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テイラー・スウィフトが早くも新曲を発表、米ソングスチャート首位獲得なるか?

インスタグラムでのカウントダウンを経て、テイラー・スウィフトが昨日新曲「Me!」を発表しました。デジタルダウンロード、ストリーミングのみならずミュージックビデオまで一斉に。パニック・アット・ザ・ディスコのブレンドン・ユーリーが客演参加しています。

冒頭の蛇が蝶に変わる画を観て、今回のテイラー・スウィフトに安堵した次第。というのも、個人的にテイラーが用いた蛇を快く思っていなかったゆえ。蛇については、今作のミュージックビデオについて書かれた記事にも採り上げられています。

前アルバム『Reputation』(2017)のリリース前にテイラー・スウィフトSNSに登場した蛇が不穏な空気感を醸したことに加え、蛇の登場直前にSNSの過去掲載分をすべて消したこともあり、テイラーに良い印象を抱けなかった自分がいます。

それゆえ今回の冒頭の画には、(蛇が苦手ゆえ最初は画自体に引いたものの)感心しました。「Me!」のプロデューサーにはテイラー・スウィフトブレンドン・ユーリーに加えジョエル・リトルもクレジット。ジョエルは、ロードにグラミー賞最優秀楽曲賞をもたらした「Royals」を含むアルバム『Pure Heroine』(2013)をはじめ、カリード「Young, Dumb & Broke」やイマジン・ドラゴンズ「Whatever It Takes」などを手掛けています。

 

さて、「Me!」は果たしてどのようなチャートアクションを示すのでしょう。言い方を変えれば、「Me!」は米ビルボードソングスチャートを制するか否か。そして上り詰めた後のチャートアクションも気になるところです。

前作、アルバム『Reputation』からのリード曲、「Look What You Made Me Do」は2017年9月16日付の米ビルボードソングスチャートで登場2週目に首位を獲得。

「Look What You Made Me Do」については2017年最大のセールス&ストリーミングを獲得。デジタルダウンロードは353000で、今年最大だった「Shape Of You」が持つ240000を大きく上回り、ストリーミングは8440万でこちらも「Despacito」が持つ今年最大記録である6960万を破る結果に。

米ソングスチャートは遂に1位が交替も、注目は”社会的意義のある”9位登場曲(2017年9月6日付)より

デジタル2指標の集計期間初日である金曜に「Look What You Made Me Do」が解禁されたことで一気に首位となったのですが、実はその前の週のチャートではラジオエアプレイのみの力で、総合77位にチャートインしているのです。

その結果、ラジオエアプレイのみで前週77位に初登場していたこの曲は76ランクもの大幅アップを果たし、自身5曲目となる首位を獲得しました。ラジオエアプレイは前週の23位(前週はわずか3日間での結果)から14位にアップしていますが(6400万)、

米ソングスチャートは遂に1位が交替も、注目は”社会的意義のある”9位登場曲(2017年9月6日付)より

デジタル2指標の集計期間が金曜開始なのに対し、ラジオエアプレイの集計期間は月曜開始の日曜〆。デジタル2指標が加算されてはじめて総合100位以内に登場する曲が多い中、テイラー・スウィフトのこの曲はラジオエアプレイが強すぎるゆえ、デジタル加算の前週に77位に初登場していたわけです。

この流れを踏まえれば、今回の「Me!」もチャートを構成する3指標すべてで好成績が予想され、日本時間で来週火曜に発表される5月4日付米ビルボードソングスチャートではラジオエアプレイのみの力で下位ながら初登場を果たす可能性が高く、その翌週(5月11日付)でトップを狙ってくるはずです。今回のミュージックビデオでは途中やアウトロにSEが入る(被っている)ことから、きちんと音源を買う(もしくはストリーミングで聴く)人が多いかもしれません。そうなると、最新4月27日付ソングスチャートで3週目の首位となったリル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」との首位争いがどうなるかが見もの。「Old Town Road」は前週ストリーミング新記録を、今週は同指標歴代2位の記録を樹立。ラジオエアプレイも急激に伸ばしており、デジタル2指標が降下してもラジオエアプレイがカバーする形になりつつあります。「Me!」はデジタル2指標ではおそらく「Old Town Road」を上回るでしょうが、ラジオエアプレイがどこまで武器になるか…というのが、再来週の日本時間火曜に発表される5月11日付ソングスチャートの見どころと言えます。

 

そしてもうひとつ、「Me!」については上位登場が確実として、果たしてロングヒットとなるかが気になります。というのも『Reputation』からのシングルは「Delicate」を除き、瞬発力はあれど持久力はなかったのです。アルバムも、初週こそ大ヒットしたものの『Red』(2012)や『1989』(2014)ほどロングヒットしていない印象があります。

前作からシングル化された「Delicate」は結果的に総合でトップ10入りを果たせませんでしたが、ラジオに好まれた楽曲となりました。ゆえに、「Me!」が「Look What You Made Me Do」の瞬発力と「Delicate」の持久力、その双方を持ち合わせられるかが注目と言えます。ちなみに5月1日水曜にアメリカで開催される【2019 ビルボードミュージック・アワード】のオープニングアクトテイラー・スウィフトとパニック・アット・ザ・ディスコのブレンドン・ユーリーが登場して「Me!」を披露することが昨日アナウンスされており、瞬発力は間違いなく高いと言えるでしょう。

 

来るべきニューアルバムの情報は入ってきていませんが、もしかしたらアルバムリリースの可能性は高いかもしれません。前作から2年未満でのアルバムリリースは珍しいのですが、十分有り得るのではないでしょうか。