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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

新曲のヒットが過去曲へ波及、シングルCDセールス加算2週目の総合ポイントが鍵…9月23日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

9月9~15日を集計期間とする、9月23日付のビルボードジャパンソングスチャートの上位2強、その"頂上決戦"については昨日記載しました。チャートの仕組み等も理解していただけるならば幸いです。

毎週木曜は前日に発表される最新ビルボードジャパンソングスチャートの上位陣をざっと、でも深く振り返るブログを書きますと先週宣言したばかりですが、今週木曜は頂上決戦を優先した次第。というわけで今週は一日遅れですが、ソングスチャートを押さえていきましょう。

 

・米津玄師「馬と鹿」が関連曲へ波及

とはいえ頂上決戦の影響は大きく、最新9月23日付ビルボードジャパンソングスチャートには米津玄師さんの楽曲および提供曲が多数ランクインしています。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (2位) 米津玄師「馬と鹿」

9位 (9位) 米津玄師「Lemon」

10位 (12位) Foorin「パプリカ」

11位 (11位) 菅田将暉まちがいさがし

45位 (69位) 米津玄師「海の幽霊」

48位 (43位) DAOKO × 米津玄師「打上花火」

50位 (初登場) 米津玄師「でしょましょ」

54位 (40位) 米津玄師「パプリカ」

76位 (95位) 米津玄師「Flamingo」

80位 (78位) 米津玄師「アイネクライネ」

86位 (88位) 米津玄師 + 菅田将暉「灰色と青」

92位 (再登場) 米津玄師「LOSER」

米津玄師さんの作品が10曲、提供曲が2曲の計12曲がチャートイン。新曲が登場すると過去曲も牽引されるのはストリーミングが強い曲によく見られるのですが、ストリーミング未解禁(「打上花火」は除く)でこの状況というのは、米津玄師さんの作品がライト層に広まっているというより、ライト層がコアなファン化している証拠ではないでしょうか。また、「馬と鹿」のカップリングである「でしょましょ」が50位に初登場したことは、曲単位ではなくシングル全曲をデジタルで買おうとするユーザーが多いことが見て取れます。「でしょましょ」はダウンロード7位に入り、チャート構成比の全てがダウンロードで占められています。

 

Official髭男dism「イエスタデイ」が過去曲を牽引

総合13位ですがストリーミングは11位ととなりトップ10を逃しています。しかしこの曲の登場が功を奏したか、「Pretender」(総合3位)の総合ポイントが前週比101.1%と僅かながら上昇。「宿命」(総合7位)は夏の高校野球終了に伴ってか3週連続でダウンするも前週比93.4%となり前2週の80%台からは回復、新曲の登場により過去曲を聴くという流れが生まれているように思います。「Pretender」の再生回数も前週5670277回今週5725402回(リンク先はそれぞれビルボードジャパンの記事より)と増加しています。

 

乃木坂46、坂道グループの水準に回復

シングルCDセールス加算2週目の総合ポイント…それこそ昨日のブログエントリーで次週注視すべきと指摘した部分ですが、今作「夜明けまで強がらなくてもいい」は20%台に戻してきました。シングルCDセールスに係数が用いられるようになった2017年度以降の乃木坂46のチャートアクションは以下のエントリーでまとめていますが、坂道グループの水準と思しき20%をクリアしています。

それでも2作前のシングル「帰り道は遠回りしたくなる」(2018)と比べると、シングルCDセールス加算2週目の総合ポイント、ポイント前週比、総合および各指標順位、CD売上枚数およびCD売上前週比は全てダウン。今作でどこまで持ちこたえ次作へつなげるか注目です。

 

森口博子GUNDAM SONG COVERS』アルバムチャートトップ10返り咲き

こちらはアルバムチャート。

前週デジタル解禁されたことでトップ10へ返り咲きました。たとえばiTunes Storeでアルバム単位での購入が出来ないことは以前指摘したのですが。

今回、アルバムチャートを構成するダウンロード指標はきちんとカウントされています。今作のロングヒットを踏まえれば、アルバム第2弾の可能性もあるかもしれません。

ガンダム関連ではこちらも。

 

・手塚翔太「会いたいよ」、次週ランクダウンは必至?

ドラマ『あなたの番です』に主演した田中圭さんが役名の手塚翔太名義でリリースした「会いたいよ」。今週のチャートではドラマ最終回直後からの1週間ということもあり堅調に推移。総合チャートこそ10→19位とダウンするも前週がシングルCDセールス初加算週ゆえであり、総合ポイント前週比は65.8%でその反動は小さかったとみていいでしょう。CHART insightをみると、ソングスチャート上位20曲中8指標が全て100位以内なのはOfficial髭男dism「Pretender」「宿命」そしてこの「会いたいよ」のみであり、バランスよく獲得しています。

しかし来週のダウンは必至かと。ドラマの影響が薄れることもありますが、問題は動画再生指標。実は「会いたいよ」のミュージックビデオは期間限定であり、現在は削除されています。削除のタイミングは不明ながら、今週44位だった同指標が100位未満になる可能性は高いでしょう。ドラマや俳優との公開期間の取り決めもあったのかもしれませんが、もしかしたらソニー・ミュージックの戦略なのかなと考えてしまいます。

初回生産限定盤は「会いたいよ」のほかに”手塚翔太”が歌う新曲が2曲、合計3曲に加え、それぞれの楽曲のインスト音源も収録され、付属するDVDにはすでに公開されているMusic Video”ドラマ・スペシャルカットVer.”に加えて、その映像からドラマ映像を抜き、田中圭演じる手塚翔太のノーカット映像を収めたMusic Video”ノーカットVer.”や Music Videoのメイキング映像も収録される。

このイベントは既に終了済なのですが、残っているリンク先に貼られていた「会いたいよ」のドラマ・スペシャルカットバージョンは消えており、且つ形跡が残った状態。映像盤同梱CDの購入を促す目的もあるのでしょうが、ミュージックビデオの消去はあたかもそれがなかったことになってしまうようで寂しいですね。ソニー・ミュージックの…と書いたのは、Foorin「パプリカ」の動画再生指標未加算の件等今年幾度となく指摘しているからであり、チャートへの意識やユーザーフレンドリーな対応を願うばかりです。

 

今週のトップ10はこちら。

次週はAKB48サステナブル」の首位は堅いとみています。オリコンデイリーランキングではシングルCDセールスが前作「ジワるDAYS」の1割増となっており、「ジワるDAYS」がシングルCDセールス初加算週の42895ポイントを超える可能性も。とはいえ大事なのはシングルCDセールス加算2週目の総合ポイントであり、「センチメンタルトレイン」(2018)以降3作続けて2週目が3~4%台に落ち込んでいるAKB48にとっては、ここをどう改善するかが鍵。個人的には『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)の出場資格獲得もこの点にかかっているように思います。