イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

森口博子『GUNDAM SONG COVERS』がデジタル解禁するも、デジタルやレンタル環境の改善が必要では

8月7日にリリースされ、アルバムチャートを好評に推移する森口博子GUNDAM SONG COVERS』が、今週水曜にデジタル解禁されました。

下記はApple Musicのリンク先を貼付したもの。

画面では【このアルバムはまだリリースされていません】との表示が出ています(しかしながらきちんと解禁されています)。表示の理由は、CDにボーナストラックとして収録されていた「宇宙の彼方で」(シングルとしてのリリースは2016年)がデジタルにおいては省かれているからかもしれません。またiTunesでは現段階において、アルバム単位での購入が出来ません。

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通常はジャケットの横にアルバム単位での価格が出るはず。これに不満を表明するレビューには心から同意することが多いですね。

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デジタル未反映ながら、『GUNDAM SONG COVERS』は一定の成果を上げています。

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最新9月16日付ビルボードジャパンアルバムチャートでは12位に登場した『GUNDAM SONG COVERS』。構成指標のうちアルバムCDセールスは7位にランクイン。またパソコン等に取り入れた際のインターネットデータベースへのアクセス数を示すルックアップも、3週目以降上昇に転じており最新週では24位に入っています。なおビルボードジャパンアルバムチャートはアルバムCDセールス(上記CHART insightでは黄色の折れ線グラフ)、アルバム単位でのダウンロード(紫)およびルックアップ(オレンジ)の3つの指標で構成されており、総合チャートはCHART insightにおいて黒の折れ線グラフで表示されます。

 

アルバムの評判が高まるとセールスに反映されますが、セールスと同じくらい、いやむしろそれ以上にレンタル増加に伴うルックアップ上昇が見られてもおかしくはないのです。しかしそれを阻む要因が。

CDが売切しているところが少なくなく入荷待ちの状況にあること、そして評判の高さゆえにレンタルへのニーズは高いはずですが、レンタル解禁直後はレンタル店舗での在庫数がほぼありませんでした。レンタル解禁直後の状況は上記ブログエントリーに記載しましたが、現在でもその状況はあまり改善されていません。

ただ、”あまり”と書いたのは一部店舗で遅ればせながら導入されはじめたため。自分の住む地域の近隣店舗でみると、GEO弘前安原店では先週末から導入され、GEO黒石東町店等にも在庫が確認出来ます。GEOアプリでは近隣店舗の在庫状況が”レンタル可” ”貸出中”および”取扱なし”で表示され、非常に見やすくまた探しやすい一方、解りにくいのはTSUTAYAアプリ。一見して判断しにくい表示内容(見分け方は以前のブログエントリーをご参照ください)で確認すると、自分の住む津軽地区はおろか、東北の旗艦店であるMORIOKA TSUTAYAでも未だ入っていない模様です。GEOが後からでもきちんと導入する姿勢を示していたのとは正反対の動き、且つ模範となる店舗でもこの状況ではチェーン全体で流行を追う嗅覚が鈍っているのではと思ってしまいます。明日土曜はレンタル解禁作品が多いゆえ、そのタイミングで導入する店舗があることを信じたいものです。

 

デジタルでの解禁は所有や接触の方法が増えて嬉しいものの、ダウンロードがアルバム単位で購入出来ないため最悪の場合アルバム単位でのダウンロード(指標)に反映されないこと、また未だにレンタル在庫数が少なくルックアップが上昇しにくいことを踏まえれば、来週水曜に発表される9月23日付ビルボードジャパンアルバムチャートで『GUNDAM SONG COVERS』の順位が急上昇するのは難しいかもしれません。

森口博子さんは自身のブログでオリコンランキングトップ10入りを何度か記載しており、たしかにビルボードジャパンより高い順位にある(最新9月16日付ではビルボードジャパンより高い9位にランクインしている)ため取り上げたくなる思いは解ります。無論素晴らしいことなのですが、仮に森口さんが出場経験のある『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)への復帰を切望するならば、ビルボードジャパンのチャートも強く意識していただきたいと思うのです。なぜなら、”紅白”の出場条件はオリコンよりもビルボードジャパンが重視されると思われるため。

アルバムの話題性、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』がNHK総合で今年放送されたこと、『GUNDAM SONG COVERS』の選曲基準となる総選挙がNHKBSプレミアムで放送されたこと等を考えれば、個人的には現段階でも十分紅白はあり得ると思っています。ですがそれを当確にまで押し上げるためには、レコード会社が働きかけてでもレンタル店舗に在庫を置いてもらいルックアップを強化したり、アルバム単位でのダウンロードを可能にしてダウンロード(指標)に反映させる体制を整えることで、複合指標によるビルボードジャパンアルバムチャートで結果を出すことが必要ではないでしょうか。未だ紅白で披露されていない「水の星へ愛をこめて」を大晦日に歌ってくれたなら…そう思う方は少なくないはずです。