イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

カントリーのジャンルレス問題、リミックス版参加歌手がクールに一石を投じる

今週発表された、米ビルボード4月6日付ソングスチャート。その速報版においてこのようなことを記載しました。

この停滞気味の空気を打破するのは一体誰か…今最も勢いのある曲として紹介されているのがリル・ナズ・X「Old Town Road」。前週から17ランクアップし15位に到達しました。

(中略)

さらにはこの曲、カントリーソングスチャートにも入ったとヒップホップライターの渡辺志保さんが伝えています。

アリアナ・グランデ「7 Rings」8週制覇もトップ10は低調、次週嵐の予感?…4月6日付米ソングスチャートをチェック(4月2日付)より

しかしこのラッパーによる曲、カントリーの要素が少ないことを理由に、米ビルボードカントリーソングスチャートから除外されていました。この問題については、除外報道を紹介し、また元来ジャンル別のチャートとは何か等を記載したこちらを読むことをお勧めします。

(勝手ながら紹介させていただきました。問題があれば削除いたします。)

個人的にはビルボードの判断に理解を示しつつ、しかし強く残念に思います。各ジャンルのジャンルレス化はどんどん進行している(それが今の時代のモードである)中でカントリーも同様の動きを見せており、他ジャンルとの融合を果たしたカントリー曲は少なくありません。邦楽でそのムーブメントが踏襲されたことを機に、2ヶ月前のエントリーにてまとめています。

カントリーが他ジャンルに比べて保守的であること、ビルボードが(さらに言えばラジオが)ジャンルをくくりたいだろうことは解れど、今の時代にあってはナンセンスな気がするのですが如何でしょう。

 

…と思っていた矢先、このようなリミックスが登場したのです。

(勝手ながら紹介させていただきました。問題があれば削除いたします。)

メロディラインを歌うのはビリー・レイ・サイラス。あのマイリー・サイラスの父親でもあるカントリー歌手です。

ビリーは先述した除外記事を動画に用いており、リミックス版への参加共々、彼なりの抗議アピールではないかと。最高に格好いい一石の投じ方ではないでしょうか。ちなみにビリーは以前にも、行動で抗議を示していたことがありました(マイリー・サイラスの父でカントリー歌手のビリーも“LGBT差別法”に抗議 | Daily News | Billboard JAPAN(2016年4月13日付)参照)。

リミックス版が加算される(チャートに反映される)のは再来週、4月20日付チャート。おそらくは次週の段階でオリジナル版がトップ10入りする可能性は高いのですが、再来週は総合ソングスチャート(Hot100)で勢いが更に増すことでしょう。このリミックス登場の流れで、米ビルボードがジャンルレスな曲への対応をどうするか、再度協議することを願うばかり。「Old Town Road」がカントリーソングスチャートに戻ってくるかも確認する必要があります。