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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

日本最大級のゴスペルクワイア、HIRO's MASS CHOIR 15年ぶりのニューアルバムが登場

日本で最大級、およそ150名もの人数を誇るゴスペルクワイア、HIRO’s MASS CHOIRのニューアルバム『They That Wait』が先月リリースされました。年1回開催される2000人規模のライブで先行発売され、今月から通販が開始されています(→こちら)。

自分は以前のブログエントリー、#私を構成する9枚(2016年1月28日付)でも記載したように、このクワイアにかつて所属、その音楽体験は今の自分を支えています。ゴスペルを歌うには改宗が必要と思われがちですが決してそうではなく(勿論改宗する方もいらっしゃいます。かつてその場に立ち会い、生まれ変わる瞬間を見て感銘を受けたことも)、”ゴスペルを歌う理由”を自分の中でしっかりと見出すことが重要だと捉えています。希望を掲げ、自身にも周囲にもしっかりと伝えるというのが自分なりの回答でしたが、ゲストシンガーを招きつつもクワイアの各パート、そして木村”HIRO”洋幸氏が活き活きとする姿に、自分が当時歌っていたときの思いは間違ってなかったと確信。いや、その経験がなくとも、聴くと元気を貰えるような作品集です。

 

15年ぶり(!)のアルバムとなる『They That Wait』は2曲のインストゥルメンタルを含む全9曲入り。昨年アメリカからゴスペル界の大御所、カート・カーを招聘したHIRO氏による作品は本場アメリカと遜色ない音が堪能出来ます。例えばグラミーをはじめとする授賞式やスーパーボウル等のパフォーマンスでみられる、原曲に厚みをもたらすバンドアレンジが施され、聴き手そして歌い手をより高揚させるのです。タイトルトラックは冒頭から転調を繰り返して双方を牽引、またゴスペル界のゴッドファーザーことティモシー・ライトのカバーで長年クワイアのレパートリーとなっている「Come Thou Almighty King」ではソプラノ、アルト、テナー各パート毎に魅せるシーンも。バンドアレンジ、転調そしてパート毎のパフォーマンス…今のゴスペル音楽の基本、格好良さが詰まっています。

さらにはベートーヴェン歓喜の歌」のゴスペル版で、映画『天使にラブ・ソングを2』でも用いられた「Joyful Joyful」等、トラディショナルなゴスペル曲のカバーも収録。「Joyful Joyful」の合間にはマイケル・ジャクソン「Beat It」っぽいフレーズを交え、遊び心もみられます。この曲にはキーボードとして、直近のDA PUMPライブツアーの音楽を単独で支え、三浦大知さんのツアー等への帯同経験もあるGakushiさんが参加(GakushiさんについてはDA PUMP、堂本剛=ENDRECHERIらの音楽支えるキーボーディスト Gakushiの存在感 - Real Sound(9月2日付)をご参照ください)。彼の起用が定番曲をよりソウルフルに仕立て上げていると言えそうです。

リプライズやプレリュードの、前後曲とは趣向の異なるアレンジにも豊かな音楽性を感じるほか、前作『Unconditional Love – 無条件の愛 -』(2004)に収録された「主の御名をたたえよ」の英語版である「I Will Sing My Praises To The Lord」は1990年代のR.ケリーによる聖なる名曲の数々を彷彿とさせるスロウ。美しく大団円を迎えます。

 

伝統的なゴスペル曲と自作曲を主体に作り上げた『They That Wait』は今のゴスペルの音を知るのに最適な作品集。クワイアの充実っぷりも垣間見られます。HIRO氏には是非とも日本のゴスペル界を牽引し、作品と共に希望を伝播してほしいと願っています。