イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり) マーヴィン・ゲイの遺族側はやはり、あらゆるクリエイティビティを壊しかねない悪例を築いてしまった

(※追記(2023年5月4日20時42分):はてなブログにてビルボードジャパンのホームページを貼付すると、きちんと表示されない現象が続いています。そのため、表示できなかった記事についてはそのURLを掲載したビルボードジャパンによるツイートを貼付する形に切り替えました。またbmrの記事はメディア自体が削除されている模様につきリンクを辿ることができないことから、bmrのリンクについて削除を実施しました。)

 

 

 

ちょっとおかしすぎやしませんか…というのが正直な私見

昨日付の記事における裁判、その初期の段階でこのブログでも取り上げました。

この裁判の2015年における(ロビン・シックおよびファレル・ウィリアムスが一度敗訴に至った)流れは下記ニュース(2015年3月11日付、下段に続報有)をご参照ください。

(※追記(2023年5月4日20時42分):本来はここでbmrの記事『「ブラード・ラインズ」著作権侵害訴訟、ロビン・シック&ファレル側が敗訴 「恐ろしい前例になる」』のリンクを掲載していたのですが、当該記事はメディア自体が削除されている模様につきリンクを辿ることができません。よってbmrのリンクについて削除を実施しました。心よりお詫び申し上げます。)

 

昨日の判決は、『著作権を侵害していると陪審員が出した判決を2018年3月に裁判所が支持したことを受け、再審理請求が連邦第九巡回区控訴裁に提出された』、その上での結果(『』内は下記リンク先より)。結局あのような判決が出たわけですが、弁護士のキャスリーン・サリバン氏が再審理請求の際、訴え論じた内容はやはり重要だと考えます。

「創造的表現の自由陪審員の気まぐれと雇われた音楽学の専門家に翻弄されていいのかという制度的な課題も同様に重要だ。裁判所による客観的な比較もないまま、自曲の要素が告発された曲に”かなりよく似ている”と述べてくれる専門家を著作権所有者が差し出すだけで陪審員を動かすことができるなら、どんな楽曲も著作権に関する法的責任から逃れることができなくなる」と訴えている。

ファレル・ウィリアムスとロビン・シック、著作権侵害訴訟の再審理を請求 | Daily News | Billboard JAPAN(4月13日付)より

 事実、3年前の段階で『訴訟においてゲイの遺族側は過去の判例を無視、音源比較を行わず、あたかも怒りの感情丸出しで陪審員の心を押さえつけ成功に至った』(マーヴィン・ゲイの遺族側はあらゆるクリエイティビティを壊しかねない悪例を築いたかもしれない(2015年3月21日付)より)わけですが、今回も覆ることはありませんでした。3年前、ロビン・シックが過去にもマーヴィン・ゲイと似てる曲を出していたとマーヴィン・ゲイの遺族側が主張し、施した印象付けは最終的に有効となってしまったわけです。本来ならばその曲が出た段階で訴えるのが通常だと思うのですが…結局ヒットしなかったその曲(「Love After War」)と今回の「Blurred Lines」では著作権収入に雲泥の差があり、訴えて勝てば利益になるものと考えたその金銭的打算がマーヴィン・ゲイの遺族側にあったという自分の見方は、今回の判決でより強固なものとなりました。

 

この裁判がきっかけになってか、サム・スミスブルーノ・マーズ、はてはレッド・ツェッペリン「天国への階段」までもが訴えられ、裁判で負けたり、訴訟に巻き込まれる前に手を売ったり…という流れが生まれています。今回の裁判以前からのものもあるでしょうが、今回の判決は今後のエンタテインメント業界全体のクリエイティビティに少なからず、いや大きな影響をもたらすものと危惧します。マーヴィン・ゲイの遺族側に、今回の裁判を終えての感想を伺ってみたいものです。