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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

ストリーミング”新譜のみ遅らせ”解禁の影響を考える…3月4日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

2月18~24日を集計期間とする3月4日付チャートが昨日発表されたビルボードジャパン。前週のSTU48「風を待つ」に続き、AKB48グループのNMB48「床の間正座娘」がシングルCDセールス指標トップとなり、総合ソングスチャートでも首位を獲得しました。

シングルCDセールス指標が極めて高い一方、ルックアップは9位と大きな隔たりがあり、ユニークユーザー数が多くはないことが考えられます。他指標も低く、総合ポイントの9割以上をシングルCDセールス指標のみで稼いでいることから次週の急落は必至でしょう。事実。

前週上位ながらシングルCDセールス指標に特化していた作品はことごとく急落。楽曲の認知度を高めるためには、シングルCD購入者だけにとらわれない広め方が必要になるでしょう。

 

前週ソングスチャートで猛威を奮ったあいみょんさん、およびONE OK ROCKの2組は今週も凄いことに。前週はソングスチャートであいみょんさんが13曲、ONE OK ROCKが7曲ランクイン。そのうちストリーミングソングスチャートでは2組で、上位100曲中33曲もの大量ランクインを果たしましたが。

今週の総合ソングスチャートストリーミングソングスチャート双方で、2週連続の快挙を成し遂げました。しかもストリーミングソングスチャートでは前週1~9位を両者で占めながら10位はMISIA feat. HIDE(GReeeeN)「アイノカタチ」だったのですが、今週は上位11位までを独占。アルバムチャートではあいみょんさんの『瞬間的シックスセンス』が3位、ONE OK ROCK『Eye of the Storm』が2位となり共に1ランクずつ後退したものの引き続き好調を維持しているのは、『CDおよびデジタルダウンロードでの発売とストリーミングの解禁をずらさないほうがチャートを席巻出来、話題性が高まる』と前週触れたことが現実のものになっているゆえではないかと。

 

そのストリーミング、別の歌手についても影響が小さくありません。

また、2月12日よりストリーミング解禁となったback numberの楽曲も続々エントリー。12位に「ハッピーエンド」、14位に「高嶺の花子さん」など、トップ100に8曲が名を連ねた。

【ビルボード】「マリーゴールド」が自身初の400万回超えでストリーミング首位 あいみょん&ワンオクがトップ10独占 | Daily News | Billboard JAPAN(2月27日付)より

back numberは昨年LINE MUSIC独占先行でストリーミングを解禁していましたが、他のサブスクリプションサービスでも解禁したことで、ストリーミングソングスチャートのみならず総合ソングスチャートでも「ハッピーエンド」(80→67位)、「高嶺の花子さん」(89→69位)、「クリスマスソング」(87→74位)、「ヒロイン」(96→95位)、「花束」(100位未満→100位)と、過去曲が上昇もしくは再登場。そして昨日シングルCDがリリースされた最新シングル「HAPPY BIRTHDAY」は、デジタルダウンロード先行効果で2位に初登場。

しかし。この曲自体はストリーミングされていません。たとえばApple Musicをチェックすると、「HAPPY BIRTHDAY」や前シングル「オールドファッション」(2018)も含まれていない状態なのです。

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事実、今回のストリーミング解禁は”限定的”なのです。

「HAPPY BIRTHDAY」「オールドファッション」「大不正解」(2018)および「瞬き」(2017)といった『アンコール』(2016)以降のシングルがストリーミング未解禁であり、おそらくは来月リリースのニューアルバム『MAGIC』も発売日と同日のストリーミング解禁はないでしょう。では、どれだけの方がストリーミング解禁が限定的であることを知っているでしょうか。上記音楽ナタリーの報道に触れた方ならば理解出来たとして、たとえば先述のビルボードジャパンの報道や、さらに。

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公式サイトの表現方法では誤解を招きかねないものと考えます。

(本日紹介した各キャプチャは、今朝の段階での掲載情報を紹介するために貼付したものです。また、back number公式サイトにおける上記ニュースのURLが弊ブログにうまく貼付出来ないタイプであることから、キャプチャの形を採った次第です。問題があれば削除いたします。)

 

無論ストリーミング解禁する/しないは各歌手の自由であり、未だ解禁しない方は少なくありません。新譜からの収益をより強固なものにすべく新譜のみ解禁しないという方針も理解出来ます。ただ、仮に解禁するならばすべて解禁したほうが紛らわしくないというか、公式サイトの表現では、後に各サブスクリプションサービスにアクセスして新譜がないことを知り、裏切られたと思う人が少なくなく、マイナスイメージを抱かせかねないのではと思うのです。

実際、新譜のみストリーミング解禁をずらした例は少なくありません。たとえば宇多田ヒカルさんは昨年6月リリースのアルバム『初恋』を今年1月18日に解禁しています。

この1月18日はスクリレックスと組んだ「Face My Fears」のリリース日。実はこのシングル収録曲はすべて、リリースと同時にストリーミング解禁されています。しかしながら、世界標準に合わせて金曜リリースとなったことも影響しているでしょうが、この曲はストリーミングが思うほど伸びなかったのです。

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1月28日付ソングスチャートにおけるストリーミングの集計対象期間は1月18~20日の3日のみであり水曜発売組に比べて不利な状況にありますが(それを承知で、それでも世界標準の金曜発売を実行したものと推測します)、しかし初週のストリーミング指標33位は低すぎる気がします。リリース日までにミュージックビデオが用意出来なかった点も認知度アップにつながらなかった点でしょうが、おそらくは発売日と同日にストリーミング解禁されていることを知る方が少なかったからでは、というのが自分の見方です。ストリーミング指標が登場2週目で6位に上昇したのは解禁済でと認知、浸透されてきたことの証拠ではないかと。

 

そう考えると、ストリーミング解禁が限定的であることは売ることがメインと考える歌手側やレコード会社側には正しい施策であっても、きちんと購入行動を採るファン以外のライト層を巻き込むことが出来にくく、それがチャートに如実に反映される気がします。逆にストリーミングを有効(友好)的に扱う歌手はチャートを席巻しやすいということも、この2週におけるあいみょんさんおよびONE OK ROCKの2組から理解出来るでしょう。前週のチャート分析時にも述べましたが、ライト層の取り込みは『チャートでのインパクトも相俟って作品の認知度や歌手の人気が高まり、その結果"この人を呼べば間違いない"としてメディアやフェス運営側からのオファーが増えたり、ライブの動員数も高まる…つまり中長期な支持を集めていくようになる』点で重要です。また、裏切られたと思わせかねない表現は今後のイメージのためにも避けたほうが好いということも、合わせて記載します。