はソングスチャートにも寄与し、デジタルダウンロードは前週比35%アップの24000(同指標2位)、ストリーミングは同1%アップの3720万(同2位)、そしてラジオエアプレイは同5%アップの6510万(同8位)といずれも上昇。寄与分は大きくないかもしれませんが、自身初のナンバーワン獲得です。米ビルボード(冒頭のリンク先)ではノンクレジットながら曲およびミュージックビデオに参加するドレイク、そしてリミックスを手掛けたスクリレックスに感謝の言葉を述べていますが、Twitterではもっとシンプルに喜びを示しています。

ちなみに、ドレイクおよびスクリレックスがクレジットされていないのは、ドレイクについてはアルバムにおいて表記がないため、そしてスクリレックスについては、彼が手掛けたリミックス版がオリジナルを上回っていないため(なお、チャート上では合算されます)。

この「Sicko Mode」ではさらに、レイ・シュリマーのメンバーであるスウェイ・リー、そして2006年に亡くなったラッパーのビッグ・ホークも参加しながらクレジットされていません(他にサンプリングで用いた「Gimme The Loot」を手掛けたザ・ノトーリアス・B.I.G.なども)。"Sicko"は仲間という意味とのことですが、ならばクレジットして仲間の存在を前面に示すのがいいと思いつつ、ノンクレジットにはトラヴィス・スコットのこだわりがあったのかもしれません。

さて、「Sicko Mode」のようなノンクレジットは他にも。近年ではドレイク「Emotionless」(2018 8位)でサンプリングした「Emotions」を歌っていたマライア・キャリーや、コールドプレイ「Hymn For The Weekend」(2016 25位)におけるビヨンセアヴィーチーWake Me Up!」(2013 4位)におけるボーカル担当のアロー・ブラックが挙げられます)。尤もこのようなノンクレジットは1980年代からみられることではあるのですが。 

 

こうして「Sicko Mode」は悲願の首位達成となりましたが、次週はほぼ間違いなくアリアナ・グランデ「Thank U, Next」が奪取しそうです。というのも先週金曜に同曲のミュージックビデオが公開されたゆえ。デジタル2指標(ストリーミングおよびデジタルダウンロード)は金曜が集計期間開始日であり、YouTubeでの再生はストリーミングのカウント対象。そしてこのミュージックビデオがYouTubeで新記録を樹立したのは一昨日のブログで記載した通りです。

アップロード後24時間で再生回数5000万を超え、現段階(日本時間の火曜早朝)では9300万を突破。ストリーミングがどこまで伸びるか注目です。ちなみに「Thank U, Next」は今回のチャートにおいて、ストリーミングが前週比3%ダウンの4250万(同指標1位)、デジタルダウンロードは同23%ダウンの18000(同5位)、そしてラジオエアプレイは同25%アップの3950万(同23位)となっており、全体で5%のダウン。対する「Sicko Mode」は全体で5%上昇したことから、今週はトラヴィス・スコットが僅差で首位を奪った形です。

 

ちなみにストリーミング首位は「Thank U, Next」でしたが、チャート構成の3指標は全て首位が異なります。デジタルダウンロードではホールジー「Without Me」(総合4位)が前週比22%ダウンながら29000を獲得し同指標首位、そしてラジオエアプレイではパニック・アット・ザ・ディスコ「High Hopes」が前週比7%アップの1億1380万を記録し同指標2週目の首位に。「High Hopes」は総合でも5位に浮上しています。

 

次週は「Thank U, Next」がほぼ間違いなく首位を獲りそうですが、もうすぐトップ10としてはこの曲にも注目。

24年前にリリースされたマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」が前週の29位から早くも14位に上昇。ストリーミングは前週比53%もアップし同指標で30→8位へジャンプアップを果たしました。昨年は初のトップ10入りとなる9位を記録しましたが、今年はどうなるでしょうか。この曲については、先日触れた双子の子どもたちによるアクションがもしかしたらチャートに寄与しているかもしれませんね。