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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

LiSA「紅蓮華」の別バージョンがフル尺で公開…ビルボードジャパンソングスチャートに活きてくるか

今年のビルボードジャパン年間チャートを振り返った際、次にブレイクの波に乗る曲としてLiSA「紅蓮華」を取り上げました。

ただし、ミュージックビデオがショートバージョンであるために接触指標群のひとつである動画再生がストリーミングとは裏腹に伸びていないことを、幾度となく勿体無いと記載していました。

そんな状況が、一気に変わりつつあります。

『アーティストの一発撮りのパフォーマンスをよりリアルに、鮮明に届ける”YouTubeチャンネル』(YouTube動画説明欄より)、THE FIRST TAKEに先週金曜アップされたこのバージョンは、LiSAさんの力強いのみならずしなやかさを兼ね備え、表現力の豊かな歌声を堪能出来ます。そしてこの動画が「紅蓮華」の”フルバージョン”であることで、これまで自分が指摘した問題をクリア出来るのでは?と考えています。

ただし、「紅蓮華」にTHE FIRST TAKEの再生回数が動画再生指標に合算されるためには確認しないといけないことがいくつかあります。

 

① THE FIRST TAKE動画が加算対象の条件を満たしているか

ビルボードジャパンソングスチャートにおける動画再生指標のカウント対象は下記の通りです。

日本レコード協会が発行および管理を行っている国際標準コード「ISRC」が付番されたレコーディング(オーディオレコーディングおよび音楽ビデオレコーディング)を使用した動画を集計対象として、その国内週間再生回数を米国ニールセン経由で集計しています。権利者の許諾を受けていれば、「恋」や「ダンシング・ヒーロー」などで見られた、オフィシャル音源を使用したユーザー生成コンテンツ(UGC)も集計対象となります。

【Billboard JAPAN Chart】よくある質問 | Special | Billboard JAPANより

今回の動画がISRCが付番されない、もしくはUGCの対象とならなければ集計されません。そこで動画の詳細欄をみると。

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(動画の説明欄確認のためにキャプチャしました。問題があれば削除いたします。)

通常は動画説明欄に楽曲の権利者がクレジットされているのですが、今回は未記載ゆえISRCを付番している、もしくはURCに該当すると断言することは出来ません。ちなみに、先に載せた「紅蓮華」ミュージックビデオには動画説明欄にこのような記載があります。

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となると、THE FIRST TAKEの動画が次回発表の12月16日付ビルボードジャパンソングスチャート(集計期間は昨日までの一週間)に加算されない可能性があります。動画再生は昨夜の段階で既に160万を記録、日本での再生回数は軽く100万は超えていることでしょう。となると次回のソングスチャートで動画再生指標が急伸するかどうか、明後日の昼に発表される最新チャートで確認しないといけません。

 

② THE FIRST TAKE動画は元のバージョンに合算されるか否か

ビルボードジャパンには合算についてのルール(チャートポリシー)が存在、基本的には同一歌手による同じタイトルの複数の曲は最終的には名寄せの上でランクインさせますが、客演やリミックス等オリジナルにない要素が追加されていると判断すれば分けるというのがルールとなっています。これは昨秋に直接確認し判明したことです。

しかし、今回のTHE FIRST TAKEはアレンジが明らかに異なるゆえ本来は別物と考えるのが自然ではないでしょうか。ならば、仮にこの動画が元のバージョンに合算されることがあれば、ビルボードジャパンが昨秋回答した内容と矛盾すると言えるでしょう。または、今回の動画はURCの一種でありURCにおけるアレンジは自由である、もしくは上記チャートポリシーは動画再生指標に適用されない(あくまでダウンロード等に限る)というならば、今回のバージョンは大幅に異なったアレンジでありリミックスと呼んでいいかもしれず、やはり矛盾を感じるのです。そしてこれら矛盾は、アメリカに倣い合算するとチャートポリシーを変更すれば済む問題だと捉えています。

 

個人的には、LiSA「紅蓮華」がより大きなヒットの波に乗るため、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)の効果を最大限に増幅させるためにも、今回の動画がISRCが付番されていること、および合算の対象であることを望みます。そしてこれを機にビルボードジャパンが合算する方向へ舵を切ることも願います。さらに、「紅蓮華」が大ヒットに至った際には、所属レコード会社や芸能事務所がミュージックビデオのフルバージョンでの公開に移行していくことを強く願っています。