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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンソングスチャートの動画再生指標で8位まで上昇したイエス「Roundabout」、流行の理由はアプリからだった

ビルボードジャパンソングスチャートを構成する8つの指標のうち、動画再生においては時折、”なぜ今この曲が上昇中?”と疑問に思う動きがあります。今週動画再生指標で自己最高となる8位を記録したこの曲については、以前から疑問を抱き続けていました。

・イエス「Roundabout」(1971)

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動画再生指標が牽引し、総合チャートでも100位未満ながらランクインを続けているこの曲、アニメ『ジョジョの奇妙な冒険 1st Season』(2012-2013 TOKYO MXほか)のエンディングテーマに用いられたことで人気が再燃していたそう。

とはいえ続編では用いられていないようで、ならばなぜ今人気なのかを調べてみると、『ジョジョの奇妙な冒険 1st Season』でイエス「Roundabout」を使って表現されていた”To Be Continued (次回へ続く)”という演出手法をネタとして用いる動きが広まっているため。このような解説もあります。

YouTubeにて”To Be Continued Roundabout”で検索すると、イエス公式アカウントによるリマスターバージョン(上記に貼付)よりも再生回数を伸ばしているのがこちらのネタ集。

現段階で1500万回近く再生され、この動画には音楽としてイエス「Roundabout」がライブバージョンですがクレジットされています。そのためイエスの公式アカウント発信ではないものの、ユーザー生成コンテンツ(UGC)として日本で再生されればビルボードジャパンソングスチャートの動画再生指標にカウントされるというわけです(ただ、先述したようにライブバージョンでのクレジットのため、オリジナル版には未加算となる可能性は否定出来ません)。UGC、最近ではaiko「ストロー」の”踊ってみた”動画も該当します。

しかしながら、上記ネタ集の投稿は今から2年近く前。またイエス「Roundabout」は昨年以前も動画再生指標で300位以内に登場しています。それが連続してチャートインするようになったのは今年4月15日付以降であり、日本では今になって「Roundabout」が広まったということになるのです。

 

調べてみると、その広まりにはアプリの存在があることが解りました。To Be Continuedネタを簡単に作成出来るアプリがここ最近人気となっているそう。

To Be Continued Maker

To Be Continued Maker

  • Maruf Nebil Ogunc
  • エンターテインメント
  • 無料

作成された動画がYouTubeで投稿される際にイエス「Roundabout」がクレジットされるかは不明ですが、どうやって動画を作るかの参考として先に紹介したようなネタ集や元の楽曲をチェックした方が多いだろうことが想像出来、それがここ最近の動画再生指標の上昇につながった…というのが今回の自分なりの結論です。下記まとめサイトではアプリの説明がありますが、まとめサイトのアップ日が先週の今日であり、アプリの人気が最近高まっていることが解ります。

(勝手ながら紹介させていただきました。問題があれば削除いたします。)

 

エス「Roundabout」のチャート上昇において、当初『ジョジョの奇妙な冒険 1st Season』がYouTubeに違法アップデートされながら人気となり、その動画に楽曲がクレジットされたがためにユーザー生成コンテンツ(UGC)のカウント対象となった…今年はじめに見られた『ガチンコ』とダイナソーJr.「Over Your Shoulder」の関係性が今回も?と思っていました。

今回はこの種の違法アップデートではありませんでしたが、一方でTo Be Continued Makerがイエス「Roundabout」の著作権を侵害してはいないだろうかという疑問も生じています。ゆえにグレーゾーンだなあと思ってしまうこともあるのですが、しかしながらダイナソーJr.もイエスも、ネット上の流行が楽曲のヒットにつながっているのは間違いありません。