face it

青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

(追記あり) 「馬と鹿」がトップ10を逃したのはサブスクリプションサービス未解禁ゆえ? 12月30日付ビルボードジャパンソングスチャート上位曲と比較して見えてきた3つの数値

(※追記 (2020年1月14日19時00分):昨年12月23日付ビルボードジャパンソングスチャートにおいてラジオエアプレイ指標に誤りがあり、ビルボードジャパンではチャート公表の翌日に同指標順位および総合ポイント(一部総合順位)が訂正されています。これら訂正は決して小さいものではありませんが、弊ブログでは翌週以降のエントリーにて訂正した数値で紹介していることもあり、当該エントリーは訂正前の数値を掲載しております。ご了承ください。近日中に訂正を実施予定です。)

 

 

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点をソングスチャート中心に紹介します。

 

12月16~22日を集計期間とする12月30日付ビルボードジャパンソングスチャートを制したのは、Official髭男dism「Pretender」でした。

2週連続、通算4週目の首位を獲得した「Pretender」は嵐「A-RA-SHI : Reborn」の猛追をかわしました。

集計期間3日ながら2位に入った「A-RA-SHI : Reborn」は今後テレビアニメ『ONE PIECE』とコラボレーションしたミュージックビデオが公開されますが、それとは別にオフィシャルオーディオが用意されています。

動画再生指標が未加算であるため、上記動画にISRCが付番されていない、もしくは付番されていても同指標で300位に満たない(ゆえにカウントされなかった)可能性が考えられますが、しかしながらリリース当日に日本ではあまり見られないオフィシャルオーディオをきちんと用意するところに、嵐の本気度を感じます。この動画の用意も、先日記載した海外の手法を採り入れた一環と言えるでしょう。

米津玄師さんが手掛ける「カイト」が仮に『NHK紅白歌合戦』直後の来年元日に公開されたならば、さらにはオフィシャルオーディオに限らずミュージックビデオも同時公開されたならば、同曲の集計期間は5日となり来年1月14日付ビルボードジャパンソングスチャート(1月8日発表)で爆発的人気を獲得するかもしれません。ジャニーズ事務所所属歌手がデジタル解禁して間もなく、デジタルの手法を急激に身に着けていることが理解出来ます。

 

さて本日は、下記ツイートを踏まえて記載します。

この自分のツイートに対し、サブスクリプションサービス未解禁の状況がチャートに影響しているのではという反応をいただきました。そこで今回、2019年リリースの「馬と鹿」とサブスク解禁の曲とで比較してみたいと思います。反応くださった方のツイートの掲載許可はいただいていないため掲載は控えますが、その方が提示したOfficial髭男dism、King GnuおよびLiSAさんの3組の代表曲と比較すると見えてくるものがあるのです。

 

・米津玄師「馬と鹿」

f:id:face_urbansoul:20191226072442j:plain

f:id:face_urbansoul:20191226060454j:plain

Official髭男dism「Pretender」

f:id:face_urbansoul:20191226072512j:plain

f:id:face_urbansoul:20191226061510j:plain

King Gnu「白日」

f:id:face_urbansoul:20191226072522j:plain

f:id:face_urbansoul:20191226061559j:plain

・LiSA「紅蓮華」

f:id:face_urbansoul:20191226072533j:plain

f:id:face_urbansoul:20191226061636j:plain

これら4曲は、ストリーミング未解禁の「馬と鹿」、シングルCDリリースながら最新週では同指標100位未満でソングスチャートを制した「Pretender」、シングルCD未リリースの「白日」、ダウンロード→シングルCD→ストリーミングと段階的に解禁した(一方でミュージックビデオは唯一ショートバージョンの)「紅蓮華」と四者四様の特徴があります。ソングスチャート50位未満はポイント未表記につき、ポイント前週比が確認不可能な週は”(計測不能)”と記載しています。

4曲を比較すると、「馬と鹿」「紅蓮華」と「白日」「Pretender」で【所有指標加算2週目のポイント前週比】に明確な差が生じています。「馬と鹿」はダウンロード加算2週目にポイント前週比が40.5%およびシングルCDセールス加算2週目が同33.3%、「紅蓮華」はダウンロード加算2週目のポイント前週比が43.1%およびシングルCDセールス加算2週目が同49.4%なのに対し、「白日」はダウンロードとストリーミングが同週解禁となったことや翌週にミュージックビデオが公開され動画再生(ストリーミング同様に接触指標群のひとつ)も加算されたことで、ダウンロード加算2週目のポイント前週比は146.3%と躍進。「Pretender」もダウンロードとストリーミングが同週解禁となり、ダウンロード加算2週目のポイント前週比は114.2%、シングルCDセールス2週目においては同91.0%と下がりながらも、「馬と鹿」や「紅蓮華」のような5割未満とまでは至っていません。

【所有指標加算2週目以外にもポイント前週比が80%を切る週の数】も注目。100位以内の登場が19週目となる「馬と鹿」が通算4週あるのに対し、登場44週目の「白日」は1週のみ、登場36週目の「Pretender」は一度もありません(それどころか、「Pretender」のポイント前週比はどんなに低くとも9割を下回っていません)。「紅蓮華」は登場35週目にして所有指標加算2週目以外のポイント前週比80%未満が2週ありますが、サブスクリプションサービスで曲が解禁されストリーミング指標で100位以内に登場して以降はゼロとなっています。

また、【所有指標初加算週以外でポイント前週比が110%を上回る週の数】にも大きな違いが。「Pretender」は今週を含め通算6週、「白日」は8週、「紅蓮華」は9週もあるのに対し、「馬と鹿」は1週しかありません。「紅蓮華」は今週まで3週連続でポイントを伸ばしており、その初週のタイミングを踏まえれば、一発録り動画の登場がこの勢いにつながったと言えるでしょう。

一方で「馬と鹿」が唯一所有指標初加算週以外でポイント前週比が110%を上回ったのはシングルCDセールス加算直前の9月16日付。この時はミュージックビデオ解禁に伴う動画再生指標が初加算となり前週からほぼ2倍となるポイントを獲得しています。この動きは先述した「白日」と同様、つまりは接触指標が貢献したと言えるでしょう。

 

【所有指標加算2週目のポイント前週比】【所有指標加算2週目以外にもポイント前週比が80%を切る週の数】【所有指標初加算週以外でポイント前週比が110%を上回る週の数】に着目すると、サブスクリプションサービスを解禁しているか否かが総合ポイントに如実に表れることが証明されたように思います。

米津玄師さんはアイドルやK-Pop等以外では珍しくシングルCDセールスに長けている方ゆえ、「馬と鹿」はこれまで一度としてシングルCDセールスで40位を下回ってはおらず、さらにパソコン等に取り込んだ際のインターネットデータベースへのアクセス数を示すルックアップは常時3位以内となっています。CD関連の強さがロングヒットに貢献しているだろうと考えられるものの、やはりストリーミング未解禁が少なからず痛手であることは間違いないでしょう。また「馬と鹿」以外の3曲は全て今週のソングスチャートにおけるダウンロード指標がトップ10入りしており、サブスクリプションサービスの興隆が所有指標を駆逐するわけではないとも言えます。「馬と鹿」の動画再生初加算週の貢献を考慮に入れ、ストリーミングを解禁したほうが有利だということを米津玄師さんサイドに対し提案したいと思います。