イマオト - 今の音楽を追うブログ -

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退所した芸能人を救うだけでは不十分、公正取引委員会が行うべきはライバル事務所所属歌手の同時出演である

11月29日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日 金曜21時)では、スタジオにジャニーズ事務所所属歌手が不在という珍しい状況が発生。関ジャニ∞が47都道府県ツアーを行っており、終演後に大分県から中継、地元のアナウンサーも出演という構図は懐かしの『ザ・ベストテン』(TBS)を彷彿とさせました。当該週は関ジャニ∞の新曲「友よ」リリース週に当たるため露出は必要だったとは思われまが、普段みられない中継を行ってまでジャニーズ事務所所属歌手を毎週出さないといけない理由はあるのでしょうか。そして逆に、ジャニーズ事務所所属歌手のライバルたりうる男性アイドルが出演出来ないのはどうしてでしょう。

北村匠海さんが出演し、山崎まさよしさんと共に「影踏み」を披露した11月22日放送回において、山崎さんが"DISH//"という北村さんの所属グループ名を出してくれたことに歓喜するファンの姿を多く見かけましたが、個人的には『ミュージックステーション』がDISH//の名を伝えなかったことを疑問視し、怒ってすらいいと思うのです。そもそも北村匠海さん出演の回においては、DISH//の名を伝えないことに何のメリットがあるというのでしょう。

山崎まさよしさんは出演の3日後に『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ 月-金曜18時)で生演奏を披露したのですが、最後に歌ったのが「セロリ」(1996)でした。翌年にSMAPがカバーして大ヒットした曲です。

逆に言えば、山崎まさよしさんが『ミュージックステーション』で北村匠海さんを(本来山崎さんのソロである「影踏み」に)招聘しなければ、北村さんはずっと出られない可能性もあったわけです。実際、北村さんは出演の翌日にその思いを吐露しています。

同番組に初出演した北村は「山崎さんと一緒でなかったら、いつあの場に立つことができたんだろうと思いました。歌ったあと楽屋に戻ると、手がびっくりするくらい震えてました(笑)」と告白

北村匠海、山崎まさよしとのMステ出演に震える「すごいことになってるな、北村くん」 - 映画ナタリー(11月23日付)より

ちなみに先週、映画で山崎さんおよび北村さんが演じた部分を用いた「影踏み」の新たなミュージックビデオも公開されていますが、『ミュージックステーション』効果により制作に至ったと言えそうです。

近年こそ三浦大知さんやDA PUMPが出演出来ていますが、以前から抱いていた番組への、いやこれはエンタテインメント業界全体に対する不信感がさらに強固なものになったことを書き刻んでおきます。以前指摘した内容は下記に。

 

さて、11月27日に公正取引委員会がこのような見解を示しています。

その内容を掘り下げる記事も昨日登場。

退所前の芸能事務所による"圧力"も問題ですが、メディアによる退所前の芸能事務所への忠誠心の強さ、言い換えれば"忖度"は明らかでしょう。長らく慣例化する状況が変わらない限り、インターネットテレビ局等の勢いに押される地上波テレビ局は自ら信用失墜を招き衰退すると言っていいかもしれません。しかしこの公正取引委員会の見解はあくまで【芸能事務所を退所した芸能人】への救済であり、たとえばジャニーズ以外の事務所所属の男性アイドルグループが出られない件への措置には当たりません。

12月27日放送の『ミュージックステーションスペシャル出演歌手第二弾として、ジャニーズ事務所所属歌手のみ14組がまとめて発表されています。ジャニーズ事務所(所属歌手)との密な関係性はこの発表ひとつ取っても十分に理解出来ますしそのほうが視聴率の上昇につながるかもしれませんが、先述したDISH//や実力派アイドルのw-inds.Da-iCE等を未だ招聘しない理由にはならないはずです。公正取引委員会は退所した芸能人の活動のみならず、一部芸能人への過度な忖度により出演機会を奪われるライバルをきちんとフックアップ出来るような体制づくりに動くことを強く求めます。仮にですが、ジャニーズ事務所所属歌手が他事務所の男性アイドルグループ同時出演により霞むゆえに出さない(でほしい)という芸能事務所の圧力とメディアの忖度が根底にあるのだとしたら、それはジャニーズ事務所所属歌手自身の魅力を芸能事務所もメディアも信じていないということになるのではないでしょうか。