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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

サブスク再生回数を伸ばしたのはテレビだった、動画再生指標未カウントおよび初カウント問題…10月28日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

一昨日発表された最新10月28日付ビルボードジャパン各種チャートから、ソングスチャートを中心に振り返ります。通常は木曜に記載していますが昨日はOfficial髭男dism「Pretender」の初の首位獲得に絡めて、今年度首位を獲得した楽曲を一覧化した上で"シングルCDセールス指標のウェイト減少の必要性"を説きました。

 では今回、以下の内容をチェックしていきます。

 

・テレビ効果は絶大、ストリーミング指標が上昇

歌詞サイトの閲覧回数もあるものの、サブスクリプションサービス(一部を除く)の再生回数に基づくのがストリーミング指標。今週同指標でトップ10入りを果たした楽曲はすべて数字を伸ばしています。過去2週のビルボードジャパンの記事を元にまとめたものが下記の表。

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今週のストリーミングソングスチャートの解説は下記に。

アルバム『Traveler』が発売されたことで「Pretender」をはじめとする収録曲のストリーミング指標がダウンするかと思ったのですが杞憂でした(もしかしたら明日レンタルが解禁されることで、影響が及ぶかもしれません)。むしろアルバムの評判が広がったことで聴く方が増えただろう結果、インタールードを除く13曲が同指標100位以内にランクインしています。

また上記ビルボードジャパンの解説でも触れられていますが、King Gnuが『さんまの東大方程式』(フジテレビ 10月19日放送)で取り上げられたことで、新曲「傘」のみならず「白日」も伸びている状況。また昨日のブログエントリーでも触れましたが、『ミュージックステーション』(テレビ朝日 10月18日放送)で今夏のサブスクリプションサービス再生回数ランキングを紹介したことがサービス自体の認知度向上や利用増進につながったものと考えていいでしょう。そう考えるとテレビの効果は絶大と言えます。

 

ちなみに、ソングスチャートにおける各指標毎のトップ10ランクイン曲のうち、総合チャートに最も多くランクインしているのがストリーミングの7曲。次いでダウンロードおよび動画再生の6曲、ルックアップの5曲となり、接触指標群と総合チャートとの密接な結び付きが解ります。他方カラオケは3曲、シングルCDセールスおよびラジオエアプレイは2曲、そしてTwitterはゼロという結果に。ここからTwitter指標とヒット曲との乖離もみえてきます。

 

UVERworld「ROB THE FRONTIER」、フルサイズ公開を遅らせた判断はチャート的に誤りだったと言える動画再生指標未カウント問題

今週ソングスチャートで6位に入ったのがUVERworld「ROB THE FRONTIER」。シングルCDセールス指標の4位をはじめ3指標がトップ10入りしています。しかしCHART insightをみると、動画再生指標が300位以内にすらランクインしていないのです。

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(下のCHART insightは動画再生指標のみ抜き出したもの。赤のグラフが全く表示されていないことが解ります。)

実は公開されたミュージックビデオはショートバージョン。

動画の説明欄には『フルサイズミュージックビデオは近日公開!!』とあります。そして。

公式Twitterアカウントでは『大人の事情』とはっきり記載。一方で『フルで観て欲しいと思ってます』とも書いているため、CDに同梱された映像盤を手に入れてほしいというCD購入誘導が目的ではと考え調べてみると、3種リリースされたバージョンのどれにも映像盤は同梱されていません。

そこで浮かんだのは、この大人の事情とは『YouTube Premium会員が使用出来るYouTube Musicサービスにて同曲を”ストリーミングとして聴くことが出来る』ことでCDが手に取られにくくなることへの対抗措置ではないかということ。とはいえ、仮説が当たっていたとしても『ビルボードジャパンではYouTube Musicでの再生回数は動画再生指標としてカウントされます』ので、そこまで目くじらを立てる必要はないと思うのです(『』内はどちらも、欅坂46「黒い羊」CD発売直前のチャートアクションが優れない理由はYouTubeに有り?(2月27日付)より)。YouTube PremiumやYouTube Musicについてはリンク先をご参照いただきたいのですが、そこで例示した欅坂46sumika、そして今回のUVERworldはすべてソニー・ミュージックであるのは果たして偶然でしょうか。

ちなみにショートバージョンが動画再生指標を伸ばさないという例は何度か載せていますのでこちらもご参照ください。

 

・Foorin「パプリカ」、動画再生指標が遂にカウントされる

一方でこちらは遂に動画再生指標が遂に初カウント。遂にというか、ようやくという感じです。

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(下のCHART insightは動画再生指標のみ抜き出したもの。赤のグラフが最新週で遂に登場したことが解ります。)

Foorin「パプリカ」は1億回を超えるYouTubeでの再生回数を達成しながら、前週まで一切動画再生指標がカウントされませんでした。これはISRC(国際標準レコーディングコード)が未付番だったためで、これにより逃したポイントは数万単位になるのでは?と、再生回数が大台に乗ったタイミングで予想していました。

おそらくはFoorin「パプリカ」を掲載したYouTubeアカウントがNHKであり、同局にISRCに詳しいスタッフがいなかったことが原因でしょうが、動画再生指標未カウントをそのままにしていたレコード会社にも疑問が浮かびます。

現段階でFoorin「パプリカ」の動画説明欄に登録動画についての説明がないため、動画再生指標が"何の動画によってカウントされたのか"や"公式ミュージックビデオにISRCは付番されたのか"、さらにカウント対象がUGC(ユーザー生成コンテンツ)だった場合に"そもそもISRC未付番の作品がUGCの対象になり得るのか"等の疑問は残ります。しかしながら仮に公式ミュージックビデオにISRCが付番されたならば次週以降のランクアップは確実であり、仮に『NHK紅白歌合戦』に2年連続で出場を果たしたならばさらなるヒットも期待出来るでしょう。