イマオト - 今の音楽を追うブログ -

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昨日のラジオ音楽特集、【ゴスペル的J-Pop】曲目リスト

昨日、スタッフのひとりを担当するラジオ番組『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時)にて【ゴスペル的J-Pop】回を担当しました。お聴きくださった皆さんに感謝申し上げます。なかなかにコアな特集ではありますが、新しい発見や気付きが生まれたならば幸いです。

ゴスペル的J-Popの楽曲群については先日もお伝えしましたが、Spotifyでプレイリストを公開中です。

プレイリストでの説明文に掲載した【】内がゴスペル的J-Popの条件(あくまでの自分内の基準)ですが、それに加えて【"You"を神様と差し替えても違和感のない歌詞】も該当します。ゴスペルにおいて、神様を示す言葉はJesusやGod、Lordなどがありますが、あなた(たち)を指す"you"のyを大文字にした"You"もまた、神様を示す言葉となります。

 

そんなわけで、昨日ラジオでおかけした曲を。特集以外の時間は本場ゴスペル曲をお送りしました。

2019年10月27日放送『わがままWAVE It's Cool!』

 音楽特集【ゴスペル的J-Pop】曲目リスト

 

01. エドウィン・ホーキンス・シンガーズ「Oh Happy Day」

02. Hiroyuki Kimura & HIRO's MASS CHOIR「主の御名をたたえよ」

(ここから特集)

特集OP. 中島美嘉「ALL HANDS TOGETHER」

03. AI「ハピネス」

04. Foorin「パプリカ」

05. 浜崎あゆみ「Bold & Delicious」

06. RADWIMPS feat. 三浦透子「グランドエスケープ (Movie edit)

07. 花*花「あ~よかった (setagaya-mix)」

08. Official髭男dism「Stand By You (Acoustic ver.)」

(特集終わり)

09. カーク・フランクリン「Love Theory」

では楽曲毎に解説を。

 

「Oh Happy Day」は日本でヒットした映画『天使にラブ・ソングを2 (原題:Sister Act 2: Back in the Habit)』(1993 日本では翌年公開)でも用いられたゴスペル有名曲。今回はエドウィン・ホーキンス・シンガーズによるオリジナルバージョンをOA。リリースからちょうど半世紀が経過しました。

 

「主の御名をたたえよ」は、自分が関東在住時代に在籍していたゴスペルクワイア、HIRO's MASS CHOIRのファーストアルバム『Unconditional Love』収録曲。自分がラジオで紹介するのは初めてかもしれません。レコーディングや大舞台でのライブも経験する等、沢山の刺激をいただきました。このことについては何度かブログで記載していますが、代表的なエントリーを下記に。以下、楽曲毎にエントリーを紹介します。

 

中島美嘉「ALL HANDS TOGETHER」はゴスペル的J-Popというよりもはやゴスペル。リリース前年に発生したハリケーンカトリーナで甚大な被害を受けたニューオーリンズへのチャリティシングルとしてリリース。前作のブルースナンバー「Cry No More」と合わせて彼女の本気度を強く感じたのは勿論のこと、作曲で参加したCOLDFEETのロリ・ファインさんとの相性の良さを実感。このタッグで一枚アルバム出してほしいくらいです。

 

AI「ハピネス」はこれからの季節を彩るもはやクラシックと化した楽曲。本場仕込の歌声は勿論のこと、ピュアな子どもたちの声をクワイアに代えればゴスペルとして成り立つこと必至。"君が笑えば"の"君"を神様に置き換えてもしっくりくるはずです。来週リリースされるベストアルバムにはこの曲をはじめ、代表曲5曲がゴスペルバージョンとして再録されます。

 

Foorin「パプリカ」はなぜかYouTube動画をきちんと貼付出来ないので、リンク先はこちらに。ゴスペル的ではないものの、歌詞にはゴスペルでよく用いられる"ハレルヤ"が使われています。また歌詞に出てくる"あなた"は子どもたちが歌うには大人びていると思うのですが、このあなたを神様に置き換えてもしっくりきそう。米津玄師さんがこの曲にゴスペル的な息吹を意識して与えたのかどうか、伺ってみたいところです。

 

浜崎あゆみ「Bold & Delicious」は個人的には彼女の曲の中で一番好きなのですが、彼女のファンの方からすれば首を傾げると聞いたことがあります。しかしここまでクワイアの現場感を出しているJ-Popは少なく、彼女の本気を感じた次第。

 

一昨日YouTubeプレミアで一度だけ公開されたのが「グランドエスケープ」ミュージックビデオ(一般公開はない模様)。映画『天気の子』は未見なのですが、「グランドエスケープ」が用いられたシーンではゴスペルが持つ希望や前向きな意志がシーンに合っていたと聞きます。RADWIMPSは以前、『RADWIMPS 4~おかずのごはん~』(2006)でゴスペル的アプローチを施しており、彼らにとってゴスペルは身近なものなのかもしれません。

 

「あ~よかった」はインディーズ時代から歌っていたものを花*花がメジャーデビュー曲として用意(その際"setagaya-mix"として再レコーディング)。当時はゴスペル的だと意識していませんでしたが、彼女たちが『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ 月-金曜18時)でこの曲を披露したときにゴスペルだと実感。

 

今年を代表する歌手となったOfficial髭男dismが昨秋リリースしたEPの表題曲「Stand By You」。ミュージックビデオで描かれるのはバンド仲間と共に歩む姿ですが、アコースティックバージョンではシンプルにピアノとコーラス、ハンドクラップのみで構成。シンプルながらふくよかな音の鳴りがゴスペル的だと思ったのですが、とあるインタビューで録音(録画)場所が教会だと知り深く納得。しかも「Stand By You」自体、昨年観たチャンス・ザ・ラッパーのライブに感化されてゴスペル的にアレンジし直したとのこと。元々ソウルアプローチに長けているOfficial髭男dismですが、ゴスペルを手掛けても本格的で、実力派であることがよく解ります。 無論、歌詞の"You"を神様に置き換えても成立しそうですね。

 

特集終了後は、先月来日公演を行ったカーク・フランクリンによる、今年のゴスペル界を代表するヒット曲「Love Theory」を。米ビルボードゴスペルソングスチャートでは初登場から現在まで38週続けて1位を獲得。星野源さんがApple Music内ラジオ番組で(別曲ですが)紹介したり、先述したチャンス・ザ・ラッパーやカニエ・ウェスト等の作品にも参加するなど、ゴスペルのみならずヒップホップでも欠かせない存在となっています。

 

 

実は先週末リリースされた、ラッパーのカニエ・ウェストの最新アルバム『Jesus Is King』は、タイトルからも解るように全編がゴスペル。今年のコーチェラ・フェスティバルでもゴスペルパフォーマンスを披露したカニエが本格的に取り組んだこの作品は、サブスクリプションサービスで高い再生回数を誇っています。加えてこの1年でAIさん、Official髭男dism、RADWIMPSによるゴスペルアプローチ作品が用意され、またFoorin(および曲を手掛けた米津玄師さん)もゴスペルを想起させる作品を作っていることから、今後ゴスペルがトレンドとなるかもしれません。