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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

日曜にデジタル解禁された安室奈美恵『Finally』が再浮上、しかしソングスチャートでは勿体無い事態が

6月16日日曜、安室奈美恵さんがベストアルバム『Finally』(2017)等をデジタルダウンロードで配信、またこれまでの作品をApple Music限定でストリーミング配信開始したことは、解禁当日に記載した通りです。

最新6月27日付ビルボードジャパン各種チャートではこの解禁効果が表れています。

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『Finally』はデジタルダウンロード2位に初登場し、総合ソングスチャートでも6位に再浮上を果たしました。ツイートでも触れましたが、ビルボードジャパンの集計期間は月曜はじまりで日曜終わりとなるため、解禁効果はわずかに1日のみ。にもかかわらず『Finally』が総合アルバムチャートでトップ10内に返り咲くのですから、彼女の解禁を待ってた方は多かったのだと実感します。

さらに『Finally』からは、6月24日付ビルボードジャパンダウンロードソングスチャートでタイトル曲が24位に、「How do you feel now?」が91位にそれぞれチャートインを果たしました。特に「Finally」は同チャートでトップ40入りを果たしたことで総合ソングスチャートでも100位以内に入る可能性も考えられたのですが、他指標が伴わずランクインは叶いませんでした。

「Finally」はシングルCD化されていないため、ソングスチャートではシングルCDセールスおよびルックアップを除く6指標で勝負することになります。解禁日が事前にラジオ局に周知徹底されていたならば解禁日にアルバムの代表曲として「Finally」を流しラジオエアプレイ指標も稼ぐことが出来るでしょう(が、安室奈美恵さんのプロモーションにレコード会社がどこまで力を注げたかは不明)。短尺ながらミュージックビデオも存在し、カラオケ指標もある程度見込め、Twitterでは曲名イコールアルバムタイトルゆえ(歌手名と共に)アルバム名でつぶやいてもカウント対象になることから幾分加算されるものと想像していました。

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「Finally」のCHART insight(上は初登場から今まで、下は直近の11週を表示)をみると解禁効果により32週ぶりに300位以内にランクインしたことが解りますが、指標毎をみると100位以内となったのは先述したデジタルダウンロードおよびTwitter(94位)のみで、他指標は300位以内にも入っていません。安室奈美恵さんの楽曲を管理するレコード会社のプロモーションも影響していると考える(さらには、仮に日曜ではなく月曜解禁だったなら集計期間フルで活かせたのにと思う)のですが、ストリーミング指標が300位未満であり未加算となったことが、個人的にはとりわけ勿体無いと思うのです。ストリーミングの公開先を限定することが楽曲のさらなるヒットにつながりにくいということは、以前から申し上げていたことです。

仮に全てのサービスでストリーミング解禁していたならば、日曜解禁でも総合ソングスチャートで100位以内に入り、チャートインが評判となって次週更に順位を上げる可能性があったかもしれず、機会損失ではないかと考えます。日曜に解禁日を設定したことに意図があったのかもしれませんが、レコード会社等はプロモーション施策の議題のひとつにこの解禁日設定もきちんと取り上げていただきたいと切に願います。仮に解禁日を先週月曜に設定していたならば、最新週の全体の売上動向をみるに『Finally』がアルバムチャートで首位を獲得出来た可能性もあったと思うゆえ、なおさらです。