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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

IZ*ONE日本向けシングルのチャート失速にみる、日本向け楽曲の"コレジャナイ感"

今週水曜に発表された、10月21日付ビルボードジャパンソングスチャート。2週前に首位に立っていたはずのIZ*ONE「Vampire」が100位圏外(300位以内)となり、あっという間に姿を消してしまいました。 

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しかし、実は前のシングル「Buenos Aires」も1→32位→100位圏外(300位以内)であり、シングルCDセールス初加算週以降の100位以内在籍はわずか2週。日本デビュー曲の「好きと言わせたい」はシングルCDセールス初加算週以降5週間、100位に在籍していましたが、ここ2作で急激に沈静化。AKB48サステナブル」がシングルCDセールス加算後3週目に100位圏内から姿を消したのを彷彿とさせます。f:id:face_urbansoul:20191018072656p:image
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他方、韓国でリリースされた作品群をみてみましょう。日本ではシングルCD未発売ゆえ単純比較は出来ませんが、EP『COLOR*IZ』からのリード曲となる「La Vie en Rose」は17週、同じくEP『HEART*IZ』のリード曲である「Violeta」は8週、100位以内に在籍していました。

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以前からここで述べているように、韓国向け楽曲の強さはストリーミング(サブスクリプションサービスの再生回数に基づく)および動画再生の接触を示す指標群にあります。

 

いや、日本向けの楽曲群もシングルCDセールス加算以前から100位以内に入ってはいます。シングルCDセールスが加算される数週前から助走とも言うべき期間があるのはたしかなのですが、しかし上記CHART insight(チャート推移のグラフ)をみるととりわけ最近の2作品では、接触指標群が助走期間に上昇するもシングルCDセールス初加算週には失速する傾向があるのです。サブスクリプションサービスの順位はCDリリースのタイミングで急降下し、動画再生は300位にすら入っていない曲もあります。

考えられるのは、サブスクリプションサービスで聴く方は既にCD購入を決めていて、CDリリースまで待ちきれずに先行で聴いているだろうこと。無論ライト層もサブスクリプションサービスを利用して聴くものの、一聴して"コレジャナイ感"を抱いてしまい接触しなくなったのではないかというのが私見です。日本向け楽曲は韓国向けとは異なり、一聴してドメスティックな、日本のアイドルが歌いそうな楽曲が多い印象があり、それがライト層が飛びつかなくなった要因かもしれません。尤もそのほうが"CDとして"売れるのかもしれませんが、仮にIZ*ONEの次の韓国向け作品がビルボードジャパンソングスチャートで伸び悩むならば、ライト層はIZ*ONE自体に興味を抱きにくくなったと言えるかもしれず、そうなれば日本向けの戦略は中長期的に正しいとは言えないものと考えます。