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マライア・キャリーのあのクリスマスソングが25年を経て首位獲得、ジュース・ワールド8位再浮上、トーンズ・アンド・アイも遂に…12月21日付米ソングスチャートをチェック

現地時間の12月16日月曜に発表された、12月21日付最新ソングスチャート。前週首位を獲得したザ・ウィークエンド「Heartless」は後退。マライア・キャリーが1994年にリリースした「All I Want For Christmas Is You (邦題:恋人たちのクリスマス)」が遂に首位の座を射止めました。

今回の首位獲得に際し、米ビルボードはトップ10発表とは別に記事を設け(上記リンク先参照)、マライア・キャリーの偉業を紹介しています。

マライアは記事を紹介する形で喜びを爆発させました。

これまでの最高位となる3位に先週到達したばかりの「All I Want For Christmas Is You」が遂にチャートを制しました。クリスマスソングが米ビルボードソングスチャートを制したのはチップマンクス with デヴィッド・セヴィル「The Chipmunk Song」が1958年から翌年にかけて4週間首位を獲得して以来2曲目。ストリーミングは前週比30%アップの4560万、ダウンロードは同185%アップの27000で2指標を制覇。後者においては今月11日から公式ホームページでシングルCDをリリースしたことも同指標を押し上げる材料となりました。ここ最近はレコードのみならずカセットテープやCDを自身のホームページで販売する歌手も増え、それがダウンロード指標に加算されるのは前週首位に立ったザ・ウィークエンド「Heartless」も同様で、チャートを押し上げる新たなの施策となっています。またラジオエアプレイは前週比11%アップの3440万となり同指標27位に上昇しています。

「All I Want For Christmas Is You」は1994年のリリース。当時はラジオエアプレイで12位を記録しながらシングルCDはリリースされていません(日本ではドラマ主題歌としてシングル化)。当時の米ビルボードはシングルCDセールスとラジオエアプレイで構成されていましたが、シングルCD化されていない曲はランクインの対象とはならなかったため、「All I Want For Christmas Is You」がランクインするのはチャートポリシーが改正された1999年度以降となり、2000年1月8日付に83位で初登場を果たしたのです。リリースから25年を経ての首位獲得にはそのようなチャートの事情もあります。

今回「All I Want For Christmas Is You」の首位到達で、マライア・キャリーは19曲目の1位を獲得。1958年からスタートした米ビルボードソングスチャート(Hot100)の歴史において、最多首位獲得曲数の記録を持つビートルズにあと1曲と迫りました。また、ボーイズIIメンとの「One Sweet Day」(1995-1996)の16週首位を含め、首位獲得週数は今週でちょうど80週に。こちらの記録では2位のリアーナ(60週)を引き離しています。

マライア・キャリーが初めて首位を獲得したのは今から29年4ヶ月2週前の「Vision Of Love」(1990)でのこと。初の首位から最新の首位獲得までのスパンはシェールを上回り史上最長記録を更新しました(シェールは「Gypsys, Tramps & Thieves」(1971)から「Believe」(1999)にかけての27年5ヶ月。ただし以前のデュオ、ソニー&シェール時代を含むならば最初の首位獲得は「I Got You Babe」となり33年7ヶ月2週となります)。またマライアは1990年代、2000年代、2010年代の3つのディケイドで首位を獲得し、こちらはクリスティーナ・アギレラブリトニー・スピアーズそしてアッシャーに次ぐ4組目に。クリスマスソングがピークを迎えるのは2020年1月4日付であり、仮にその際「All I Want For Christmas Is You」が1位を獲得したならば、2020年代を含む4つのディケイドで首位を獲得した初の歌手となります。さらにマライアは前回の首位獲得曲「Touch My Body」から11年8ヶ月を経ての首位獲得となり、ドクター・ドレーが持つ12年2ヶ月3週以来のロングスパンに。なおこの記録の持ち主は先述したシェールであり、「Believe」の前に首位を獲得したのは25年前、1974年の「Dark Lady」となります。

「All I Want For Christmas Is You」はリリースから25年を経ての首位到達となり、たとえばエルトン・ジョンが「Candle In The Wind 1997」でオリジナル版のリリースから24年を経た1997年に首位を獲得した例はありますがこちらはリメイク。マライア・キャリーの場合はオリジナルバージョンで首位を制したわけで、リリースから首位獲得まで最長期間を有した記録を更新したことに。また初のランクインから首位獲得までのソングスチャート在籍週数は35週で、ロス・デル・リオ「Macarena (Bayside Boys Mix)」が登場33週目となる1996年に1位を獲得した記録を破りこちらも最長記録を更新。無論、2011年にスタートしたクリスマスソングスチャート(Holiday 100)においても「All I Want For Christmas Is You」は1位を獲得し、これまで43週間の同チャートにおいて38週もの首位を独占しています。

 

その他、ソングスチャートではクリスマスソングが2曲登場。

3位にはブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」が前週の8位から上昇。前週既に最高位を更新したこの曲は、クリスマスソングでは先述したチップマンクス with デヴィッド・セヴィル「The Chipmunk Song」およびマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」に次ぐソングスチャートでの最高位となり、同曲は初登場から59週と9日を経て初のトップ3を獲得しました。

ストリーミングは前週比13%アップの3710万で同指標3位を獲得。米ビルボードはこの上昇の要因を、今年新たに公開された上記アニメーションビデオの影響と捉えています。ラジオエアプレイは同8%アップの2640万(同指標34位)、ダウンロードは同19%アップの5000(同38位)となりました。

クリスマスソングではさらに、バール・アイヴス「A Holly Jolly Christmas」も10位に登場。昨シーズン(2019年1月5日付)で獲得した最高位に並びました。ストリーミングは前週比29%アップの3190万(同指標8位)、ラジオエアプレイは同3%アップの2470万(同39位)、ダウンロードは同18%アップの2000(同指標50位未満)となっています。こちらも公式のアニメーションビデオが制作されており、定番のクリスマスソングも現代向けに戦略を練っていることが解ります。

 

前週のチャート紹介前にジュース・ワールドの訃報が飛び込んできたのですが、その訃報を受けて彼最大のヒット曲「Lucid Dreams」がトップ10に戻ってきました。スティング「Shape Of My Heart」をサンプリングしたこの曲は昨年最高2位を獲得しましたが、ストリーミングは前週比235%アップの3860万(同指標2位)、ダウンロードは同1637%アップの8000(同14位)を獲得するなどにより、今週8位に再浮上しています。

トップ10返り咲きといえば、スーパーボウルハーフタイムショー出演効果でレディー・ガガ「Million Reasons」が2017年2月に4位に再浮上したのが記憶に新しいところ。個人的には以前のエックスエックスエックステンタシオンの例もあり、首位に返り咲くものと考えていましたが(ジュース・ワールド、訃報を受けてSpotifyデイリーチャートを席巻…ビルボードソングスチャート初の首位獲得なるか(2019年12月13日付)参照)、クリスマスソング等の存在は大きかったですね。

 

一方、キャリア初のトップ10入りとなったのがトーンズ・アンド・アイ「Dance Monkey」。

出身地オーストラリアやイギリスなどで記録を獲得していることはつい先日お伝えしました。

ストリーミングは前週比18%アップの2560万(同指標9位)、ダウンロードは同44%アップの16000(同3位)、ラジオエアプレイは同18%アップの3830万(同20位)といずれも二桁成長を達成しています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (3位) マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」

2位 (2位) ポスト・マローン「Circles」

3位 (8位) ブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」

4位 (4位) ルイス・キャパルディ「Someone You Loved」

5位 (6位) リゾ「Good As Hell」

6位 (7位) アリゾナ・ザーヴァス「Roxanne」

7位 (5位) マルーン5「Memories」

8位 (再登場) ジュース・ワールド「Lucid Dreams」

9位 (13位) トーンズ・アンド・アイ「Dance Monkey」

10位 (18位) バール・アイヴス「A Holly Jolly Christmas」 

ラジオエアプレイ首位はリゾ「Good As Hell」(今週5位)。ですが、前週比2%ダウンの9810万となり1億を割っています。そして前週首位を獲得したザ・ウィークエンド「Heartless」は17位に急落。ストリーミングは前週比31%ダウンの2060万(同指標2→18位)、ラジオエアプレイは同47%アップの3850万(同38→19位)、ダウンロードは同90%ダウンの6000(同1→28位)と、ラジオエアプレイの上昇以上に他2指標のダウンが目立ちます。前週公式ホームページでシングルCDを販売した効果でダウンロードが伸びたその反動も大きく影響し、ディオンヌ・ワーウィック & スピナーズ「Then Came You」(1974)およびビリー・プレストン「Nothing From Nothing」(1974)の1→15位を上回り、首位獲得翌週の大幅ダウン記録を更新してしまいました。32→1→17位というのはなんとも日本らしい記録と言えるかもしれません。