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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

CDの購入が音楽に触れる最善の選択肢なのか? この1ヶ月の出来事から考えてみる

昨日のWANIMAのストリーミング解禁が話題になっていますね。

Twitterでは”サブスク解禁”の文字が多く見られ、彼らの影響力の大きさを実感。歓迎する声が多い印象を受けます。個人的にも解禁は嬉しいのですが、他方で解禁に至るまでの葛藤を如実に示した自筆の文章には引っかかるものがあり、私見をツイートしました。

葛藤を文字にすることには肯定の見方もあり、一日を経て、”これが今の日本の音楽業界の現状の意識を如実に示したものかもしれない”と感じるようになりました。

 

それにしても、WANIMAはなぜ自筆の文章で”CD”と表現したのでしょう。デジタルダウンロードでも所有することになるのですが。デジタルでもいいから”アルバム”を(アルバム単位で)買ってくれ、でもよかったのではないかと思案するうちに。

この疑問が浮かび上がって来ました。

いただいた反応の中には、CDプレイヤーはあるけれど読み込みが面倒でストリーミングもしくは(ストリーミング未解禁の作品は)プレイパスで聴く、新調したパソコンに付いていなかったので外付けを用意という声が。リアクションしてくださった方に感謝申し上げます。

 

今やCDプレイヤーを内蔵したステレオは家電量販店の隅のほうにあることが多く、”コンポ”という表現はほぼ耳にしません。自分は今年ノートパソコンを新調しましたが、DVD/CDが内蔵されないものが大半になった印象があります。”スマートフォンに直接挿してインポート出来る”と訴求する外付けCDプレイヤーが出ていることもあり、CDの使用頻度や利用方法はこの四半世紀で大きく変わったと実感しているのですが、これらの感覚を半ば実証するかのような結果が。

一昨年秋に発表された年代別における音楽の意識調査では『10代は11.6%、20代は11.1%が、家族も含めてCD再生機器を所有していなかった』という結果が出た一方、『音楽商品・サービスにお金を支払った経験が1年以内にある』人のうち『年代別では、最も割合が高いのは10代の74.3%』という結果に(『』内は全て上記記事より)。10代は他の年代に比べてCDの購入およびレンタル率も高いながらCD再生機器未所有率も高く、また定額制音楽配信サービスの月額料金支払率も高いことから、音楽に触れてもCDという媒体を用いない方が確実に出てきていると言えそうです(ちなみにデジタル音源の購入は他の年代と比べそこまで大きな差があったとは言いにくい一方で、ハイレゾ音源購入率が高いのは面白い傾向と言えます)。

調査期間は今からほぼ2年前ゆえ、現在は定額制音楽配信サービスがもう少し広がっているものと考えます。たとえばauによる、機種変更等でのApple Music利用料金半年間無料キャンペーンもその動きを加速させ、”CDレス”とでも言うべき傾向が更に加速しているかもしれません。そうなると、デジタルダウンロードやストリーミングが未対応のCDが出たとしても手にしない方は若年層を中心に増えることが見込まれ、レコード会社や歌手側はその点を意識した戦略を練る必要があるでしょう。若年層は音楽にお金を落とす傾向が高いわけですから、CDにこだわらない姿勢が問われているかもしれません。

 

他方、CDレスは若年層だけの問題ではないでしょう。デジタルでの所有(購入)や接触は年齢が上がるほど割合が減っていますが、他方でCD購入率が年齢に比例して高くなるわけではありません。CDレスは言いすぎかもですが、”(有料で楽しむ)音楽レス”という表現がしっくり来そうな気がします。また、CDプレイヤーを購入しづらくなったであろう環境を考えるに、購入したCDをどうやって聴くのか、そもそもCDプレイヤーはきちんと所有しているのかも気になります。年齢が上がるほど、CDを聴きたくとも(ネット)ショッピングの環境や行動範囲の低下等に伴いCDプレイヤーを用意出来にくい可能性が高まるものと思われます。

 

そこで登場するのがこちら…と、通販番組みたいなフリになりましたが、実際の通信販売で”CDプレイヤーをプレゼント”なる企画を発見し、驚きました。

先月テレビで大量にCMが流れていた、演歌歌手三山ひろしさんの作品集の通信販売において『期間限定プレゼント「アイワ社製 CDラジオ」を差し上げます』という企画があったのです(『』内は上記プレスリリースより。現在はプレゼント期間終了)。CDラジオという表記に若干の違和感を覚えつつ、なるほどこれがあると聴きたくとも聴けないという不満が解消される!…と思ったのですが、もしかしたらCDプレイヤーがないのは演歌を好んで聴く主に年配の方も同様なのかと。となると、CDソフトを売った(もしくは以前から所有している)としても聴くことの出来ない環境が増えていることが想起出来るわけで、年配の方にこそデジタルの重要性(CDと代替可能、もしくは共存出来ること)を周知しないと、彼らにとっての音楽を聴く楽しみが消えかねないなと思った次第。そしてレコード会社も歌手側にとっても、その周知徹底は緊急の課題ではないかと感じています。