face it

チャート愛好家。ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

ひとりで書いた曲のヒットは難しい? 2月15日付米ソングスチャート、トーンズ・アンド・アイ「Dance Monkey」のトップ5入りから考える

ビルボードのソングスチャートをチェック。現地時間の2月10日月曜に発表された、2月15日付最新ソングスチャート。ロディ・リッチ「The Box」が5連覇を達成しました。

ストリーミングは同指標6週目の首位を獲得したものの前週比6%ダウンの6320万。一方、ダウンロードは同7%アップの12000(同指標9位)、そしてラジオエアプレイは同34%アップの4610万で同指標15位に上昇。ストリーミングが微減する一方、ラジオエアプレイがそれを補い盤石の体制を整えています。2位のフューチャー feat. ドレイク「Life Is Good」のストリーミングが同指標2位をキープしながら前週比13%ダウンとなっており、「The Box」の首位はしばらく続くかもしれません。ちなみに「Life Is Good」における初登場以降4週連続での2位キープという記録はマライア・キャリー「Always Be My Baby」(1996)以来。ちなみに同曲は後に首位の座に就いています。

今週はラジオエアプレイにおいて前週首位のマルーン5「Memories」(総合4位)からポスト・マローン「Circles」(総合3位)がその座を奪還。前者が1億230万、後者が1億360万となり共に1億超えを達成、「Circles」は同指標通算7週目の首位となりました。

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) ロディ・リッチ「The Box」

2位 (2位) フューチャー feat. ドレイク「Life Is Good」

3位 (3位) ポスト・マローン「Circles」

4位 (4位) マルーン5「Memories」

5位 (7位) トーンズ・アンド・アイ「Dance Monkey」

6位 (5位) ルイス・キャパルディ「Someone You Loved」

7位 (8位) アリゾナ・ザーヴァス「Roxanne」

8位 (6位) ダン+シェイ&ジャスティン・ビーバー「10,000 Hours」

9位 (9位) デュア・リパ「Don't Start Now」

10位 (10位) ビリー・アイリッシュ「Everything I Wanted」

トーンズ・アンド・アイ「Dance Monkey」が遂にトップ5入りを果たしました。

ストリーミングは前週比2%アップの2280万(同指標4位)、ダウンロードは同2%ダウンの16000(同3位)、ラジオエアプレイは同2%アップの5460万(同11位)と安定した動きをみせています。

自分がReal Soundに以前寄稿した記事は昨年9月末のもの。当時は彼女に関する情報がそこまでなかった記憶がありますが、この数ヶ月で状況は一変。出身地のオーストラリアでは首位の最長記録を更新し、イギリスでは女性歌手で最長となる首位を記録。そしてアメリカでもブレイクし日本でも…?という段階に来ています。

さて注目すべきは、この曲がトーンズ・アンド・アイことトニ・ワトソン単独で書かれているということ。米ビルボードはこの事実に関して、あるチャートファンの方によるツイートを取り上げています。

事実、単独のソングライターによる作品は珍しいのです。こと女性となると、「Dance Monkey」以前にトップ5入りを果たしたのはホイットニー・ヒューストン「I Will Always Love You」。2012年3月に3位を獲得したこの曲は、同年2月11日(奇しくも8年前の今日)にホイットニーが亡くなって再浮上を果たしたわけですが、この曲は元々カントリー歌手のドリー・パートンがオリジナルであり、ドリー単独で書かれています。

ホイットニーによる「I Will Always Love You」以前に女性単独でペンを執った曲となると、10年前のテイラー・スウィフトによる「Mine」(2010年8月 3位)、「Today Was A Failytale」(2010年2月 2位)が該当。更に首位獲得曲となると、アリシア・キーズ「Fallin'」(2001)まで遡ることに。いずれも歌手自身が書いています。

男性もしくは作者不明となると、ジョニー・マークスによるクリスマスソングのクラシック曲、ブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」およびバール・アイヴス「A Holly Jolly Christmas」が該当しますが、これらはクリスマスの度にチャートインし続け今年初めのチャートにも登場(今年1月4日付チャートはこちら)。その前はJ・コール「Middle Child」(2019)が単独でペンを執った作品となるわけです。なお、男性単独執筆による直近の首位獲得曲はエド・シーラン「Perfect」(2017)となるのですが、2000年以降に首位を獲得した247曲のうち、ひとりで書かれた曲による首位到達はわずかに11曲、率にして4%というのはあまりにも少ない気がします。

 

この”あまりにも少ない”というのは捉え方次第であり、あくまで私見に過ぎない部分もあります。現在はソングライターにプロデューサーが共にクレジットされていることや、複数のソングライターによる作品が珍しくはありません(特にスウェーデンの作家陣がその分野に長けています)。ストリートミュージシャンから大成したトーンズ・アンド・アイもこの先プロデューサーを起用することにより単独執筆からスタイルを変えていくかもしれません。今回のブログエントリーの直前にSNSのフォロワーさんによるリツイートで知ったこのグリーン・デイの宣伝は、そんな現代に対するアンチテーゼの一種と言えるでしょう。私見を書くならば、比較対象者の他者否定を持ち込まないと自身の良さを伝えられないとも言えるこの宣伝文句には首をかしげてしまうのですが。