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チャート愛好家。ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

1位になる曲は仕掛けている…『アトロク』で取り上げてほしい、”チャートの仕掛け方”特集

今週ついに米ビルボードソングスチャートで単独歴代最長No.1を獲得したリル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」について、一昨日放送の『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ 月-金曜18時 通称『アトロク』)で音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんが詳しく解説。宇多丸さんや日比麻音子アナウンサーはその背景にのめり込み、Twitterでも面白いとの声が多数みられました。コーナーについてはみやーんさんが書き起こしていますので、勝手ながら紹介(問題があれば削除いたします)。

弊ブログではこの「Old Town Road」について毎週のように取り上げていましたが、リル・ナズ・XがSNSインフルエンサーであるとか”イーハー・アジェンダ”という表現については知りませんでした。高橋芳朗さんの情報収集、そしてまとめ方の巧さに脱帽です。

 

さて、この「Old Town Road」のチャートアクションを”超おもろ!(超面白い)”と評した宇多丸さんですが、実は「Old Town Road」に限らず、チャートで首位を獲得した曲にはいずれも”仕掛け”が存在するんですよね。

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この表は一昨日「Old Town Road」が新記録を樹立した際にも紹介した、昨夏以降の米ビルボードソングスチャート制覇楽曲およびチャートを構成する3指標の数値と順位をまとめたもの。毎週のトップ10速報は基本火曜日に紹介しているのですが、首位を獲得曲には奪取した理由が存在するのです。

 

ドレイク「In My Feelings」は、曲を用いたチャレンジムーブメントを味方に首位を獲得。

マルーン5「Girls Like You」についてはアルバムからのシングル化の際にカーディ・Bを招き、また女性有名人が多数出演したミュージックビデオでジャンプアップ。このミュージックビデオはほぼ構成の同じパート2が後日作られ、延命措置が図られています。

アリアナ・グランデは「Thank U, Next」と「7 Rings」が初登場で制覇。一昨日詳しく書いたこの2曲の動きを踏まえれば、今日発表予定の新曲「Boyfriend」が再来週のチャートを制し、「Old Town Road」は18週で潰える可能性は高いと考えています。

そのアリアナ「Thank U, Next」の間を縫って1週のみですが首位を獲得したのがトラヴィス・スコット「Sicko Mode」。公式グッズに収録アルバムのダウンロードコードが付属したことで楽曲にも注目が集まったのみならず、スクリレックスによるリミックスを公開したことでストリーミングもキープ。しかも翌週は「Thank U, Next」がミュージックビデオを公開しストリーミングが爆発することを考えるに、トラヴィスの仕掛け投入のタイミングは絶妙だったのです。

ホールジー「Without Me」については主だった仕掛けは見当たりませんが、クリスマスソングが一掃されたこと、カリードと共に参加したベニー・ブランコ「Eastside」の急浮上が曲を加速させたものと思われます。

しかし一度首位を奪われたものの再浮上したその理由は、スマートフォン仕様の2つ目のミュージックビデオを投入したゆえ。やはり仕掛けているのです。

「Without Me」に挟まれる形で一週天下に終わりましたが現在もロングヒットを続けるポスト・マローン & スウェイ・リー「Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse)」は、映画『スパイダーマン:スパイダーバース』がゴールデン・グローブ賞のアニメーション作品賞を獲ったことが勢いを加速させたのみならず、集計期間の後半に実写版ミュージックビデオを公開し、これにより全指標が2割近く上昇しています。

レディー・ガガに久々の首位をもたらした、ブラッドリー・クーパーとの「Shallow」は自身が主演した映画『A Star Is Born (邦題:アリー/スター誕生)』のテーマ曲。アカデミー賞での披露が勢いを加速させたことは勿論のこと、アルバムを1日限定で3ドル未満で提供したことで注目を集めたことも功を奏したと言えるでしょう。

そしてジョナス・ブラザーズ「Sucker」は、今やアメリカで恒例となった”SNSで木曜に情報解禁→デジタル2指標の集計期間初日となる金曜に音源を解禁しミュージックビデオも公開”というスケジュールを踏襲。再結成アナウンス直後の公開ということもあって、デジタル2指標で首位に立っています。

 

というわけで、昨夏以降の首位獲得曲の初制覇の状況をざっと書いてみました(ホールジー「Without Me」については返り咲きも含みます)。いかがでしょう、こうやって振り返るとすべての曲に何かしらの仕掛けがあることが解るのではないでしょうか。この仕掛けがあるからこそ、チャートを追いかけるのは実に面白いのです。ちなみに「Old Town Road」の勢いが弱まってきた頃、ビリー・アイリッシュも憧れのジャスティン・ビーバーを招いた「Bad Guy」リミックスを投入したのですが首位奪取には至れませんでした。しかしそのビリーの動きだって狙っていた感が強いんですよね。

このエントリーでは、昨夏以前のリミックスによる首位奪取曲についても触れています。

 

『アトロク』では是非とも、リミックス等の仕掛けの楽しさ、それにより首位を獲得した曲が多いことを取り上げてほしいと思います。それを機に、米ソングスチャートが複合指標より成ること、そしてその仕組みを導入したビルボードジャパンソングスチャートの8指標について触れることも出来れば、複合指標に基づくチャートが社会の流行を示す鑑になっていることが少しでも多くの方に伝わるでしょう。日本での最良の仕掛け方(米津玄師「Lemon」、星野源「アイデア」等)も紹介出来るなら尚好いと思います。そんな特集を勝手ながらながら夢想していますし、やれるならば何のつてもありませんが自分が紹介したいくらいです。

この自分のツイートを高橋芳朗さんが拾ってくださったので、夢が叶うならば…!と思っています。