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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

『関ジャム 完全燃SHOW』”売れっ子プロデューサーが選ぶ年間ベスト10”企画で選ばれた歌手が”売れた”状況になるために必要なこと

先月放送された『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日 日曜23時10分)のこの企画。

楽家3名が選んだランキングは下記に。選者のコメントも記載されています。

 

昨年にも同様の企画が放送され、複数名に取り上げられた中村佳穂さん等にはチャート上でOA効果がみられました。

2019年版ベストで複数名に選ばれたのはOfficial髭男dism、RADWIMPS、miletさんおよび長谷川白紙さんの4名。特に長谷川白紙さんについては、複数名の選出と判った瞬間にMCの村上信五さんが”売れた”と言っていたのが印象的だったのですが、ではチャート上にその影響は表れたのでしょうか。

放送中に日付が変わり、そこからの1週間が集計期間となる2月3日付ビルボードジャパンソングスチャートでは、2名が選出した「あなただけ」を含む長谷川白紙さんのアルバム『エアにに』は総合アルバムチャート100位以内にはランクインせず(同日付アルバムチャートはこちら)、CDセールスチャート(→こちら)でも100位以内には入らなかった一方、ダウンロードチャート(→こちら)では100位に登場しています。ダウンロードでいくら売れたのかは不明ですが、10位のKing Gnu『Sympa』が727ダウンロードであるため、『エアにに』の売上は数百かと思われます(また、番組放送中に当週の集計期間に突入したことを踏まえれば前週ある程度売れたのかもしれません)。2月3日付ダウンロードアルバムチャートの詳細は下記をご参照ください。

この状況を考えるに、「あなただけ」を収録した『エアにに』はセールスを主体としたビルボードジャパンアルバムチャートにおいて売れたと判断するのは難しいかもしれないと思うのですが、いかがでしょう。一方、ソングスチャートにおいては総合、ダウンロードおよびストリーミングにおいて、100位以内に「あなただけ」は入っていません。

この状況を踏まえれば、先の”売れた”発言には疑問を覚えるのです。長谷川白紙さんに対する”売れた”発言にはじめて触れた際の自分の素直な感想を引用します。 

長谷川白紙さんを選出した蔦谷好位置さんは『長谷川白紙さん・君島大空さんの他に、諭吉佳作/menさん、崎山蒼志さんなどの若い才能が集まっている。何十年に1回でるかの人がゴロゴロいる!!と絶賛』しています(『』内は上記moraの記事より)。ならば彼らについて『関ジャム 完全燃SHOW』はまとめて取り上げてはいかがでしょう。それこそが番組の責務であり、自分が望む形であり、そして厳しい物言いにはなりますが安易に”売れた”という言葉を用いた村上信五さんの責任のとり方なのではないかとすら思うのです。無論、売れたイコールセールスとは限らないですし、昨年の中村佳穂さんについては企画後に特集が組まれたわけではないのですが、是非ともまずは彼らの特集を組んでほしいと思います。