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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

90年代R&Bで紡ぐ”Baby Makin' Music”

一昨日のラジオ特集はまさしくツボでした。

星野源『Same Thing EP』は、日本にベイビーメイキングミュージックという概念をもたらす意味でも重要作になるのだと実感。さすがの着眼点だと思います(し、実際に曲も好いです)。

90年代にR&Bにハマった自分には、R&Bがそういう概念を持ち合わせた音楽であるだけに特集がドツボだったと同時に、ジェーン・スーさんの「涙そうそう」事件じゃないけれど自分もそういうプレイリストまとめてみたなあというのを思い出したり。尤も、ベイビーメイキングミュージックなシチュエーションには用いませんでしたが。

 

ということで、この特集に触れて思い出した、90年代R&Bのベイビーメイキングミュージックな楽曲をいくつか、思いつくままに紹介。

90年代に雨後の筍の如く登場したボーカルグループの中でも屈指の実力を誇ったエクスケイプ。現状ラストアルバムとなる『Traces Of My Lipstick』(1998)収録のこの曲は、よくよく考えれば彼女のいる男との”秘密”を歌ったものゆえベイビーメイキングミュージックとは異なるかもしれませんが、「Ain't Nobody Know」同様にBPMより明らかに速いリズムが刻まれているのが共通項。当時興隆したティンバランドのビート(”チキチキ”と呼ばれていました)を、プロデューサーのジャーメイン・デュプリが意識したのかもしれません。

エクスケイプの場合、「My Little Secret」の直後に訪れる「Softest Place On Earth」こそ混じりけのない(?)ベイビーメイキングミュージックだと思いますが、その「Softest Place On Earth」を手掛けたジョーの出世作「All The Things (Your Man Won't Do)」(1996)を。実際この曲もエクスケイプ同様、”彼氏がやってくれないこと、俺なら全部出来るよ”という意味深(いや、直接的)な内容なのですが、この曲に対するR&Bファンや好事家の熱狂は凄まじかった記憶があります。

内省的な側面を強く打ち出したジャネット・ジャクソンのアルバム『The Velvet Rope』(1997)から、ロッド・スチュワートでお馴染みの「Tonight's The Night」を。リラックスして歌うジャネットの声、そしてその声を美しく重ねていくプロデューサーのジャム&ルイスの手腕は見事。アメリカで首位を獲得したオリジナルバージョンに新たな価値を与えた傑作カバーです。

最後はトータル。パフ・ダディ(当時の名前)のレーベル、バッドボーイから登場した彼女たちのセルフタイトルアルバム(1996)から「Kissin' You / Oh Honey」を。オリジナルの「Kissin' You」はラファエル・サディークが手掛けたアコースティック的な美しいミディアムスロウなのですが、パフ・ダディとスティーヴィー・Jが施したのはデリゲーション「Oh Honey」(1977)のサンプリング採り入れ。これで夜をさらにメロウに彩るバージョンが完成しました。

 

サブスクリプションサービスが興隆し、プレイリストがヒットチャートを作り上げる可能性を秘めた時代となりました。ラジオでも”ベイビーメイキングミュージックと検索すれば沢山出てくる”と言っていましたが、日本でもこのようなプレイリストが登場して、夜の概念が変わるならば…などと考えたりしております。