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チャート愛好家。ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

『GUNDAM SONG COVERS』のヒットが活きなかった? 森口博子×鮎川麻弥「追憶シンフォニア」のソングスチャート100位圏外をどう捉えるか

弊ブログでは今夏、森口博子さんによる『機動戦士ガンダム』シリーズ使用楽曲のカバー集『GUNDAM SONG COVERS』について幾度となく記載しました。

GUNDAM SONG COVERS』はビルボードジャパンアルバムチャートで初登場5位、オリコンアルバムランキングでは同3位を記録。CDは売切状態が続く等人気にもかかわらず、青森県のほぼ全てのレンタル店舗では解禁日に未導入という事態が発生。TSUTAYAでは旗艦店と位置付けされたMORIOKA TSUTAYAでも同様なのは問題だと指摘しました。その後ようやく、自分の住む近隣のTSUTAYAでも取り扱いがはじまり、おそらくは全国的にも同様の措置が採られたこともあってか、『GUNDAM SONG COVERS』は最新11月4日付ビルボードジャパンアルバムチャートで66位をマーク。CDセールスとルックアップ(パソコン等に取り込んだ際にインターネットデータベースへアクセスする数)の順位が拮抗していることから、購入者の取込率やレンタル動向は高いとみていいでしょう。

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(上記は『GUNDAM SONG COVERS』のCHART insight。折れ線グラフの黒は総合順位、黄色はアルバムCDセールス、紫はダウンロード、オレンジはルックアップを示します。)

 

さて、森口博子さんはその後、鮎川麻弥さんとの共演作をリリースしました。10月23日リリースのダブルAサイドシングル「追憶シンフォニア / 果てないあの宇宙へ」は、SANKYO『フィーバー 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』搭載曲となっています。

鮎川麻弥さんも以前『機動戦士ガンダム』シリーズで楽曲が用いられており(テレビアニメ『機動戦士Ζガンダム』(1985-1986 名古屋テレビ / テレビ朝日)前期オープニング「 Z・刻をこえて―Better Days Are Coming―」等)、このタッグでのリリースは『GUNDAM SONG COVERS』同様話題になるかと思ったのですが、「追憶シンフォニア」はシングルCDセールス指標が初めて加算された11月4日付ビルボードジャパンソングスチャートで100位以内に入ることは出来ませんでした。

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(上記は「追憶シンフォニア」のCHART insight。折れ線グラフの黄緑はラジオエアプレイを、水色はTwitterを示します。Twitter指標は総合同様、3週連続で100位圏外(300位以内)となっています。ソングスチャートを構成する指標群については後述します。)

「追憶シンフォニア」が100位以内を逃した原因は、シングルCDセールスは19位と好調ながらルックアップが40位と乖離していることがまずは大きいと言えます。ルックアップはレンタル店の回転数やそもそもの導入動向を捉える指標であることを踏まえるに、もしや…と思い調べると、その予感は当たっていました。

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弘前地区のTSUTAYAは上記弘前店の他、弘前樹木店とも未入荷(他方MORIOKA TSUTAYAの導入は確認)、GEO弘前安原店でも同様でした。GEO青森柳川店は青森県のレンタル店で最も品揃えが多く、『GUNDAM SONG COVERS』もレンタル解禁日より導入したこともあってか今回のシングルもきちんと入っていたのですが、他店舗の状況を踏まえるに『GUNDAM SONG COVERS』の教訓が生きていない…厳しくもそう言い切っていいでしょう。1枚でも導入されていたならば、そして『GUNDAM SONG COVERS』と同時展開していたならば…と、その機会損失っぷりを強く残念に思います。

そして同時に、今作がデジタル未展開なのも気になります。ミュージックビデオが用意されていないこともさることながら。

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「追憶シンフォニア」はダウンロードサービスのiTunes Storeで未導入、サブスクリプションサービスのSpotifyでも未解禁を確認…その状況は、『GUNDAM SONG COVERS』が発売から1ヶ月以上経ってデジタルを解禁した展開をなぞっているように思われます。おそらく「追憶シンフォニア」等も後日デジタル解禁されるものと思われますが、この展開手法にも疑問が。ビルボードジャパンアルバムチャートは3指標で構成されているのに対し、ソングスチャートは8指標に基づくもの。今回加算対象となっているシングルCDセールス、ルックアップ(この2指標は乖離してはいますが)、ラジオエアプレイ(対象ラジオ局のOA回数に人口を加味したもの)、Twitter(ひとつのツイートに歌手名と曲名と共に記載したもの)は比較的強いと言える一方、ダウンロード、ストリーミング(サブスクリプションサービスの再生回数および歌詞サイトの閲覧回数)、動画再生、そしてカラオケ(この指標はリリースから数週経ってランクインするのが通常ですが)という4つの指標が未加算ゆえ、総合チャートでの100位以内ランクインを逃してしまったのでは、と考えます。

 

GUNDAM SONG COVERS』の好調っぷりを踏まえ、森口博子さんは今年の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)に復帰を果たす可能性があるのではと考えていました。しかし制作側が仮にアルバムのみで判断を保留した場合、今回のシングルで見極めるだろうと想像出来、今回のシングルがビルボードジャパンソングスチャートで十分な成績を残せなかったことで出場の可能性は微妙となったのではと懸念しています。『NHK紅白歌合戦』出演者の選出基準がオリコンよりビルボードジャパンのチャート成績にあると考えるゆえ、尚の事です。

 

デジタル導入を見送ったことの判断が正しかったのか、レコード会社は自問自答する必要があるでしょう。またレンタルチェーンにおいては、いわば"血の通った" "心がこもった"作品導入が出来ていないことを深く省みる必要があります。アルバムの傾向を踏まえれば、レンタルチェーンもレコード会社も今回のシングルが売れるだろうことを理解出来たはずであり(そして実際にセールス面では結果を出していたわけで)、レコード会社はレンタルチェーンに働きかけてよかったのではないでしょうか。