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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

岡村靖幸さらにRHYMESTER「マクガフィン」本日リリース、その前に松任谷由実が抱いた違和感の正体を考える

岡村靖幸さんとRHYMESTERによるコラボレーション曲、"岡村靖幸さらにRHYMESTER"名義による「マクガフィン」が本日デジタルリリースされました。

さて、リリース前の動きで気になったのが、先週金曜にRHYMESTER宇多丸さんが松任谷由実さんを論破した?という話。この日放送の『松任谷由実のオールナイトニッポンGOLD』(ニッポン放送 月一回金曜22時)に宇多丸さんがゲストで出演し、「マクガフィン」の感想を松任谷由実さんに尋ねたところ、松任谷さんが微妙なリアクションをしたこと。宇多丸さんは曲がかかっている最中に説明し、納得してもらえたようです。この日の放送はみやーんさんが書き起こされていますのでそちらを是非(勝手ながら紹介させていただきました。問題があれば削除いたします)。

で、個人的に引っ掛かったのは『結局はライムのものなんじゃないかな?』という松任谷さんの問いかけ。RHYMESTERをライムと呼ぶのは個人的には新鮮でしたがそれはさておき、そこで考えたのは、松任谷さんと宇多丸さんで、"岡村靖幸そしてRHYMESTER"の"そして"の部分に認識のズレがあるのでは?ということ。【シンガー feat. ラッパー】の曲構成は通常、2番サビまでシンガーが担当した後ラッパーが登場し最後のシンガーによるサビへと繋がります。逆に【ラッパー feat. シンガー】の場合はサビの部分をシンガーが、その他の部分はラッパーが担うことが慣例ではないでしょうか。"岡村靖幸さらにRHYMESTER"については、仮に"さらに"をfeat.に置き換えれば2番サビまで岡村さんが、その後RHYMESTERが務めて岡村さんの最後のサビに至るというのが一般的であり、もしかしたら松任谷由実さんはその一般的な【シンガー feat. ラッパー】理論を当てはめようとしたのかなと。尤も宇多丸さんはラジオで初のコラボ発表の際にfeat.的な意味合いでの"さらに"だと話してはいたのですが(宇多丸 岡村靖幸さらにライムスター『マクガフィン』初披露を語る - miyearnZZ Labo(10月21日付)参照)、とはいえRHYMESTER客演参加曲において彼らはシンガーと同等の活躍をする場合が多く、一般的な【シンガー feat. ラッパー】構造には当てはまらないのは過去の作品例からも言えるわけです。

そういう意味で、"岡村靖幸さらにRHYMESTER"はfeat.ではなく"&"と捉えるのがいいのかもしれません。

(ちなみに日本におけるfeat.の概念が"loves"や"joins"などで言葉遊び的に言い換えられたり、グループに所属しながら"feat."がつくことでスポットを当てたりする傾向もあり、また海外ではEDMプロデューサーの楽曲にシンガー等が招かれる際EDMプロデューサーは歌っておらず客演者のみの声が聴こえるわけで。フィーチャーモノの形式はどんどん変わってきていると言えそうです。)

 

その、岡村靖幸さらにRHYMESTERマクガフィン」は今日ミュージックビデオも解禁されました。

水曜リリースに間に合わせて制作されたという(前日の『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ 月-金曜18時)では鋭意制作中との話でした)、このミュージックビデオの見事なところは、同曲を初披露した岡村靖幸さんのライブにおける実際の音声を終盤に重ねる点。スクラッチを強調したり曲中のMCを挟むことでライブ感が増幅されるのは勿論のこと、配信された楽曲とは音声が異なるためダウンロードでの所有やサブスクリプションサービスでの接触を促すことも可能となりミュージックビデオにおけるいい意味での差別化、プレミアム化が図れているのです(無論、ライブを体感出来るという点においても)。月曜リリースにしていたならばビルボードジャパンソングスチャートでも1週間フルにカウント出来たのにと思いつつ、このひたすらセクシーな両者の化学反応を聴きまくって溺れようと思います。