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チャート愛好家。ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

ゴスペルあれこれ2020年1月振り返り号

クワイアとして歌ってきた経験を持つ自分が、月単位でゴスペルの動向を書いていければと思い、【ゴスペルあれこれ2020年1月振り返り号】を用意してみました。出来れば毎月記載していこうと考えています。

 

グラミー賞、カーク・フランクリンが受賞

楽曲パフォーマンス部門は「Love Theory」、アルバム部門は『Long Live Love』と、カーク・フランクリンが制覇しています。

尤もカーク・フランクリンがパフォーマーとして、主演曲ではないとはいえ賞本編に登場したことを踏まえれば、彼の受賞は確実だったのかもしれません(ゴスペル部門の発表はテレビ中継された本編より前でしたが)。そのカークが参加したのが、昨年他界したラッパー、二プシー・ハッスルへのトリビュート。DJキャレドにジョン・レジェンド共々参加した「Higher」のパフォーマンス後半にカークが登場し、高揚感と追悼の思いを高めていました。「Higher」のオリジナルは下記に。

またルーツゴスペルアルバム部門はグロリア・ゲイナー『Testimony』が受賞。

冒頭の「Amazing Grace」はゴスペルでおなじみの…と思って聴き始めるとほとんど別物ゆえ驚かされるのですが、ブルースの要素も採り入れつつクワイアと三拍子とを極々自然に融合しており聴き心地は抜群。

グロリア・ゲイナーは「I Will Survive」(1978)で米ビルボードソングスチャートを制しているのですが、この曲は2013年にリリースされたゴスペルアルバム『We Will Survive』にてリミックスが収められています。

 

・ステラー賞、最多ノミネートはドナルド・ローレンス

3月27日に開催されるゴスペル専門の音楽賞、ステラー賞のノミネーションが先月発表されました。今回の司会はコリン・ホーソーンとジョナサン・マクレイノルズという若手2名が務めます。

先述したカーク・フランクリン、およびターシャ・コブス・レナードが8部門にノミネートされたステラー賞で、最多の9部門ノミネートされたのは、ドナルド・ローレンス presents ザ・トライ・シティ・シンガーズ。ドナルドとシンガーズの、実に12年ぶりとなるリユニオンアルバム『Goshen』(2018)が今回の主役となるかもしれません。

ドナルド・ローレンス presents ザ・トライ・シティ・シンガーズはカーク・フランクリン、ターシャ・コブス・レナードおよびJJ・ヘアストンと共に、最優秀アルバム賞そして最優秀アーティスト賞を争います。今回のノミネーションリストはこちらをご参照ください。

 

・”ゴスペル的J-Pop”、1月も続々

数はそこまで多くはないものの、J-Popの有名曲にはゴスペル的アプローチを施したものが多いことを、昨秋ラジオ番組およびブログエントリーにて紹介しました。

ここで「Stand By You」を取り上げたOfficial髭男dismは、先月デジタル先行で配信した「I LOVE...」(今月12日にCDリリース)にもゴスペル要素を導入。2番サビ前でハンドクラップを挿入し、アレンジも途端に力強くなります。

ゴスペルはチャンス・ザ・ラッパーやカニエ・ウェストも取り上げており流行にも即したものと言えます。ミュージックビデオにおける女性同士のカップルを取り上げることも含め、Official髭男dismは間違いなく今の時代をきちんと捉え、柔らかく示していると言えます。あくまでも極々自然な表現であり、過度に配慮したとは思えません。

また、ラジオを中心にヒットしているのがiriさんの今年最初のシングル「24-25」。こちらでもゴスペル的アプローチに挑戦。

2番終わりからのゴスペルコーラスの高揚感が、iriさんが持つクールな歌声と好対照となり、楽曲がふくよかになっています。今回ゴスペルアプローチを試みたのが初とのことですが、しかしとても堂々としていますね。下記にて今作のインタビューが掲載されています。

ラジオでゴスペル的アプローチを施したJ-Popがヒットするのは、昨秋のeill「SPOTLIGHT」もそうでした。

これらゴスペル的J-Popはラジオエアプレイが好調に推移おり、もしかしたら相性が良いのかもしれません。2月2日付の『J-WAVE TOKIO HOT 100』(J-WAVE 日曜13時)チャートで2位を記録した雨のパレード「BORDERLESS」のコーラスはどちらかといえばスポーツのアンセム的な感じが強いですが、先月リリースされた同名アルバムに収められ、昨秋先行配信された「Story」ではイントロ等に薄いながらもゴスペル的コーラスを取り込んでいます。

ともすれば、この1年でゴスペル的アプローチに挑戦するJ-Popはかなりの数になるのかもしれません。非常に楽しみです。