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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

サカナクションのオリジナルアルバム延期…好調なチャートアクションの「新宝島」と『魚図鑑』を聴いて待ちわびる

サカナクション、6年ぶりのオリジナルアルバム『834.194』、来月予定のリリース日を2ヶ月延期することが先週アナウンスされました。

延期することをレコード会社が許してくれたのは、サカナクションを信じるという強固な関係性ゆえかもしれません。またこの間にも、サカナクションは映画『バクマン。』のサウンドトラックである『MOTION MUSIC OF BAKUMAN。』(2015)を制作したり、カップリングとリミックスをコンパイルした『懐かしい月は新しい月 ~Coupling&Remix works~』(2015)やベストアルバム『魚図鑑』(2018)をリリースしており、オリジナルアルバム以外の作品は充実。たとえば『魚図鑑』の特典の凄さを踏まえるに、音のみならずパッケージにも妥協を許さない姿勢は、今回の延期という決断を私たちが納得するに十分ではないかと。

 

さて、この『魚図鑑』のチャートアクション、特筆すべきと言えます。

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昨年4月9日付のビルボードジャパンアルバムチャートで初登場首位を果たして以来、今週が登場52週目。最新4月1日付では86位に登場しています。4週前に一度100位圏外(300位以内)になりますが総合チャート(複合指標の合算)で100位圏外はその一度だけ。デジタルダウンロードおよびルックアップが常に100位以内をキープしているのは素晴らしいことです。

 

とりわけアルバムを牽引しているであろう曲のひとつが「新宝島」ではないでしょうか。

現時点でYouTubeでの再生回数が9100万を超えたこの曲、4月1日付ビルボードジャパンソングスチャートでは登場185週目にして動画再生指標は99位。動画登場以降、同指標が一度として300位圏外になることはありません。主にその動画再生指標が牽引しつつ、デジタルダウンロードやストリーミング、2019年度からカウントされたカラオケ指標も効果的に働き、「新宝島」は総合チャートでも、登場以降一度も300位を切ることなく、時折100位以内に顔を出しています(2週前には91位に登場)。

とはいえ一旦は収束傾向だった「新宝島」は、昨年4月9日付前後で再び大きく上昇。この要因は昨年3月28日に『魚図鑑』がリリースされたこと、そしてその前週『ミュージックステーション』(テレビ朝日 金曜20時)に出演したことが間違いなく大きいかと。

ベストアルバムおよびテレビ出演を機に、特にストリーミング指標は長期に渡り100位以内に滞在。ストリーミングが収まってきたタイミングで新たに導入されたカラオケ指標がポイントを稼ぎ、総合ソングスチャートを引っ張る力となっているのです。

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(※上は初登場から150週分、下は直近の60週分のビルボードジャパンCHART insight。黒の折れ線が総合チャートを示しています。)

さらに言えば、レゴブロックでサカナクション新宝島」のミュージックビデオを再現した(それもトラックまで作ったという)動画も、ミュージックビデオ視聴へ牽引するのに効果的な役割を果たしたと思われます。

山口一郎さんも、『将来有望な変態だ』と称賛し、電話でやり取りをしているのは面白いですね。

 

サカナクション、ベストアルバム『魚図鑑』がヒットし続けており、チャートの面でみればサカナクションの不在は感じられません。あと少しで完成するオリジナルアルバムを、ベストアルバム等を聴きながら待ちたいと思います。