イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

中村佳穂のチャートアクションおよびサマソニヘッドライナーから、ラジオの弱さを考える

先週の今日のエントリーで、このようなことを書きました。

中村佳穂「きっとね!」がビルボードジャパン1月21日付ソングスチャートでどうなったか…その結果はこちら。

f:id:face_urbansoul:20190117163210p:image

圏外とは100位未満、300位以内のこと。残念ながら総合では100位以内に到達しませんでしたが300位以内に復活。その原動力となったのがTwitter指標の42位であり、米津玄師さんの影響力の大きさが解ります。米津さんのツイートを機に中村佳穂さんにハマる方が増えることを願うばかりです。

 

上記の画像からは見えないのですが、Twitter指標の他にラジオ指標も圏外ながらランクインしているのですが…個人的に強く残念に思うのはそのラジオ。もっとオンエアされてもよかったのではないかと。

「きっとね!」は元来、とりわけラジオ指標が突出していた楽曲であり、ラジオが一足早く"見つけた"楽曲でした。米津玄師さんが紹介したのであれば、“米津さんも推薦の「きっとね!」、ラジオは前から紹介していたんですよ”と自負し、再びヘビーローテションしてもよかったのではないかと。そうすればラジオの先見の明に興味を示し、ラジオを信頼する方が増えたと思うのですが…最新週におけるラジオエアプレイの少なさは、「きっとね!」のチャートアクションが伸びなかったのもさることながら、ラジオへ興味を示す方を増やせなかった、機会損失をラジオ局自らが行ってしまったという面で残念な気がします。

 

このラジオの弱さ、今週発表されたサマーソニックのヘッドライナー1組目発表時にも感じたことです。レッド・ホット・チリ・ペッパーズのヘッドライナーは素晴らしいことだと思う一方、若手(活動開始から10年前後)の歌手でヘッドライナーを務められる存在はいなかったのかという怒りや愕然とした声を聞き、なるほどなあと。実力があり、海外で実績を出し、且つ音楽的に“今”を十分映し出せる存在の歌手がいたとしても、日本における知名度がないと動員を呼び込めないという考えが運営側の判断基準にあったのかもしれず…そう考えると、洋楽を広く世間に勧められる媒体が本来そのような若手をもっと強く紹介し知名度を高める役割を果たさないといけなかったのではないか?そしてそれこそラジオの立ち位置じゃなかったのか?と思ってしまうのです。

今のラジオのスタンスを示す一例として、ランキング番組が減ってしまいました。特に痛いのは(とはっきり書きますが)TOKYO FM/JFN系で、既に2年前に洋楽新譜ランキング番組『コスモ ポップス ベスト10』が消滅。ラジオが良い洋楽を勧めることを放棄したその証明だと思ってしまうのですが考えすぎでしょうか。後番組はランキング番組ではないため、これが洋楽紹介の機会損失となったのみならず、良い音楽を紹介することを放棄したそのおざなりな姿勢(『…ポップス ベスト10』の2010年春以降の放送時間短縮も相俟って)が、TOKYO FM/JFN系がリスナーからの信頼を得られず聴取率を下げた理由ではないかとすら思うのです。

 

ラジオがネットで取って代わられた、特に新曲はYouTubeやストリーミングでチェックできるから…という声には一定の理解が出来たとして、"能動と受動"においてラジオが後者の役割を未だ十分果たせるはずなんですよね。

4年前、地元AM局の姿勢について書いた際に能動と受動について書きましたが、今はAMもFMも関係なくなってきていますね。受動という接触パターンを少しずつ身につけさせ、信頼を勝ち得て能動的にラジオを聴くファン化し、最終的に彼らに最新の洋楽の良さを刷り込む(というと言葉は良くないでしょうが、自発的に掘ってもらう)ようにするのがラジオの役割だと思います。時間がかかるとして、今からでも意識改革しないとどんどんラジオ離れ、洋楽離れが増えていくだけです。