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チャート愛好家。ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

元記事を酷く演出する必要はあったのか? ケイティ・ペリー盗作裁判の一記事に疑問を呈する

似てますかね?

ケイティ・ペリー feat. ジューシー・J「Dark Horse」(2013)

・フレイム feat. レクレー & ジョン・レイリー「Joiful Noise」(2008)

と、過去の盗作裁判に関するエントリーを真似て書き出してみましたが。

今週アメリカで行われた裁判では、被告のケイティ・ペリー側が敗訴しました。

ケイティの2013年のヒット曲「ダーク・ホース」が、ラッパーのフレイムことマーカス・グレイほか2名が制作した2009年の「ジョイフル・ノイズ」に類似していると判断された。ほぼ無名のクリスチャン・ラッパーだったグレイが5年前に起こした訴訟には、何度も意義が申し立てられたがこれを乗り越え、ケイティほか5名の有力な「ダーク・ホース」制作者側についた一流弁護団を相手取った裁判で予想外の勝訴をもぎ取った形だ。

自分はこの似てる似てないについての判断以前に、この記事における”(ほぼ)無名”表現が強く引っかかっているのです。

 

フレイムはクリスチャンラッパーとして15年のキャリアを持ち、昨年には9枚目となるアルバム『God Knows』をリリース。2012年にはアルバム『The 6th』がインディながらクリスチャンアルバムチャート首位およびゴスペルアルバムチャートで2位に入り、クリスチャン/ゴスペルのジャンルでは知られた存在と言えるのみならず、米ビルボードアルバムチャートで67位に入っており実績もあります。

今回「Dark Horse」が盗用したとされる「Joyful Noise」は2008年のアルバム『Our World: Redeemed』に収められ、クリスチャンオルタナティブフォークロックバンドのレイリーのメンバー、ジョン・レイリーおよびクリスチャンラッパーのレクレーが参加。とりわけ、以前から弊ブログで紹介してきたレクレーは申し分ない実績の持ち主であり、アルバム『Anomaly』(2014)が米の総合アルバムチャート1位、『Gravity』(2012)が3位を獲得し、また両作品ともクリスチャン等ジャンルを区切らないラップアルバムチャートを制覇。近年ではタイ・ダラー・サインやトリー・ケリーを客演に迎える一方、チャカ・カーンやレイラ・ハサウェイ等に招かれ、ジャンルを超越した活躍をみせています。

しかも『Our World: Redeemed』は翌2009年のグラミー賞で”Best Rock or Rap Gospel Album (最優秀ロック/ラップゴスペルアルバム)”にノミネートされています。受賞は逃しましたが、十分な実績と言えます。

 

これらを踏まえれば、『「ダーク・ホース」のソングライターたちは、グレイと共同制作者2名に訴えられるまで、彼のことも「ジョイフル・ノイズ」のことを聞いたことがなかったと全員が証言した』(上記記事より)ことには無理が生じる気がするのです。いや、仮にフレイムについては存じ上げなかったとしてもレクレー経由で「Joyful Noise」を知った可能性は低くはなく、その意味ではケイティ・ペリー側の無礼さが目立ったように思います。そう結論付けたのは何も自分がゴスペル等に詳しいから庇いたのではなく、データが裏打ちしているからなのです。

 

それにしても、知名度やヒットの規模に大きな差があれど、まるでケイティ・ペリー側の『聞いたことがなかった』証言をそのまま記事にしたかのような今回の記事タイトルには驚かされます。はっきり言って無礼ではないでしょうか。ビルボードジャパンが掲載した記事、米ビルボードのを和訳し編集していると思われるのですが。

元となる米ビルボードの記事の表題には”無名ラッパーに”とは一切記載されていません。そしてビルボードジャパンの記事における『ほぼ無名のクリスチャン・ラッパー』の部分も、元は”a relatively obscure artist (比較的曖昧な歌手)”とあり、あくまで(ケイティ・ペリーと比べて)その知名度が曖昧な…と捉えることが可能。それを”無名”と表記するのはフレイムにもレクレー等にも無礼ではないでしょうか。

 

今回別のメディアでこの記事を書いた方が何名か、”ケイティ・ペリーが好きなので残念”等の私見をツイートしていたのですが、その記事をざっと見たところ私見私見として置いておき、冷静客観的に書いていたため”無名”という表現は用いられていなかったように思われます。ゆえに今回、フレイム側への強い私見を混ぜ込んだ可能性もあるであろう無礼な記事の存在は強く残念に思った次第です。