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リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」が最長首位獲得記録史上1位タイ、次週新記録樹立は確実?…7月27日付米ソングスチャートをチェック

ビルボードソングスチャート速報。現地時間の7月22日月曜に発表された、7月27日付最新ソングスチャート。ジャスティン・ビーバー参加による新たなバージョンを発表したビリー・アイリッシュ「Bad Guy」の追撃を振り切り、リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」が最長首位獲得記録で史上1位タイとなる16週目の首位に輝きました。

ルイス・フォンシ&ダディー・ヤンキー feat. ジャスティン・ビーバー「Despacito」(2017)およびマライア・キャリーボーイズIIメン「One Sweet Day」(1995-1996)が持つ16週1位の記録に、「Old Town Road」は遂に並びました。

「Old Town Road」の首位を阻止すべく、最新チャートのデジタル2指標(ストリーミングおよびダウンロード)の集計期間直前となる11日木曜午後、前週2位のビリー・アイリッシュが「Bad Guy」のニューバージョンをドロップ。彼女が憧れていたジャスティン・ビーバーとの共演バージョンを新たに公開したことで、1位争いは熾烈を極めるものと考えていました。

新バージョンを加えた「Bad Guy」はストリーミングで前週比39%アップの5570万(同指標2位)、ダウンロードで同64%アップの33000(同2位)、ラジオエアプレイで同7%アップの8500万(同5位)と全指標が上昇。全体で32%もの大幅アップとなりました。

しかしながら「Old Town Road」も負けじと新たにヤング・サグおよびメイソン・ラムジーを新たに招いたリミックスを投入。

集計期間の後半にはエリア51を題材にしたアニメバージョンも公開。

この施策が功を奏したのでしょう、前週は全指標がダウンに転じたものの今週はストリーミングで前週比22%アップの8620万(同指標1位)、ダウンロードは同4%アップの45000(同1位)、ラジオエアプレイは同18%ダウンの5350万(同10位)となり、ストリーミングが持ち直したことで全体で13%アップに。

これにより両者のポイント差は、「Bad Guy」を1とすれば「Old Town Road」は1.3。1.9→1.5→1.3とさらに縮まったのですが、それでも予想以上の開きが生まれたように思います。というのも。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」

2位 (2位) ビリー・アイリッシュ「Bad Guy」

3位 (6位) エド・シーラン & ジャスティン・ビーバー「I Don't Care」

4位 (5位) ショーン・メンデス & カミラ・カベロ「Señorita」

5位 (4位) カリード「Talk

 

6位 (7位) リゾ「Truth Hurts

7位 (3位) ポスト・マローン feat. ヤング・サグ「Goodbyes」

8位 (8位) ジョナス・ブラザーズ「Sucker」

9位 (9位) ポスト・マローン & スウェイ・リー「Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse)」

10位 (12位) クリス・ブラウン feat. ドレイク「No Guidance」

今回の最上位2曲については、新たなリミックスに参加した歌手がクレジットされていません。実際はそれらリミックスも加算されているのですが、たとえば「Old Town Road」における追加リミックスのストリーミングは全体の15%弱、「Bad Guy」における追加リミックスのストリーミングは全体の3分の1、ダウンロードは半分弱となっており、元のバージョンを超える再生回数やセールスを記録していません。このことからリミックスの投入は効果はあれども、「Old Town Road」が首位獲得2週目以降にビリー・レイ・サイラスがクレジットされたような”オリジナルを凌駕するリミックス”となっていないことが解ります。「Bad Guy」にジャスティン・ビーバーがクレジットされるくらいにリミックスが爆発的にヒットしたならば、状況は変わっていたのかもしれません。

 

さて、次週の注目はなんといっても「Old Town Road」が前人未到の17週目の首位を獲得するかどうか。これまでに16週首位を記録した2曲の動向をみると、「Despacito」は16週目において2位のDJキャレド feat. リアーナ & ブライソン・ティラー「Wild Thoughts」との差が1.3:1ながら翌週テイラー・スウィフト「Look What You Made Me Do」がデジタル2指標の初動効果で76ランク上昇し首位を奪取、「One Sweet Day」は16週目において2位のブランディ「Sittin' Up In My Room」と1.2:1ながら翌週セリーヌ・ディオン「Because You Loved Me」が4ランクアップし首位の座を射止めています。「Old Town Road」の場合、テイラーのような急上昇もしくは初登場が見込める作品、もしくはトップ10の中で勢いのある曲が見当たらず、また今週リミックス効果で勢いを増した「Bad Guy」が反動で失速する可能性を踏まえれば、「Old Town Road」の記録達成は十分可能ではないかと考えます。ちなみにその「Old Town Road」、先週中盤に”17週バージョン”を新たにYouTubeにドロップしており、最長記録達成への手を緩めていません。

最新チャートは日本時間の来週火曜早朝に発表予定。注目しましょう。