face it

青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

アリアナ・グランデ、ニューアルバムに至るまでの布石が昨年のドレイクを彷彿とさせる

昨日、担当ラジオ番組『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時、サイマル放送有ります)の放送中に入ってきた嵐の活動休止報道。様々な思いに駆られていますが、今年ベストアルバムをリリースするものだと予測していたので来年に延期か…とふと。そして、自分がツイートで紹介した素晴らしい分析を読むに、日本の音楽産業のデジタル解禁がまたも遅れるのではないかと強く危惧します。

 

 

さて、今日は今年上半期でアメリカにとって文字通り"嵐"になるだろうこの作品について。

『アルバム表題曲「thank u, next」が、全米通算7週1位(自身初の全米1位)、全英6週連続1位、世界76の国と地域のiTunesで1位と、アリアナ史上最大ヒットの楽曲』(上記リンク先より)となり話題性は抜群。しかも3曲目のシングル化となった「7 Rings」も日本時間の明日早朝に速報が発表される米ビルボードソングスチャートで首位発進する可能性が指摘されています。

で、今回のアリアナ・グランデの動きを見るに、昨年同時期のドレイクを彷彿させると思う自分がいます。これは決して勢いが似てるというだけではなく、なにげに計算的だと思うのです。

上記エントリーは昨年春、ドレイクが米チャートにおいて「God's Plan」から「Nice For What」に首位交代した際に書いたもの。ここで「God's Plan」の大ヒットの理由を。

① 敢えて1曲を捨てて「God’s Plan」にスポットを当てた

② 「God’s Plan」と一見関係ないトピックを用意しドレイクの名を広めた

③ 新曲投入で今度は「God’s Plan」を見切った

と推測しました。これが、アリアナ・グランデ「Thank U, Next」以降の流れについても当てはまりそうです。

 

まずは①。アリアナは昨夏、アルバム『Sweetener』をリリースしています。米ビルボードアルバムチャートでは週間1位、年間38位となり、また好事家からの評価も非常に高いこの作品から、昨年11月7日に「Breathin」のミュージックビデオを公開していました。

同曲は米ビルボードソングスチャート、11月10日付では32位にランクイン。また「Breathin」より前にビデオが公開されていた「God Is A Woman」も同日付で20位にあり、共に赤丸という状況でした。

それが翌週、11月17日付では突如リリースされた「Thank U, Next」が首位に登場。

実はこの曲、「Breathin」ミュージックビデオ公開の4日前に配信されています。「Breathin」もビデオ効果で21位に急進していましたが、結果的にこの曲は12位どまりに。「Thank U, Next」のために「Breathin」が目立たなくなるという事態は、売り出し方は違えど、2曲入りEPをリリースして「God's Plan」のみに人気が集中したドレイクを彷彿とさせます。

 

続いて②はミュージックビデオの手法。

「Thank U, Next」の曲中では実際に付き合っていた過去の恋人の名前が登場し、彼らに感謝を述べつつ前を向くというのが曲の内容ですが、ミュージックビデオではアメリカの近年のラブコメ映画を彷彿させる展開。悲恋もさることながらそれ以上に画的な楽しさが話題となり、12月15日付米ソングスチャートではトラヴィス・スコット「Sicko Mode」に一時譲った首位の座を奪還しています。

一方ドレイクの場合、「God's Plan」のミュージックビデオが巨額の制作費を、裕福とは言えない街に寄付するという内容。曲の内容と乖離していますが、それが大きなトピックとなりました。

話題作りの巧みさは勿論のこと、音源の数週遅れでミュージックビデオを公開する手法(スケジュール的にやむなしだったかもしれませんが)は、チャートで長期間ピークを作るという上で極めて有効。ドレイク「God's Plan」はミュージックビデオを公開しストリーミング指標に加算されてから7週連続(通算11週)、そしてアリアナ・グランデ「Thank U, Next」は同5週連続(通算7週)の首位となったのです。ミュージックビデオと曲の内容との関係性がそこまで高くないように思える一方、話題性に長けている点も共通しています。

 

その「Thank U, Next」が徐々に下降線を辿りながらも最新チャートでは未だ5位にとどまっている中、明日発表の2月2日付ソングスチャートでは「7 Rings」が初登場で首位に立つ可能性が指摘されています。「Thank U, Next」を早々に見切る、もしくは曲を連続でリリースしアルバムが出るまでの間歌手自体の勢いをキープする…というのが③。ドレイクは4月21日付ソングスチャートで「God's Plan」→「Nice For What」の首位交代を達成しています。


尤もアリアナ・グランデの場合は、「Thank U, Next」と「7 Rings」の間に「Imagine」がリリースされましたが、こちらはミュージックビデオが作られていません。

他方「7 Rings」は音源解禁と同時にミュージックビデオが作られていますが、ドレイク「Nice For What」もまた同時。「7 Rings」は間違いなくトップ10入りすることを踏まえれば、ドレイクの「God's Plan」→「Nice For What」という道をアリアナ・グランデが「Thank U, Next」→「7 Rings」で追随、辿っているように思うのです。

 

さらに似ている点が。ニューアルバムの告知においても、ドレイクが「Nice For What」の1位登場のタイミングで、アリアナ・グランデは「7 Rings」リリース直後に発信。

そしてその勢いを保った(もしくは保つだろう)まま、アルバムリリースに至るのです。となると、ドレイクのアルバム『Scorpion』同様、アリアナ・グランデのニューアルバム『Thank U, Next』も大ヒットする予感がします。『Scorpion』からはさらに、「In My Feelings」が10週連続で首位を達成しましたが、そのような曲がアリアナからも出てくれば尚の事、ドレイクの手法を自身のマーケティングに用いたという今回の自分の予想が当たることに。「In My Feelings」についてはダンスチャレンジというネット上でのムーブメントをドレイク側が上手く採り入れたことが功を奏していますが、そのムーブメントをアリアナ側が仕掛けてくれば面白いですね。

 

 

さあ、まずは明日のチャート発表が楽しみです。